07/26: 電気けいれん療法(ECT)を見学して

先日、滋賀医科大学でECTを見学してきました。

ECTは、もともとは1938年のイタリアで考案された治療法。精神疾患患者の頭に電極をあて、脳に通電してけいれんを引き起こすというものです。「精神分裂病(統合失調症)とてんかんは拮抗する」=「人工的にてんかんを起こしたら分裂病は治るんじゃないか」という考えから生まれたらしく、実際に効果があったから広まっていったんですね。

その後、ECTは日本の精神病院でも盛んに行われていたのだけど、その方法はかなり、野蛮というか、拷問に近いもので、患者の恐怖感を煽るものだったようです。というのも、麻酔なしに電気をかけることで、骨折したり呼吸停止を招いたりして、死を招くこともある危険な療法だったから。
私のイメージとしても、ECTと言えば、何となく陰鬱で「昔の古い療法」のような印象がありました。

ところが。現在は「修正型ECT」として再評価されており、とりわけ難治性のうつ病に対して、高い効果が認められているようです。このECTでは、全身麻酔をかけ筋弛緩剤を投与するので、以前問題視されていたような全身けいれんは起こさないし、副作用も少ない。むしろ、安全で有効な治療との評価が確立しているとのこと。
即効性があるので、自殺の危険性があるようなうつ病患者の場合などには、薬物療法より有効とされています。

ここまでがECTの概略で、以下は実際に見学した感想。

いや、本当に一瞬なんだなというのが、正直な感想です。
電気をかけているのは数秒くらいなので、当たり前かもしれませんが。電気をかけている間、患者さんはキュッと顔をしかめてはいるけれど、でもその程度。危険だとか、怖いとか、そういう印象はまるでなく、静かで淡々とした時間でした。

滋賀医科大学では積極的にECTを取り入れているようで、改善は9割くらいに認められるとのこと。もちろん再発もありうるし、その後の薬物療法も大切らしいけど、それにしても突出した効果なんですね。
薬物療法での効果がいまひとつとか、治療に行き詰っているとか、そういう人たちにとって救世主となりうる療法だなと感じました。

ECTとカウンセリングには、直接関係がないように思えるかもしれません。
ですが、様々な病態の人たちと接する機会が多いぶん、どんな治療方法が選択できるのか知っておくことは結構大事。
そのことを実感する、貴重な機会になりました。
投稿者: 木内彩乃
2011-07-26 20:34
カテゴリー: 雑談

Comments

gestaltgeseltz on 07/31 2011-07-31 16:36

我々はエビデンスに従って認知行動療法を選択しているのであって、同様にエビデンスがある対人関係療法や薬物療法、電気けいれん療法についても学ぶことは必然かと思います。

いつの世か、現在のかりそめのエビデンスがより良い治療にとってかわられるときは、認知行動療法も時代遅れになるでしょうね。

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