2014/06/11: CBT case camp2014 参加記

3回目を迎えた本合宿。事例検討合宿という表記から、CBT case campというミーハーな呼び名に変わっています。
同僚2名や勉強会メンバーが、多くをサクサク引き受けてくださったお陰で、今回は当日のディスカッションにゆっくり参加できました。感謝です。
感想を、あれこれ書いてみます。

1日目
●トップバッター 小松さん(東京)
介入を聞きながら、きっと異性交際もこんな感じで柳のように…それをOKとする相手ならOKなわけで…とか妄想していました。失礼。

何に困っているのか/そうであることで、今、何ができないのか。それがなぜ今問題なのか。/そうでなくなったら、何をしたいのか。
CLの来談理由をキャッチしないことには、何の技法のせても意味をなさないのだろうなと。
漠然と聴き続ければ、依存させ悪化させ。その挙げ句、「この人は結局、発達障害だから、人格障害だから、〜しないから」と自分のマズさを利用者に責任転嫁し、上手く行かないのも仕方ないと介入を止めるのはよくある話。精神分析の某先生は、「何年にも渡り来談し続けてもらえるのが、良いセラピー」と言っていたので、そもそも各セラピーによって根本的に目指す方向が違うのでしょうが。

小松さんは、利用者のせいにせず、自らの手綱を切ったわけですよね。膨大な逐語を起こして、しかも50名を前に初発表という…。私なら小さな勉強会から段階的にと回避してしまいます。そのチャレンジ精神に頭が下がります。
とにかく、1回発表してしまえば、2回目は楽なはず?認知療法学会は締め切っていますが、行動療法学会ケーススタディ〆切は6月20日です〜。



●campゆるキャラ 太田さん(北海道)
毎度、たくさんの北海道菓子と楽しい時間を運んでくださいます。さてご発表は。またもや、その抜群の臨床センスと、引き出しと汗の量に驚かせられました。

今回の『小学6年生へのリーダーシップをテーマにしたこころのスキルアッププログラム』は、更に練り上げられていました。依頼者と関係を作る、ニーズを把握する、ターゲット行動を把握する。そして、限られた時間で、心をつかみ、わかりやすい学習を、小学生に提供する。その後も汎化していくことを狙って。これを、教育のプロである小学校教員を前にやるわけですよね。。
合宿参加者で、これ以上のワークを提供できる者はいない。検討したい点もあえて作らず、「こんなんしてます。悪くないっしょ。どーっすか?」で充分かと。
ワークの構成力、太田さんは、どこで培ってこられたんでしょう。いろんな学会で発表して、お知恵を分けて欲しいです。
追伸:来年のcampは、暑さ対策を更に強化しておきます。


●CBTセンター新入り 岡村さん(春から滋賀)
すっきり見やすいスライドに驚きました。岡村さんの歳に私が作っていたスライドとは、月とスッポン。さぞかし上司の手が入っているなと思いきや、そうではないとのこと。見やすい、分かりやすいというのは、俯瞰して&見る側の立場になって考えることができるってことですよね。
介入を伺うと、CLの生活が見え、現在の困り事に沿っていて。面接の中でも、相手の立場になって考えることができているんだなと。臨床家なんですね。前職場でのケースも、こんな感じで進めてこられたんだろうなと思いました。CLともキャラが合っていて、よいお兄さんとして機能しているのでは。

ただ、Thがメイン介入としていたホームワークは、セッション内で扱っていたことと不一致で。CLの中にある抜群のメタファー使って引き出せたのに…あれ使わないの!?元々、コラムを使ってこなかったそうなので、そのせいかと。
慣れない事やったらズレちゃった。回数重ねれば、コラムやモニタリングシートの機能も分かり、CLに・セッションに・自分にもフィットした介入ができるようになる。そのためにも、これからもケース報告しながら振り返ることが大切。なんだろうと思いました。


●campのマドンナ(京都)
「べきを取り払えたら何したい?」「3年後の自分は?」「自分へのメッセージは?」などの質問で、CLの進みたい方向を抽出されていました。ホームワークに出すワークシートも、アレンジされていて。理論や技法、頭の中の妄想CLだけを見ていたら、こういうアレンジは出来ないなと。

ただ、思考の枝葉が多い状態のまま、認知再構成や問題解決技法を入れると、枝葉を余計茂らせてしまって私は上手くやれない。その前に、CLの実生活を具体的に聞きたい。
としたところに、フロアーからジャキーーーンと飛んで来た質問に、フロアー全体”ハッ”となりました。そういう視点、欠けてたわと。
ただ、その後も同じ質問を連呼しておられて。質問先が違うわけで。なんなら今から聞きますか?と、もう少しでケータイを出すところでしたvv

演者締めのコメントでは、「去年の自分とあまり変わってないなと思いました」と。“今のままではだめ。去年よりはマシにならないと”という志しに、ドキッとさせられました。来年は、私も出さないと。。追伸:行動療法学会ケーススタディ〆切は6月20日です〜。



2日目
●なんでも斬っちゃうよ 稲垣さん(滋賀)
朝一。稲垣さんの鋭い眼光が、会場の後ろまでジャキーーーン。おぉ、朝から元気な。一方、私はグループリーダー役なのに、疲れで頭が回らず申し訳ない。。それを察知してくださった同じグループ・蒲生さんが、助け舟を出して下さって。お陰様で、メンバーも私も、頭を活性化することができました。大先輩、感謝です。

さて、介入は、一日一善プロジェクトと称したポジティブデータログ。シンプルな枠組ゆえ、CLに伝わりやすい。また、CLの内界で、ジェンガのピースのように体験を1つずつ&積み上げたいところに積み上げてもらえる自由度もあり、私も日頃からよく使います。
稲垣さんは、感情暴露を狙ってやったとのことでしたが、そのわりに自己評価の欄に書かせているものは不明瞭で、エクスポーズ仕切れていないのでは。[情けない自分とはつまりどんな奴なのか/そう考えるとどんな感情・身体感覚が沸くのか]を聞いて、[そのSUDsを書かせる/おれは◯◯だと100回言ってもらう/自己評価0付けた理由を述べてもらいネットにupする]なら、感情暴露になるのかと。
私は、メイン介入の2つは、精神的自立を希望するPtに対して、物事を回避せずコツコツ進めて行く忍耐性?、自分で見つけ自分で取り組む自発的行動、自己認知のレパートリー拡大を促している認知療法だと思いました。
しかし、10分診察×13回で、ようするにカウンセリング2回分なわけで。十分な効果ですよね。
あと、稲垣さんの偏見を持たず、好奇心もって接する無邪気な姿勢もベースに効いているんだろうなと思いました。他には、CLは薬を指示通り飲めていなかったようですが、その辺りどうなんだなどなど。
最後に、稲垣さんは、反論が少ないディスカッションに物足りなさを感じたようですが。まぁそれは、機能異なる2つの目的を持ち込まれた結果なわけでvv



●砂丘からはるばる4時間 佐藤さん(鳥取)
CBT施術歴1年、OCD2例目のケースを発表されていました。
タイトルからは、統合失調症の強迫症状か、強い乖離伴うケースかと連想していましたが。6人衆や8人衆とは、ようするに自動思考のことか。
演者の知的好奇心や不安から?、多くの情報を引き出し過ぎて、情報の茂みの中で彷徨っている感が否めない。でも、OCD2例目ですからね。それに、“ちょうど使い始めたんだけど”という発表は、圧倒的にフロアー受けがいい。

さて。強迫観念については、もしそうだとしたら「最悪、自分が・相手がどうなってしまうと?」と同定したり、「自分が〜・相手が〜というのは、何対何でそう思います?どっちかが強いはず」と被害か加害かを明確にすると、エクスポーズするターゲットも掴みやすい的に聞いたことがあります。

他、印象的だったのは、一見すると、研究者的・文学者的な外見ですが、ディスカッションではクリアな指摘を繰り出され(CBT施術歴1年って嘘だな)。マイク持たせたらとても柔軟で。更に、酒飲ませたら笑い魔になり、バカもできるという。いろんな魅力を持たれた方でした。
計8時間の移動、お疲れさまでした。来年までに、どこでもドアが開発できないか、検討しておきます。



●ますます磨きがかかる 岡本さん(福井)
お忙しい中、話題提供を無理矢理お願いして申し訳なかったです。
時間無い中まとめていただいたはずですが、スライドはとてもクリアでした。
少し前に、病院のデイケアを見学させてもらったので、事例の構造がよりイメージしやすかったです。元々、集団療法を専門にしておられる作業療法士さんで、臨床歴もあって、グループを扱うのが上手いのだな〜とも思いました。

お会いさせて頂いた7年前は、患者さんやスライドの中に入り込んだ発表をされていました(私も同じく)が、ここ2年ほどはグッと俯瞰して捉えておられ、まるで別人のようです。羨ましい。努力の賜物。
良質な発表をもとに、いろんなコメントが飛び交い。中でも、対象者と施術者の関係性を細やかに捉えた小林さん(福井)のコメントには、ハッとさせられました。こういった先輩のコメントが聞けるのは美味しい。



●自己改革 高橋さん(長野)
膨大な逐語と面接ビデオのお陰で、2日目ラストという、疲れから注意散漫になりそうなところを、グッと惹き付けられました。
大学の先生が、学会以外でケース報告しても、業績にはならないでしょうに。実際、臨床心理士の養成大学院でケースを施術している教授は少なく。また施術していても、見せられない100の理由を述べられる場合が多いのですが。
リアルな教材で、ディスカッションも盛り上がり、時間があっという間に過ぎて行きました。

某井上先生は、学生に認知療法を教えないとか風の噂で聞いたな。理論や専門用語ばかりを先に教える=目の前のCLを見ない練習をさせる=施術者の頭の中の妄想CLを見る練習をさせる、ということか。などと考えていました。

利用者さんは、多くの不安を乗り越えて、赤の他人にプライベートを打ち明けられるわけだから、私たちもそれに応えるべく多くの不安を乗り越えなくてはいけない。
とは思っていますが、自分の面接ビデオを見せるのは、恥ずかしいやら何やらでなかなかに抵抗があります。けれど、逐語や映像を出された小松さん&高橋さんを見習って、私もビデオ録画をCLに打診してみます。話題提供者の皆さんに、エンパワーされました。
(と、本日さっそく新規さんに説明&録画を打診したところ、すんなりOKもらえました!が、肝心の映像が撮れていなかった。。)



今回、懇親会とお菓子、打上げ担当だったのですが。懇親会の食べ物や花火の量が、まずまず妥当だったようで、安心しました。地鶏の丸焼きを外科医のようにさばきまくる蒲生先輩、事例検討の構造についてレクチャーくださった白木先輩、柿の種をリスのごとくほうばるスタッフが印象的でした。

<懇親会旨いもん情報>
サンファームさん:滋賀産のトマトや柚子のジュースが美味、賤ヶ岳SAでも購入可。
うかわファームマート:研修会場すぐ。地元のおばちゃんの手作り珍味が揃う。
三口屋さん:モロッコヨーグルトなどの駄菓子、花火はこちら。
高島ワニカフェさん:築100年の趣きある建物で打上げ。絶品料理に、グルメ太田さんもうなった。
皆さん、有り難うございました。お疲れ様でした。
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投稿者: 別司ちさと
2014-06-11 22:54

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