2018/07/18: 第七回CBTケースキャンプ参加記 西川

今年もケースキャンプの時期がやっていた。36度のうだるような猛暑の中、滋賀県大津市はピアザ淡海で行われたケースキャンプに参加してきました。
今回は70名ほどの参加者で、北は北海道から西は広島まで、心理士、医師、看護師、ワーカーなど、多職種の方にご参加いただきました。

昨年の第六回は北海道のCBTチームが引き受けてくれた(CBTを学ぶ会は共催、とても盛況だった)おかげで、初の滋賀以外開催となったケースキャンプなのですが、今年の第七回は、再び滋賀に舞い戻ってきました。しかし、CBTを学ぶ会は共催という部分をそのままに、CBTスキルアップ研究会(https://www.cbt-skillup.net/)という若手CBTのチームが引き受けてくれることになりました。この若手チームは前回のコロキウムでも活躍しており、新進気鋭のチームと言えます。おかげですっかり楽をさせてもらいました。

というわけで、感想を書きます。


さて、今回のケースキャンプは岡嶋美代さんと白木孝二さんの講演会が2つ入ってた。これは結局若手が「話を聴いてみたい」ということで設定したのだと思う。
初日の午前中は岡嶋さんの「様々な困りごとへのエクスポージャー療法の実際」という講義で、クライアントさんに曝露をしていくときのコツなどが語られた。岡嶋さんの話は何度か聴いていていつも思うけど、楽しそうなケースをいっぱい持てて良いなと思う。

昼食の時間となり、ピアザ淡海の値段の割に美味しくないランチを取るか、うだるような暑さの中外に食べに行くかという選択で、ついつい外に食べに行くことを選ぶ。近くの潰れた旧パルコがOh!meとかいう建物に変わっているので、さっそく行ってみた。

偶然看護CBTチームと一緒にご飯を食べていると、偶然来年のCBTケースキャンプを引き受けてもらえる話になり、偶然助かったわーとなった。あと、偶然レシートで一回UFOキャッチャーができるということで、偶然三人でやったら、偶然ぬいぐるみが取れたりもする。こんなに偶然が続くとこれはもう、なにか天からの啓示みたいなものなのではないかと思う。

さて、会場に戻って1ケース目。北海道から来た安喰さんによる強迫に対するエクスポージャーの事例。なんというか、頑張れ若者という感じではある。実際のところ幾らか良くなっているということは確かなので、その調子で頑張ってもらいたい。強いて言えば、加害を怖がるというクライアントと加害を怖がるセラピストが同調していたというか何というか・・・。

2ケース目は、何と私。たまたま発表予定者が2日前にドタキャンしたので、最もヒマそうな私に急遽お鉢が回ってきたというわけだ。古典落語のネタをベースにして、「毎度バカバカしいお話を・・・」からスタートして、「・・・お後がよろしいようで」で締めくくるものの、全然そこには触れてもらえない。これは沖縄のコロキウムにおいてスピリチュアルな発表をしたときに、必死でウチナーグチを練習して“カミダーリ”や“うがんぶすく”というパワーワードを入れ込んだのにもかかわらず、完全にスルーされたときの感じと似ている。ようするにスベっている。
まあ内容はなんというか、PTSD症例に対する、刺激等価性と関係フレーム理論に基づく介入で、クライアントとセラピストの会話におけるフレーム付けのお話というか、なんというか。
介入1と介入2が似たような関係フレームへの介入であることは、果たして広島の梶原さんが拾ってくれて救われたというか。
福井の小林さんがグリーフワークでありながらも家族を作るという新しい展開へのつなぎになっているという、ときめきコメントをくれたりとかして、発表してよかった。
いずれトラウマティック・ストレス学会とかで発表したいなーと思っているんだけど、中々近くで開催されないから出せない。

さて、3ケース目はまたしても強迫に対する曝露の症例。なんと看護師である川野さんの発表だ。これは来年のケースキャンプにつながるぞ!
「看護師がCBTをする」というのは、中々環境的な制限が厳しく、そもそも1対1の面接文化がない中で、手探りでやっていかなければならないので、ちょっとハードモードではある。
まあでも、何とか何となくやれている感があるので、良かったんではないかなと思う。なんせ経験数が絶対的に足りないので、とりあえず今の所数をこなせばそれなりにこなれてくるんじゃないだろうか。

そんなわけで一日目が終了。たまたまかも知れないが、研修で話された曝露の話と、事例報告が3ケースとも曝露っぽいのが、妙に一致していて統一感があって良かった。

写真撮影を終え、バスであたか飯店に移動して懇親会。あたか飯店の良いところは、何と言っても普通なところだ。あと安いし、送迎がついている。
久しぶりにビールなどを飲んで酔っ払う。すごく近くで似たような仕事をしているのに、全然話したこと無い方とかと話せて、それなりに楽しい。
二次会は大津駅前のカレンダーというレストランバー。店の中に卓球がおいてあって、とりあえずやってみる。ひそかに太ももが攣ったりするものの、普通の顔で卓球に励む。

宿は花村という民宿だそうで、そこに戻って風呂に入ってそのまま就寝。

翌朝。朝ごはんがやたら旨い。特にご飯の炊き加減が絶妙。味噌汁もだし巻きもイカ大根もきちんと下味をしている。ちょっとだけご飯にかける塩とかついてて、これも旨い。
これは結構なものを食べさせてもらった。

さて、二日目。民宿から三井寺駅にて早朝から三井寺に参詣してきた参加者と合流して京阪電車に乗って会場に向かう。既に暑い。琵琶湖岸だからかムワッとする。

会場に着いて、すぐ白木さんの『効果的なセラピストになるために』―ポスト・ソリューションの臨床パラダイム―の講演が始まる。Bruce.EのQUALITIES AND ACTIONS OF EFFECTIVE THERAPISTSから【効果的なセラピストの14の資質・属性と行動・振舞い】についての話があり、
1,一揃い(セット)の洗練された対人関係スキルを持っている。
2,そのCl.が理解されたと感じ、Th.を信頼し、Th.が自分を助けることができると信じているようになる
3,広範囲に及ぶCl.たちと、ワーキングアライアンス(共同のための同盟・協力関係)を築くことができる。
4,Cl.の苦悩や問題に対して、Cl.が受け入れられ、適用できるような説明を提供する
5,Cl.に提示した説明と一致しており、矛盾のない治療プランを提供する
6,影響力、説得力、納得させる力がある
7,信頼性のある方法でCl.の進展状況を、真摯に継続的にモニターしている
8,柔軟性があり、治療への抵抗が見られたり、Cl.が十分進展していないと、セラピーを調整し適合させる
9,セラピーにおいて難しい題材を避けず、そういった難しさを治療的に取り扱う
10,希望と楽観性を伝える
11,Cl.の特性や文脈を認識/意識している
12,Th.自身の心理的プロセスを意識しており、意図的/治療的に技とするのでない限り、自分自身の題材を治療過程に挟まない。
13,特定のCl.に関わる、治療、問題、社会的文脈などに関係する、最善のエビデンスを承知している
14,継続して、自分の能力の上達・向上を追い求め続ける

American Psychological Association Education Directorate

より
ということなんだそうな。

「セラピストはなるべく早い段階でクライアントから治療のどこが間違っているかについてのネガティブフィードバックを受けて修正しなければいけないのだが、中年男性Thになるとクライアントは遠慮してそういうの言ってくれなくなるので、治療成績が落ちてゆく」、「従来のSVや教育分析に、治療成績を向上させるというデータはない」などという面白おかしい説話が紹介された。

さて、お昼になって、ランチタイム。うだるような暑さの中やはり外に出かける。もう、凄い暑さと凄い湿度の琵琶湖岸をてくてく歩いていくと、そこに「なぎさのテラス」というカフェレストラン群がある。
冷たい豚汁を頼むとトマトと梅干しが入っていて、非常に清涼だったのが印象に残った。

さて、2日目昼からは今回初参加&初発表の高橋直太さんの発表で、バーンアウトなうつ病の方の治療について。
これをなんというか、例えて言えば、「草木の生い茂った山をダッシュで走り下りようとする。道が間違ってても、枝が顔にあたっても、藪に手足が引っかかれても、とにかく走ろうとする」とでも言えばよいのか・・・。
なかなか笑いを取っている発表だった。これもたまたまかも知れないが、先の白木さんの話とも通じる。
はたして、中年男性心理士の私は、ぶつかることをや痛みを物ともせずに、こんなに全力疾走できるのだろうか?と考えると、成績が堕ちるのも無理ないことだと、深く考えさせられた。

2日目の2コマ目はロールプレイと模擬面接のコーナーで、私が担当させてもらった。これは毎回やっていることでもあるので、慣れてるんだけれど、今回は、より一層「沢山の人のやり方を見てもらおう」ということで、短い時間の中でもグループを変えたりして、4人ぐらいの面談のやり方を見られるようにしてみた。
ロールプレイの最中に時間を計算してみると、全く時間の帳尻が合わない。あれ?と思って焦ってスタッフに尋ねると、そもそも予定が20分押して始まっているそうな。
「予定より10分遅れてもいいですよ」とか、暗に10分縮めろみたいなプレッシャーを受ける。マジか。
そうすると模擬面接はトンデモなく時間が短くなったけれど、まあそこも5分×4人というこれまたとんでもない短さで行われ、もうなんと言うか、大回転極まりなかったけれど、それもそれで良かったのではないかと思う。
そんなこんなで、なんとか、5分縮めることに成功(15分押しに戻した)。

後で話していたのは、セカンドセラピストが最初に聴いていて、後から交代するというのは、リフレクティングではないんだけれど、ちゃんと聴くことができるし、切り離して聴くこともできるし、割と良いことなんじゃないかと思う。

さて、オオトリのケースは、歯科医師の樋口均也先生の発表で、口臭症患者さんに対する認知行動療法について。なんというか、歯科医師の圧倒的な歯科診療と教育には凄い説得力があるもんだなあと思う。
あちこちでたらい回しされてきた口臭症患者さんが、樋口先生のところで良くなるなら、それはそれで素晴らしいことだと思う。

そんなところですべてのプログラムが無事に終了し、ケースキャンプはお開きとなった。

来年は看護師主催ということで、どんなのになるか楽しみ。
投稿者: 西川公平
2018-07-18 17:43

Comments

コメントはまだありません。

Add Comment

TrackBack

トラックバック

トラックバッックはありません。