性犯罪に対する認知行動療法

性犯罪加害者に対する認知行動療法の有効性(再犯率減少)

性犯罪の加害者については、これまで刑罰、矯正教育、化学療法、去勢、アンガーマネジメント、精神分析等が行われてきておりましたが、性犯罪の再犯防止に対してそれほど高い効果が得られていませんでした。
カナダの連邦検察局の研究グループが,性犯罪者の再犯防止に向けアプローチした諸外国(米国21,カナダ16,英国5,ニュージーランド1)の43個の研究結果を統合し,平均3年10ヶ月の再犯観測期間で調査されました。
その結果,[施設内処遇で反省を促す],[集団生活において規律を学ばせる],そして[従来の心理学プログラムを行う]といった従来のアプローチを受けた性犯罪者は,再犯率が17.4%でした。
認知行動療法を受けた性犯罪者は,再犯率が9.9%となり,認知行動療法が再犯防止により有効であると結論づけられました。(参考資料1) 
それら取組みを受け日本でも,平成18年より法務省矯正局が主体となり、「認知行動療法に基づく性犯罪者処遇プログラム(以下,CBT処遇プログラム)」を、刑務所や保護観察所などで実施しています(参考資料2)。
このCBT処遇プログラムは,性犯罪の再犯防止を目的に,性犯罪に至った状況についてワークシートを利用して振り返らせ,性犯罪に結びつくおそれのある考え方の癖,自己統制力の不足等の個別の問題について理解を促すとともに,再犯防止に向けた具体的な方法を習得を促すといったものです。

平成24年12月21日,法務省保護局によって,保護観察所においてCBT処遇プログラムの効果が調査報告されました(参考資料3)。プログラムは,[性犯罪のプロセス],[認知の歪み],[自己管理と対人関係スキル],[被害者への共感],[再犯防止計画]の5課程からなり,いずれもCBTをベースにしています。
認知行動療法を受けた性犯罪者3,838人(仮釈放者2,528人,保護観察付執行猶予者1,310人。以下,CBT群。)とCBTを受けなかった性犯罪者410人(仮釈放者285人,保護観察付執行猶予者125人。以下,非CBT群。)を比較し,再犯発生の追跡調査に基づき,両群の再犯率の相違を統計的に検証しました。 
検証の結果,性犯罪の全罪種において,推定再犯率は,仮釈放者においてCBT群は約25%再犯が抑止されており,保護観察付執行猶予者においてCBT群は約38%再犯が抑止されており,どちらも統計的に有意な差でした(表1,参考資料3)。性犯罪者において,CBT群は,仮釈放者で28%,執行猶予者で44%再犯が抑止された。
罪種に見ると「強制わいせつ」において35%,下着窃盗・露出・窃視(盗撮)・児童買春等が含まれる「その他」は36%の再犯が抑止されました(表3,参考資料3)。これらは,いずれも統計上有意な差でした。
つまり,盗撮をする本人が刑罰を受けた後に再犯する可能性は35.0%で,CBTを受けた後に再犯する可能性は22.5%であり,後者の方が再犯の可能性が低くなります。これを受け,法務省保護局は,犯罪と性犯罪の両方の再犯防止に,CBT処遇プログラムは一定の効果を挙げていると結論付けています。

当CBTセンターにおいても、これまで性犯罪加害者に対する認知行動療法を行ってきておりましたが、需要の増加を踏まえて特設ページを作りました。

性犯罪加害に対する認知行動療法

認知行動療法は、本人の考え方(認知)ややり方(行動)に働きかけて、本人にとってより過ごしやすい考え方/やり方を導き出せるようにサポートしていく治療法です。
性犯罪加害者は、性的な行為に対してある種独特の考え方(認知)を持ち、法を犯す行動に出てしまいます。
そのような「性犯罪に至る仕組み」を「けしからん!」と批判するより、まず本人の中でそのような仕組みがどのように必然性を持ってしまったのかのプロセスを紐解き、加害者本人と二人三脚でどのように変えてゆけばよいのか考えていく。それが認知行動療法です。
また、「性犯罪・性加害に至る仕組み」を下支えするような、社会生活上の不器用さや不便さ(自身の生活・就労・対人関係上の不器用さ、精神科疾患など)も持ち合わせており、それらが社会生活を送るうえでストレスを増大させていることも多々あります。
そういった「ストレスを増大させる仕組み」に関しても、ストレスマネジメントを行い、性犯罪に至る必然性をなくしていくことも行っていきます。

CBT処遇プログラム(参考資料3)。
プログラムは,[性犯罪のプロセス],[認知の歪み],[自己管理と対人関係スキル],[被害者への共感],[再犯防止計画]の5課程からなり,いずれも認知行動療法をベースにしていながら、「罪をどう償うか」、「今後どう生きていくか」という目標志向性も同時に大事にして進めていくプログラムになります。

参考資料・文献

  • 1)Hanson RK,Gordon A,et al. 2002. “First report of the collaborative outcome data project on the effectiveness of psychological treatment for sex offenders. Sex Abuse. 14(2):169-94.
  • 2)性犯罪者処遇プログラム研究会報告書 法務局 平成18年3月
  • 3)保護観察所における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析について 法務省保護局 平成24年12月21日
  • 4) 訳)津富 宏:犯罪者に対する認知行動療法プログラムの効果 2007年
  • 5)刑事施設における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析 研究報告書法務省矯正局成人矯正課 平成24年12月

当施設でカウンセリングの対象となる/対象とならない性犯罪

対象となる性犯罪窃視症(のぞき)、盗撮、露出、痴漢、下着窃盗、児童買春、児童虐待、ストーキング・ストーカー、強制わいせつ
対象とならない性犯罪強姦、性暴力

その他、個別の事案に関しては、お問い合わせください。精神状態の安定性や犯罪の内容等によってはお引き受けできないこともあります。

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