2007/06/12: 「震える」という悩み②

書痙、震え恐怖、振戦について
その①であまり書かなかったテクニックレベルで書いてみようと思う。

「書痙」に関して
1、行動・機能分析
どのような場面で症状が出現するか、出現頻度とそれによる生活阻害の程度をセルフモニタリングなどしてもらって拾い集める。

よくあるのは①日時・状況、②思考、③不安・恐怖の度合い、④どうしたか、などを簡単に書いてもらうセルフモニタリングを最初の面接から次の面接まで記入してもらうというもの。
これで汎化の程度も同定し、日常生活にどの程度の障害があるのかを見込む。
例えば「宅配便が来た時に配達業者の求めるサインが書けない」というのであれば単一恐怖の範疇だが、「サインが書けないので独りで家に居る事ができない」となれば、結構全般化している。
モニタリングの記述を見ながら想像を膨らませて、状況と思考と生理と行動の絡みを具体的に構築していき、図示する。
そして書字に関して不安状況を階層化する。階層化の時にある程度イマジネーションを発揮することで、より立体化する。
図示や階層化の視覚提示によって、よりメタな方向に認知が再構成される。

2、エクスポージャー計画
本人の動機の高さや難易度やそれがマシになったときの全般的な機能回復度合いと相談しながら、エクスポージャーを立案する。
「多くの症状の中からどれをターゲットに選択するか」については、経験とセンスとしか言いようがない。おそらく治療者個人の志向や趣味も関係すると思う。
私の場合は早い段階でエクスポージャーなど行動的介入を入れるが、人によっては認知再構成法をじっくりやる人もいるだろう。

3、計画されたエクスポージャーのin vitro暴露
ちょっと想像してもらって、そのエクスポージャーができそうか、無理そうか検討してもらう。あるいはどんな困難が有るかとか、どんな風に考えや気持ちが動くだろうかを予測してもらう。
これによって1の行動機能分析では曖昧だったhotな思考や行動が出てくるし、実際できない課題を出してしまうという治療者の失敗を減らす事ができる。およそ想像上でできないものはin vivoでもできるわけが無い。

ちなみに1,2,3をやっているCBTの最中は、CBTの流儀に触れており、それは症状の流儀と異なっているので、自動的に認知再構成や再帰属がなされているはず。

4、ホームワークエクスポージャーとそのモニタリング

5、エクスポージャーに関するモニタリングのチェックとフィードバック

あとはおよそ4と5をくり返すだけかな。
エクスポージャーの内容などは、次に回します

「震える」という悩み①
http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=62&catid=17


「震える」という悩み②
http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=64&catid=17


「震える」という悩み③
http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=65&catid=17

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投稿者: 西川公平
2007-06-12 18:47
カテゴリー: 様々な困りごと

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