04/30: ひきこもりに対する家族の関わり

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当CBTセンターでは引きこもりの支援を行っていますが、支援において困惑することがあります。今回はそんなお話。

まず引きこもりというのは、病名とかではなく状態なのですが、定義する人の数だけ定義があるような状態です。
ここでは、一日のほとんどの時間を自宅で過ごしており、家族を除いて対面のコミュニケーションがほとんどない状態であり、かつ生産性のある仕事に従事していない状態の事を、引きこもりとします。



どなたかの研究にもありましたが、大抵の引きこもりの方は外出可能です。頻度もさして少なくないが、外出時間が短いらしいそうです。つまり、「我が子は外出している」ということで、引きこもりではないという事にはなりません。

引きこもりの方の中には精神科疾患を発症されている方も結構いらっしゃいます。病名としては統合失調症、うつ病、社交不安、パニック障害、回避性パーソナリティ障害など、他にも色々ありますし、幾つかを併発されている方もおられます。

逆に、そういった精神科の疾患を持っているゆえに、引きこもらざるを得ないという方々もいらっしゃいます。こういった方は原疾患が無くなってしまえば、普通に引きこもりの解消で、それは問題ないのです。

しかしそれらの因果関係は複雑で、なかなか一口には語りづらいです。

精神科の疾患が解消し、外に出るのも人と話すのも特に支障が無い。統合失調症でもなければうつ病でもない。しかし引きこもっているというパターンも、あります。

非病的引きこもりとでもいうのか、まあそれが回避性パーソナリティ障害という事なのか判りません。

そうなると従来のCBTでは精神症状の治療⇒引きこもりの解消と二段構えの治療になってしまいます。
たぶんアクセプタンス&コミットメントの方針で行けば、最初の段が要らないそうなので、二段にはならないんでしょうが、なかなかそう上手くも行かない雰囲気がありますが。

引きこもりの方にとっては、唯一の他人が家族ですから、そういった意味では家族の関わりというのはとても重要な影響を及ぼします。言うなれば、家族の関わり方がこれまでの在り方から変化することが、引きこもり解消のとても重要な要素になってきます。

しかし、そのように変化することは、本人を含む家族にとって多大な苦労、苦痛、困難をもたらします。言わば「引きこもっている子供と心配している親」の関係のままで「お前が変わるべきだ」とお互い思っている状態こそが、最も苦痛が少ないのです。

もし、親が、我が子の引きこもりの解消のために、本腰を入れて親自身が変化すれば100%引きこもりは解決するのですが、それはなかなか直ぐにはそうはなりません。すぐ変わるのであれば、もう変わっているはずであって、強固に変わらなかったからこそ、現状引きこもりが維持されているわけです。

およそ、引きこもりを長引かせているのは、いわゆる「心の傷」理論です。
『いま本人は心に傷を負っている状態だから、そっとしておいて、様子をみよう』
『親御さんも、傷ついた本人の言動や行動に傷ついている状態だから、今はそっと様子をみながら、傷が癒えるのを待とう』
『本人が本当の意味で回復するまで十分に休んだら、人間には自然と自分を治す力があって立ちあがってくれるから、それまで待とう』
色々ありますが、ようするに“要らん刺激”を入れるなという事です。

確かに世の中には本当の意味で“要らん刺激”に満ち溢れています。
しかし、認知行動療法では、「適切なタイミングで、必要な刺激があってこそ、人間は身動きが取れる」と考えています。
やわらかく言い換えれば、家族の力強いフォローがあると、引きこもっている本人たちの回復はずいぶん助けられます。

我が国の引きこもり支援の実態は非常に残念な感じで、支援のエンドアウトカムが「専門家につないだ」という事になっています。
専門科につながっていることと、引きこもりが解消した事とは非なることで似てもいません。

あくまで、社会機能が向上したことが、引きこもりにおける問題の解消であると思います。

当センターの引きこもりの方に対する介入成績ですが、下記リンクの下の方に記載しています
http://cbtcenter.jp/room/outcome/
1回だけしか来なかった人を除けば、カウンセリングの結果、64%の方において、何らかの社会機能の向上がみられています。



引きこもりの支援
http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=1720&catid=17#more


不登校の認知行動療法
http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=1728&catid=17#more


投稿者: 西川公平
2016-04-30 17:15
カテゴリー: 様々な困りごと

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