2007/06/12: 「震える」という悩み①

書痙、震え恐怖、振戦について

たまにではあるが、「震えを止めて欲しい」というオーダーが入る事がある。
例えば、「字を書くときにどうしても震えてしまって人前で字が書けない」という「書痙」であったり。
「OLをしていてお客さんにお茶出しをするとき、どうしてもコップを持つ手が震えてしまう」であったり。
まあこの二つは「社会恐怖症」あるいは「単一/特定の恐怖症」というカテゴリーだろうから、それなりにしかるべきCBTを入れればよい。まあ普通だ。

書痙の方には段階的な暴露として、銀行のお金の振込みをカードじゃなくて振込用紙で書いてもらったり、なんやかんやしていた。
あとちょっと催眠とか入れたかも。エリクソンなやつ。

お茶出しの人にも、やはり段階的な暴露として、友人を家に招いてお茶を出すにはじまり、徐々にハードルを上げていったと思う。あとちょっとリラクゼーションも入れたかも。

この二人は少なくともエビデンスがあるやり方が存在しているし、ある特定の状況以外では震えないので、その”震えないでおれる”状況を増やせばいい、というゴールが存在している。

しかし、身体障害をお持ちでかつ手が震える「振戦」の方のオーダーが入った時は、参った。
果たしてこれはCBTの範囲内なのだろうか??
まあでもドクターがそうだと判断して回して来ているからにはそうなのだろう。

こういうエビデンスがない系のオーダーの時は、神経的な背景があるので、こちらの勝手な仮説で心因論的な機能分析をするわけにいかない。
やや慎重に機能・行動分析をして、震え以外の一軸上の問題を見つけてそれに取り組むか、ストレスマネジメントをするか、震えてもそのことが大して気にならなくなるようにするか、どうにかするしかない。

ストレスという非常に曖昧で漠然とした概念は、こういう困った時に使い易い。
ディストレスが減れば全体的によくなるし、増えれば全体的に憎悪する。至ってシンプルだ。

そうしてなんだかんだとしている内に、震えが減ってくれれば良いんだけどなあ・・・とやっていると、上手い事震えが減っていって、無くなってくれた。一安心だ。

エビデンスが無い時がほとんど全てな臨床現場だが、ちょっと症状に対する直接的な技法が無い時、間接的になんだかんだやっていくしかないなあ。

「震える」という悩み①
http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=62&catid=17


「震える」という悩み②
http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=64&catid=17


「震える」という悩み③
http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=65&catid=17
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投稿者: 西川公平
2007-06-12 16:42
カテゴリー: 様々な困りごと

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