2014/03/31: 元々ハイパフォーマーだった人たちのウツ

ちょっと小耳に挟んで面白かったので、書いてみます。
イップス(Yips)なんかについても書いてみました

フツーに生活している我々凡人と違って、何かを極めた人々、例えばプロスポーツ選手やプロ音楽家、プロ画家などは、ハイパフォーマンスを発揮するために、かなりのセルフコントロールを必要とします。
プロとは、自分の能力の100%限界に近いところまで発揮するためのトレーニングを日々行い、その限界を更新し続けていく人々なのです。

日常生活を送る上では、我々はセルフコントロールをそれほど必要としていません。
すごく仕事が差し迫った時に、死に物狂いの火事場の馬鹿力が出るかもしれませんが、そんなことは滅多にないです。
自分の出しうる能力の限界よりも低い水準で、普段の生活は可能です。

フツーの我々の能力を60として、生活できるぐらいの能力を40とした時に、たとえばウツに罹患して能力が50%減の30まで落ち込むと、生活に-10の支障が出ます。
生活に支障が出ると、ようやくこれはマズイということで、病院なりに行くわけです。

じゃあ、元々ハイパフォーマーだった人たちが、鬱になったらどうなるのか?
90ぐらいの能力の人がウツに罹患して、能力が45まで落ち込んだとしても、まだ生活できる能力40を超えています。
そうすると他人からは、全然ウツに見えないわけです。「フツーに生活出来てるやん」と言った感じです。

ところが、当の本人はフツーに生活できる/できないのところで勝負してなくて、プロとしてのパフォーマンスが発揮できないわけですから、すこぶる深刻です。
でも、生活に支障が出てないから、なかなか受診につながらない。

要するにゴルフでパットが入らなくなったとか、バスケで3Pが入らなくなったとか、バイオリンで色艶のある音色が出せなくなったとか、、、、そういうことで精神科に行くことはまず無いわけです。

え?そういうの認知行動療法で治せるの?と言われると、そういうのは直接的に治せないと思います。

しかし、認知行動療法は二次障害に強さを発揮する介入なのです。一次障害たるそれらの困り事によって、「やべー、パットはいらない、どうしよう、どうしよう。このままいったら・・・・」とか、「これが描けないってことは、つまり自分は・・・」とか、ドツボにハマってしまい、ますます変になっていくのならマシにできるかもしれない。
あれこれ模索し過ぎて自分のスタイルやフォームを崩しまくってみたり、etc.自分で自分を悪化させていく事に対しては、何らか力になれることもあろうということです。

イップス(Yips:精神的な原因などにより動作に支障をきたし、自分の思い通りのスポーツプレーができなくなる運動障害のこと)とかも、動作の支障部分と、それに対する受け止めや対処の部分に分ければ、後者に対してはまだ何かやりようがあるという感じです。

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投稿者: 西川公平
2014-03-31 15:38
カテゴリー: 様々な困りごと

Comments

ちー on 2014/04/04 2014-04-04 21:18

白鵬は、綱取りを目指す場所の初日は、緊張して体が堅くなり足が前に出ず、黒星になることが多かったそうで。で、4年前から、ノートに好調な時と不調をきたす状況とで、その時の考えを書き止め、その癖を観察し対策を立てて来たそうです。
イップスも、NHKで見ました。野球選手が、ここ1番という大舞台で、プレッシャーや緊張が生じ、硬直・震え・弛緩するなどして、ボールがまっすぐ飛ばないという。
それってつまり…社交不安と同じように扱えそうと思いました。

gestaltgeseltz on 2014/04/05 2014-04-05 01:22

まさかの白鵬・・・

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