2010/12/07: 行動療法学会 大会参加記 3日目

ぐだぐだ書いてきて、いよいよ3日目。自分の発表についてです。
3日目に発表があるというのは、準備が万端に出来るようで、飲めない分不利ですね・・・



司会の先生に、「朝音声のチェックをさせてください」と散々頼んでおきながら、寝坊して総会に遅刻するという体たらくから始まった、いやはや、なんとも。

しかし、発表には間に合ったので、まあ良しとしよう。すみません。

中級研修会では、なんというか、発表そのものは、楽しくもあったし、意見もためにもなったし、それなりにウケもしたし、批判も頂けたけど、まあ良かったと思う。

しかし、その、なんというか、研修会の構造に関しては、ずいぶんすれ違いがあった

「3時間で話してください」と言われて資料を作ったら、後だしで「2時間にして下さい」と言われてみたり(断ったけど)、
「コメンテーターを自由に選んでください」と言われて自由に選んだら、「その人はダメです」と何人も言われてみたり、
「音声を使うので、前日スピーカーのチェックをさせてください」と頼んだら、無理ですと言われたり、
「どうせ回収になる資料なんだったら2人で1つを見るように、節約?して下さい」と言われてみたり、
「資料は40部で」と言われて40部刷ったのに、資料が足りなかったり、
「音声使います」とずいぶん前から言っているのに、「マイクをパソコンのスピーカーにつけるしか方法がないです」と言われたり
「資料1と2とアンケートを配って」と頼んだけど、きちんと配られてもいなければ、配られてるかの確認もなかったり、
そもそも多くの人がポスター掲示&在籍時間で中座を余儀なくされるスケジュールだったり、
「12時ジャストに終わって、12時ジャストに部屋を出て」とタイト過ぎる部屋のレンタルだったり、

まあ、要するに、私は他人と一緒に仕事をするというのが、イライラしちゃって難しいから開業しているんだなと思った。
こういうよしなしごとを柳に風と流していける大人になった暁には、人との共同作業も可能かと思うが、今のところ絶対無理だと思った。後数十年は不可能だ。

まあ、それにしても中級研修会と言う機会を頂いた事や、そこで話すために資料をまとめて整理して、自分の頭もある程度整理された事などは、自分のためになったと思う。
グチはさておき中級研修会の内容やコメントについて、特に印象に残っている事を述べると、

市井雅哉先生から「心理臨床」としてすごく真っ当なご意見をいただいたのに対して、誠に失礼ながらなにより驚いた。
市井先生と言えばEMDRの大家というか、なんでもかんでもEMDR的な、ある種の偏りのある人かという偏見を抱いていたけれど、心理臨床としてみた面接の正中線を的確に述べられてて、それにびっくりした。

しかしこの「心理臨床」というものと「行動療法」というものは必ずしも一致しないというか、むしろ必ず一致しないという所がありつつ、地域で自閉的に仕事をしないためには一応どっちも抑えておけるというのが無難だと思う。

私としては、できるだけど真ん中直球ストレートの剛速球を投げてるつもりなんだけれど、小林先生曰く「気風の良さが無い。江戸っ子の介入ではない」らしい。まあ、それはそうかも知れない。近江商人だし。

大野先生が「目をつぶって展開を追っていると、お、自分と同じ方に行ったと思う事もあれば、全然違う方に行ったという事もあって、面白い」と言っておられたのが、どこがそうなんだろうと気になりもし、また、そういうカウンセリングにおける展開と落とし所についての発表だったので、良かったと思う。

仁藤先生が「生活上の具体的な困難が見えてこない」と質問されていて、まあそれはどのような生活不便があるかより、なお一層そのような不便を持ちつつもそれと共にどのようなオペラントを生起させていくことが目的かという事かも知れないが、まあそこが定義しづらいテーマの時にどうするかという発表だったりするので、ディスカッションできればと思っていた。
とりあえず目指したのは「適切な言語反応が生起する事」なのかなと思う。

あとは、「介入(言語操作)が相手にフィットしているのか、していないのか、相手に伝わったか、伝わっていないか、聴いてて判らない」という人が何人かいた。
後で何人かで話しながら「あれが判らないって、どういう事なんかな?」と首をかしげた。
クライエントがあれだけわかりやすく、質の違う声で、つぶやいたり、繰り返したり、戻ったりしてるのになあ。

まあ非言語は拾わない主義なんだろう。

その種の人たちにとっては言葉操作を主とする面談は非常に困難を伴うんだろうと想像する。

そもそも臨床をする人は、今回の発表の中で、イメージ的に自分がその面接場面に居るとして移入して、ちょっとした再体験をしている。(その体験は自分の体験ではないので、出てくる言葉も進む方向も違って、すこぶる気持ち悪いと思いますが)。
そのように他人の面接であってすら、ある程度追体験できるようなイマジネーションが無いと、ちょっと仕事として対人援助職は難しいのではないかと思う。



あとは、特に思っていたのは、「言葉を扱う研修会において、当然研修会自体が言葉を扱わなければならない」という事です。
要するに、少なくとも認定行動療法士の人たちから、どれだけたくさんの言葉を引き出せるかというのが一つの目標になっていた。
中級研修会って特定の人ばかりしゃべるから、面白くない。

まあ、しゃべるだけでなくとも、頭の中で、「あれはどうなんだろう?」とか「ここって何なの?」とかそういう言語が豊かに引っ張りだされてもOK。

逆に「**はおかしい」へのこだわりにせよ、「西川先生すごーい」にせよ、貧しいレパートリーの言葉しかひっぱりだせないようでは、発表は失敗だと思う。
そういう意味では良くも悪くも考えようのある症例提示だったのではないかと思う。

その辺を谷先生が察してくれてか、グループディスカッションの司会で一言もしゃべらず言語を引き出す役割に徹してくれていたのには感謝。

つまり認定行動療法士にしゃべってもらうためには、専門行動療法士の先生に黙ってもらう必要があり、それゆえに司会を当てているという操作を把握してもらえている気がした。もちろん全然しゃべりまくっている先生もいたけど。

そういや谷先生には「半生(はんなま)のデータってのは、違いもはっきり判ってイイね」と褒められて、テキストマイニングについての言及があった。
私も今回の分析について半分ぐらいそっちに流れかけて、面接音声研究専門家に相談したりもしたんだけど、まあやっぱりやめました。

もっといろいろな先生方の御意見も聞きたかったが、なかなか前述のような時間の都合があり、難しかった。もし何か疑問やご感想がある方は、ぜひメールをください。
このエントリーをはてなブックマークに追加
投稿者: 西川公平
2010-12-07 02:29

Comments

ちー on 2010/12/14 2010-12-14 22:57

地域で自閉的な仕事をしないため、に限らず、
「心理臨床」は抑えておくと良いと思いますが。
「心理臨床」と「行動療法」の必ず一致しないところ、
とは、具体的にどこですか?

Add Comment

TrackBack

トラックバック

トラックバッックはありません。