2014/09/17: 第14回日本認知療法学会・第18回日本摂食障害学会学術集会 合同学会 参加記 その1 西川

先日グランキューブ大阪で開催された第14回日本認知療法学会、第18回日本摂食障害学会学術集会 合同学会に参加してきました。これまで認知療法学会は学会を同日開催で開催していますが、合同開催となると、さらに一歩進んだ感じですね。

3つに分かれています。

その2はこちら、
その3はこちらです。

今回の合同学会で私はシンポジウムが二本、ワークショップが一本、座長が一本と、委員会が一つと中々にハードなスケジュールであり、それに加えてスタッフ三人が発表し、スーパーバイジーも発表するので、いささか疲れたというか、マネジメントが大変でした。
大会期間を通じて、「まだ**の時間なってないよね?」とか若干確認行為出てました。

さらに予定の殆どは一日目と三日目に集中していて、二日目は全くフリーという中々ままならぬ感じでしたが、プログラムを組まれる運営の方も困られたことかと思います。
自分自身が忙しすぎて、スタッフなどの発表の事前準備を手伝ったり、当日発表を聴けなかったりしたのは、残念でした。

今抄録集から筆頭著者索引を見てみると、
発表4・・・田中恒彦、三田村仰
発表3・・・東斉彰、伊藤絵美、大野裕、熊野宏昭、杉山崇、西川公平、本岡寛子
(50音順、敬称略)
となっている。大御所はさておき、関西の先生たちが頑張っているのが判る。


さて、一日目朝から睡眠障害に対する認知行動療法(CBT-i)のシンポジウムでした。私は他のシンポジストに比べるとナンチャッテ専門家的なところがあるのですが、たまたま大会長の松永先生が座長を務める所で、たまたまCBT-iの発表をしたので、きっと何かのおまけでシンポジストになっちゃったという感じだと思います。

まあしかし、せっかくお声かけいただいたことだしと思って、自分なりのコンセプトで「CBT-iとはどんな人達の、どんな困り事に、どんな風にアプローチすることなのか、雰囲気を伝えること」を目的として発表してみました。
なんとなくCBT-iの話は技法の話と効果量の話が多すぎて、そもそも「不眠症の人」に馴染みのない聴衆に対して、イキイキとした臨床像が伝わらないことが多いなと感じていたからです。時間的な制約からも、自身の研究データはバッサリ切ってしまいました。きっとそういうのは後の人たちが上手いことするだろうと信じて。

あとは、結局のところ私はCBTはできるけど、別にCBT-iをしているわけではないのかもしれません。摂食障害学会員もおられることだし、「寝られない」と述べる方へのアプローチを通じて、むしろCBTとは何かを伝えることができればいいかと思っていました。
朝一にもかかわらず結構な人入りがあって、まずまず盛況だったのではないかと思います。個人的には終わってからシンポジストの山本先生と睡眠や覚醒の多軸性について話せたのが楽しかったです。
またもう一人のシンポジストの岡島先生がDBASは不眠関連認知を上手く拾っていると述べられていたんですが、私がやるCBT-iにおいて少なくとも使い物になる認知は拾っていないと思う。
その辺り、臨床的にもうちょっと美味しい感じの認知を拾える尺度だと重宝するのになー。


続いて広報委員会があり、つつがなく終わった後で、ランチョンセミナーで弁当を食べ、総会はサボりました。小耳に挟んだ噂によると、認知療法学会を、認知療法・認知行動療法学会に名称変更するとかしないとか。
いやー、アホすぎてついていけない。


その後は大会企画シンポジウム「児童青年精神医療へのCBT普及」に出ました。まあなんというか子供の問題ってCBTに寄らずとも何しても良くなるので張り合いがないですが、やはり問題を長引かせるだけの人々はどこにでも居るわけで、某児童青年精神医学会とかはそういう人々の巣窟なわけです。しかし、次の座長のお仕事で中座。


技法Ⅱ、その他の一般演題座長の仕事でした。
会場係の人が「この会場はこの後使いませんから、多少オーバーしても大丈夫です」と何かのフラグを立てて去っていった。
始まったのに、第一演者がいない・・・。仕方なく第二演者に・・と思いきや、2分遅れてきて、かつ10分の所を14分喋って時間オーバーするという二重の厚かましさを発揮した。鳴らすベルも置いてないし、まいったな。ついでに謝罪もないな。

技法Ⅱでは割合リワーク系の発表が多かったのですが、今や世界の稲垣先生から「あまりに治療成績が悪い」という至極まっとうでありながら、それを言ってはオシマイよ的なコメントが出てきたので、その質問をぶつけられた演者やフロアの混沌ぶりを楽しみつつも、頃合いを見てまあまあふわりと纏めておきました。

ちょうど学校において適応指導教室や別室登校、病院においてデイケアなどが、無駄に病的状態を固定して社会復帰を妨げてしまうという副作用を持っているように、リワークも休職期間を無駄に延長させてしまうという副作用を持っています。同じリワークの発表でも、そのあたりに自覚があるかないかで割と差がでたという感じですし、最も無自覚そうな人の時をぴったり選んで稲垣先生がコメントされたのもさすがと思いました。そういうのって言葉の端々に出てきますしね。
終わってから、一応座長としてそれぞれの発表者にコメントが有ったのですが、すっと帰られた人もいて言えずじまいで残念でした。

一日目が終わった所で、三日目の資料を作るためにさっと返って飯食って、ホテルで缶詰していました。
もしここで作っておかないと、二日目の懇親会で思うままに飲めないからです。


その2へつづく
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投稿者: 西川公平
2014-09-17 01:24

Comments

岡島 on 2014/09/17 2014-09-17 08:33

改めて学会お疲れ様でした。
先生の出番、多過ぎでウケましたw

僕の発表は、不眠で認知を測れるのがDBASで、みんなよく使うけど、CBTiの改善は予測しないという類いのものでした。
もう少し臨床で扱っているような、こだわり感みたいなものを測れるものがあるといいなと感じています。
大方の人は行動変容で十分効果が出るのですが。
その辺りの臨床実践のシンポなど、またどこかでご一緒できたらいいですね。

gestaltgeseltz on 2014/09/17 2014-09-17 15:32

岡島さん
コメントありがとうございます。
いやな気分よさようならのTicToc方ではないですが、建設的な行動を取りにくくしてしまうような認知にターゲットを当てて介入しているように思うのです。
もう少し実際の臨床においてどんな認知にターゲットを当てて介入していたかボトムアップで上げていってから、KJ法でまとめるとかするといいのかもしれないですね。

後は、岡島さんの臨床においては予測しなかったとして、他の人のCBT-iではどうなんでしょう?
山寺先生や私のデータにおいても同じような事なのか、あるいは治療者によって媒介したりしなかったりするのか、そんなことにも興味がわきました。

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