2009/03/28: 出張続き

原田誠一先生の東京認知行動療法研究所〜貝谷久宣先生の日本不安障害学会参加まで
「メイド喫茶を使ったパニック障害治療」というタイトルで発表してきました。

今回の不安障害学会はラッキーなことに東京認知行動療法研究所の勉強会と日程的に近かったので、お勉強してきました。
しかも豪華ゲストというか、新潟大学の神村先生、兵教の中村先生、新潟の小林先生などをぞろぞろ引き連れての参加。二度めの大名行列でした。

今回のケース報告は、不安障害学会での発表のプレ発表という事で、勉強会に先立って「メイド喫茶」に行ってきました。
いやー、自分に”萌え属性”はないなあと痛感。この辺が自分に足りないところなのかも。

原田先生のところでケースを出すのは今回で7回目になるけど、毎回色々ご示唆を頂きとってもためになります。
その後は原田先生with大名行列陣で飲み会に参加。みんなよく飲むなあ・・・

そして次の日、不安障害学会に参加。不安障害をバイオロジカルから臨床まで色々な切り口で取り揃えてるデパートのように発表されている。なんて商売上手な学会だと感心した。

しかしまあ、なんというか、何でも揃ってるけど買いたいものはないデパートのように、味気がないことこの上ない。
お勉強にはなるのかもしれないんだけどなあ・・・。

発表を終え、まあまあウケたと満足。
質疑応答で「ユニークな発表で、臨床をする上で色々工夫されているところはどんなところなのでしょう?」と聞かれる。

工夫?

患者さんに治療を合わせるのを工夫かと言われると、それは基本であって工夫では無いしなあ。
学習理論とか、認知理論とか、薬物の作用機序とか以前の基礎の問題だ。

たとえは悪いけど、調理人がそれぞれの食材に合わせて煮炊き味付けをする事をいちいち工夫と称するだろうか?
あるいはキャベツの千切りがうまくできないのは、腕が悪いからか道具のチョイスが悪いからであって、「このキャベツは千切りできないなんて、おかしいキャベツだ」とは誰も考えないと思う。

でもまあ、認知行動療法を施術すると称する人々にはそういうおかしさがある。

「認知行動療法は科学的にもエビデンス的にも、この障害に効くとされている治療法なのに、どうして患者さんのうつ症状得点と社会不適応得点は下がらないんだろう」みたいな。

あと、フロアで、「どうして学会発表なのにスーツを着ないんですか?」という質問を受ける。
「それは私の職業はカウンセリングであって、学会発表は遊びだからだよ」と答える。
なんというか、多くの発表者が学会発表のために臨床をしているんだろうなあと思った。

石垣先生を滋賀に招聘した時に「西川君はスーツって着るんだ」と言われたのを思い出した。
仕事の時は常に着てますよ、ええ。

学会発表のために臨床をして、ある程度論文が貯まったらそそくさと良い職場に就職するための臨床と、日銭を稼ぐためにする臨床。後者は「金儲けのために臨床してる」と言われる。
勉強会や研修会の開催なんかもそうだ。営利目的の人が・・・と、ここ1年よく言われる。

当たり前なんだけど、営利でせずに済むのはもっと効率よく税金や保険や授業料から大量にお金を巻き上げる仕組みを持っているからであって、それが当たり前すぎて自分が営利では無いと思ってはるんだろうなあ・・・。

なんだか愚痴っぽくなりましたが、学会の後はいつもおセンチになる私です。
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投稿者: 西川公平
2009-03-28 09:08

Comments

takashi on 2009/03/29 2009-03-29 03:27

おつかれさん。

夏に開催されるということもありますが、ブリーフサイコセラピー
では、スーツを着ている参加者は稀です。学会運営者・理事
や大会関係者ですらラフな私服ですからね。

私にとって学会は完全なバケーションです。

gestaltgeseltz on 2009/03/29 2009-03-29 21:42

>takashiさん
まあでも、CBT以外の学会という事で、緊張するかとおもったんですが、割合良く見るメンバーばかりでリラックスしてました。

ちー on 2009/03/29 2009-03-29 23:11

●不安障害学会
お医者さん主催の学会だけあって、お医者さんの参加が多く&共催には製薬会社名があちこちでしたね。こうやって世の中回っているのだな。

●勉強会や研修会
日銭を稼ぎにも体力温存にも、1個人が開催&会を維持していくことは、なかなか大変なもんです。でも、会の目的を
①腕前の披露&学会に発表すること自体
②参加者や参加者を通して地域・利用者さんの日常に役立つこと
どちらを重視するかでその労力も異なるかも。

周りからとやかく言われても、先生の臨床や会が、先生が目的とすることに沿えていたらいいのではないですか。でもまぁ、鋭い指摘を投げたり有名になったりすると、外からの風当たりもきつくなるのでしょうねぇ。

ハードな3月、お疲れ様でした。御自愛下さい。

こぼり on 2009/03/30 2009-03-30 03:19

中程度の萌え属性があるこぼりです。

学会のレポートありがとうございました。「工夫?」のところは、こころの科学p39二段目に通じる話ですね(やっと届きました!!)。

こちらに来て気づいたことですが、海外で作成されているプロトコルとかパッケージには、患者の問題とセラピストの能力をマッチングさせたり、かなりの時間のスーパービジョンが含まれていますが、輸入する過程でロスト・イン・トランスレーションしてしまうのかもしれません。

10月は、サルコフスキスに浴衣を着させて登場させます。

gestaltgeseltz on 2009/03/31 2009-03-31 22:02

>ちーさん
会の目的というのは会自身が決めてくれるとありがたいんですけどねぇ

>こぼりさん
萌え属性があるんですね。なんとなくそういう人と一緒に行く方が楽しい気がします。
サルコフスキスにも萌え属性があるか聞いておいてください。
ようやく届くというのはなかなかの郵便事情ですね。

不安障害学会でもクラークやサルコフスキスのモデルは人気でした。目の前の患者さんにモデルを当てはめることに躍起になってる感じで、耳と耳の間につまってるおがくずか何かをもう少し活用すればいいのにと思いました。

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