2012/11/26: 2012年 第12回日本認知療法学会 参加記 別司

第12回日本認知療法学会、第13回研修会に参加してきました。

<1日目>
○自分の発表からスタートしました。報告事例は、小学生さんのイニシャルケースだったので、一度振り返っておこうと思いました。
日頃の不摂生がたたり、なんともふざけた風邪声&準備不足の発表で、申し訳なかったです。しかし、座長の佐藤寛先生(関西大学)の、滑らかな進行とフォローで、緊張がほぐれずいぶん話しやすくなりました。感謝です。
持ち時間8分+質疑応答3分でしたが、いつの日か、2分ずつプラスされないですかねvv

○発表を終えて身軽になった後は、同じプログラムだった田島美幸先生(国立精神・神経医療研究センター)のご発表を拝聴しました。一般市民向けに、認知行動療法(以下、CBT)のスキルが学べる研修を、これからどのように作り、提供していけるかというお話。
内容と研修の構造は、「専門用語を少なく平易な表現を使う、演習を多用」し、「質疑応答の時間を十分にとる」などの工夫をされたそうです。分かりやすい、かつワクワクさせる言い回しが勉強になりました。

私も市民向けの講座を依頼頂くことがありますが、コツとかクセは、カジュアルで便利な表現だと感じています。間違っても、認知の歪み、ネガティブな考えを修正しようなどとは、絶対使わないようにしています。

その他、研修後のアンケート結果が提示されましたが、実際に参加された方々の来所経路が示されていなかったので、質問させてもらいました。アンケートは、主催者側にとって今後の有益な情報に、参加者側には研修を振り返る機会になる。データを取ることは大事ですね。

また、この市民向け研修は、「有料で、平日の日中に開催」したそうです。市民の方々の参加人数が多く驚きました。1320万人の東京や620万人の千葉を、80万人の田舎福井県と比較するのは間違いかもしれませんが。あと、参加されたのは専業主婦の方が多かったようで、共働き率がNo1の福井県ではなかなかないことだな〜と見ていました。

厚労省の政策からCBTブームにもかかわらず、CBTを実施できる人はごく僅か。この需要と供給のギャップを埋めるには、市民研修というのは効果的なツールですね。もし、研修(内容・広報・料金)の基本形が作れたら、あとは各地域の特性に合わせてカスタマイズしていけばいいんでしょうね。

そういえば、めでたく終結となる利用者さんや、エクスポージャーで生活が楽になった利用者さんから、『CBTのやり方をもっと早く知っていたら、自分の人生もっといろんなことやれたのに』、『効果ある方法が他にもあるというだけで希望がもてる』、『実際に全国どこでも受けれるようになったら、困っている他の人たちも助かるはず』と言われたことがありました。
Thへのリップサービス+関係性を差し引いても、どの言もなるほどと思えます。どこにいても、情報にアクセスできる・選べる・試せるようなシステムというのは、ユーザー側の利益であり権利なのかな。

こんなことを考えながら、休憩をとり、次は事例を中心に聞き回りました。

○印象深いのは、古村健先生(東尾張病院)による、メタ認知訓練のお話。こちらも、平易な表現や視覚提示、一休さんなど馴染みあるイラストが、利用者の理解を促進・補助したように思います。
来月、福井県でメタ認知訓練の講義があるんですが、お願いしているのは古村先生だったかな。。記憶が怪しいので、お声がけを控えました。。

○浅野先生(千葉大学)の事例は、丁寧で、フィッティングがうまいなと。患者さんを特定の療法・技法に当てはめ&的確な見立てを欠くやり方は、治療者側のマスターベーションに思えて嫌いです。患者さんに技法を合わせていくやり方は、聞いていてすんなり入ってきます。
ん〜待てよ。短期間〜中期間、1つの技法だけでゴールまでガイドできるThは、あれこれやらず、核抑える相当うまい人。もしくは、CLがよっぽど健康な人。こんなケースもあるか。

○他、身体表現性障害を呈した高齢者の事例は、困っている相手が違う気がしました。本人さんの発言や思考内容が重視され、配偶者との関係性、随伴性が考慮されていない。葉をみて森を見ずにならぬよう、私も気をつけないとです。

そんなこんなで、充実した時間を過ごしました。頭も体も疲れてはいましたが、懇親会に流れ込みました。ジョニー久保田のショー、他いろんな先生方のお顔が見れました。


<2日目>
○同僚の三田村さんのケース発表。必要最低限の情報で、描かれていました。回避が強いケースに、ACT三田村さんが大きく変化をもたらしていました。私ならとても11回で運べないと、自分の技術不足に気づかされました。

○続いて、田中先生の自主シンポを裏切り、、7人の先生方の発表を拝聴しました。ほとんどが事例で、頭を筋トレさせることができました。

感想1つ目は…「考え方がマシになったと、CLが言った」+「気分がマシになったと、CLが言った」+「尺度の点数が下がった」から、『この事例は改善しました、Thの介入は効果がありました』と述べられている事例を幾つか拝見しました。
気分・身体・認知・行動(他者交流を含む)、この4つの変化を見ないといけないのでは?用いたツールが認知療法であれ行動療法であれ、この4つを見ることが大切。これらは相互に関係しているから。認知が重要!とか、いや行動の方が重要!という議論は、不毛。
あと、CLが言ったことだけではなく、紙に書き出し、効果を確認しながら進めないと。

感想2つ目は、○○技法をやろう、○○療法をやろう(習得しよう)とメガネをかけると、目の前の本人さんが見えなくなるんですね。クライアントさんは、○○療法のため、Thのために存在しているわけではない。気をつけないといかんですね。

感想3つ目は…この発表会場だけ狭く、この80分間、立ち見を余儀なくされる方が多かったです。楽ちんに座っている私の横には、清水先生が。。“いい加減、譲らないと。いや、さっき断られていたんだから、無理に座わらせても逆に恥をかかせるか。いやでも…”と思うだけで、行動せず。すいませんでした。


<3日目>ワークショップ。
○切池先生による、接食障害に対するCBT。想定外のど真ん前の席で臨みました。自分の臨床を振り返りることができ楽しかったです。「僕はここまで厳密にせんのやけど」と、大阪のおじちゃんのユルさ、柔軟性が、ケースをうまく運ぶコツかもと思いました。

○熊野先生による、行動活性化療法と活動スケジュールの異同について。このお題は、学会主催者側からの要望だったとのことでした。クリアな説明で、助かりました。受けて良かった。というのに、失礼ながら、残り15分前で退席。終電のため、駅までダッシュしました。


学会は、主催者の先生方の睡眠時間&余暇&家族サービスの時間を、
ギーーュッと押しつぶした上に、あるはずです。
今年も有り難うございました。お世話になりました。

来年は、認知療法、行動療法、国際学会の三つ巴 in 池袋で、格安! 楽しみです。
このエントリーをはてなブックマークに追加
投稿者: 別司ちさと
2012-11-26 21:36

Comments

コメントはまだありません。

Add Comment

TrackBack

トラックバック

トラックバッックはありません。