2013/08/05: 標準版家族心理教育研修会 in 福井 参加記

日本心理教育・家族教室ネットワーク(JNPF)http://jnpf.net/ による、2日間研修が福井で開催されました。
以下、その雑感を書きます。※この研修会は、お互いを「〜さん」と呼ぶ決まりになっていたので、以下、勇気を出して敬称を省かせていただきます。

まず、三輪さん(湖南病院、Dr)によるオリエンテーションから始まりました。冒頭、ご家族の声を聴いて、日頃の臨床で私が見ていなかった部分に、ハッと直面化されました。また、医師である先生ご自身の体験を、「私はこんなに成果を出した」ではなく「私が家族から教えられた」と提示いただき、とても有り難かったです。サポーティブな温かいお声と、細やかな目配りが印象的な先生でした。

続く早川さん(滋賀短期大学、CP)も、「心理教育を導入することで、スタッフ側の自己効力感が増すのだ」と文献をもとに、凛とした眼差しで触れられ。
稲垣さん(滋賀医科大学、Dr)は、「有効性が明らかになってから全国的な導入に至るまで、大国アメリカでも15年かかった」と続き。また、組織内で心理教育プログラムをスタート&キープするためには、どのような手続きを経ると良いか、お話いただきました。
更に、齋藤さん(大阪府立精神医療センター、Dr)は、元気はつらつ会場全体を包み込む笑顔で「家族との関わりがうまくいかなかった場合」の立ち戻り方を明示され。
いずれも、“組織で新しい事を導入してみようかな…”、“導入しているんだけど組織内で普及しなくて…”というフロアーを、エンパワしてエンパワし尽くすお話でした。


今回のインストラクター唯一の福井県人、齋藤さん(福井県立病院、Ns)からは、心理教育の情報提供にあたる部分を丁寧に解説いただきました。また、尾崎さん(岡部病院)にも重なる「まんじゅう理論」の発想。まんじゅうというネーミングが、とてもそそられる。ユーモアと、日本人なら老若男女誰もがイメージしやすいメタファーは大切ですね。東京の原田先生も、BPDの心理教育図を饅頭で説明されていますが、偶然でしょうか?

2日目のグループワークやデモンストレーションは、このまんじゅう理論をベースに進んで行きました。今回の研修の核は、『そもそも人は健康な部分と不健康な部分を持ち合わせている。双方の疎通や折り合いをどうつけていくか。個人のこのプロセスを、「質問の仕方を工夫しながらふる→うける→ほめる→ねぎらう」で支え合おう。個人や家族が元来持っている健康な部分・資源・対応策を充分引き出して、エンパワメントしよう』的なお話。と解釈しました。間違っていなければ良いですが。。

いい緊張感の中、エンターテイナー稲垣さん&稲垣師長(役)の立ち回りに、会場がぐっと盛り上がりました。
参加者さんのアイデア、そしてグループのダイナミックスを目の前で体験することができたのは、大きなお土産でした。

最も印象深いのは、2日目のデモンストレーション。
メンバー役Kさんのやたら良質な発言も手伝いグループが盛りに盛り上がって来た時…要の板書係・齋藤Drさんが、も〜黒マジックつかないぃ〜とvv
ふとその時、メンバー役Hさんがふと別の黒マジックを手渡しされ!そこから、それまで沈黙を守っていたHさんの自発的な発話が、一気に始まりました。板書係とはいえ、完璧である必要はなく。スタッフの思わぬヘマさえも、メンバーのジョイニングを促進する材料になる。
個人内、個人間の変化を体験でき、グループっていいなと沁みじみしました。


と、勝手にグループの余韻に浸っていると、「でも、グループの評価はどうしたらいいんだろう」と話されている参加者さんがあちらこちら。伺えば、「グループに関わるNsは充分体験しているからいいけど。グループに入っていない他Nsにはそれが伝わらなくて…」というお話。3人は、看護師さんでした。

何が起こっているんでしょう…。以下、稲垣さんとのおしゃべりを踏まえ、個人的な妄想ですが。
看護師さんは数が多く、人が集まる所には自然と力関係が生まれる。一方、心理士なんてほとんどが1人職場なので、同一職種ではそういう軋轢や葛藤が起こらないか、起こっても諦めの境地に至るのが割りと早いのかもしれない。群れてヤイヤイできるのも、ある一面羨ましいvv また、ヒエラルキーのトップである医師がプログラムに間接的にでも関わっていると、そういう軋轢は起きにくい可能性。看護師さんならではの、いろんなご苦労があるのかもしれません。

評価が、誰に対する何を目的にしたものかによるという稲垣さんのコメントは納得で、質問紙による評価も選択肢。しかし、齋藤さん(Ns)のようなメンバーさんのpre/postの言語報告や、朝夕の申し送りに潜り込ませそうな切り方の方がいいかな…と思い横やり入れたら。終了時間を考慮せず、完全に要らぬ失言でした、、すいません。
そんなこんなで、研修会は幕を閉じました。


50名の参加者に、インストラクター6名という、とても贅沢な会。最後には、プログラムポスターをプレゼントするというサービスぶり。テキスト込みでこの参加費は、もっと値上げしても良いと思いました。

他の参加者さんと私はフィールドが違うため当初戸惑いましたが。普段の個人や家族とのセッションを思い浮かべながら、聴くことができました。学生時代に身を置いていた家族療法に思いを馳せて。とても有意義な時間でした。


帰路は、稲垣さん&中林さんと、福井のおろし蕎麦を食べながら談笑しました。

齋藤Nsさんを始めとするインストラクター、事務局の方々、大変お世話になりました。たくさんの資料大変だったと思います。楽しい時間を有り難うございました。この研修が全国に種を撒き、各地で根をはって行きますように。
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投稿者: 別司ちさと
2013-08-05 01:52

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