2007/06/14: 緘黙症

緘黙症(言葉が出ない悩み)

メールで緘黙症Journalというホームページを教えてもらいました。緘黙という特定の症状に対し、緻密で正確な情報をアップされていてとても好感がもてたので紹介します。
http://smjournal.sakura.ne.jp/

そんなわけで今日は緘黙の話を書いてみます。

まず緘黙とは言葉が出なくなる困りごとで、失声や失語とは違う。違うんだけど、「言葉はわかっているのに声がでない」というのは一緒なので、その辺を区別しないといけない。
失語は脳機能の問題だからさておき、心因性失声と緘黙の違いはやや難しいと思う。
分類上は失声は身体表現性障害に属するだろうし、緘黙は社会不安障害に属するだろうが、きっと診断もあやふやなんじゃないかな。
昔、全緘黙と紹介されてきた女子高生の面接をした事があって、その時は2回で治ったので良く判らないままだったけど、今からよく考えるとあれは心因性失声だったと思う。それならそれで、、もうちょっと違う事もできなかったかと反省した。

緘黙には「場面緘黙(選択性緘黙)」と「全緘黙」があって、前者の場合は特定の場所や状況によって、しゃべれたりしゃべれなかったりする。

さて緘黙は大方の社会不安障害の症状と同じく、ほとんど見過ごされている症状の1つ。
しゃべるべき場面でしゃべれないというのは、実際日常生活がものすごい不便だろうから、早いこと見つけて早いこと何とかした方がいいんだろうと思う。

まあ他の社会不安障害の人々と同様、CBTはぱりっと効くのですが、いかんせん小さい子供さんが多いので、遊戯療法や、家族療法や、短期療法や、時には手品をしたりと、色んな手わざが必要になると思う。
でもまあ大体10回以内に何とかなるかな?治療さえすればそんなに難しいという事もなく、スムーズに治る。むしろ難しいのは発見だ。

コツというほどのもんでは無いけど、それらの問題に悩んでいるお子さんはそもそもシャイなので、「しゃべる/しゃべらない」という視点から過度に注目されたり、あれこれ言われたりがあんまり好きじゃないと思う。

だから学校とかで露骨にしゃべるように強いるような環境があるなら、その環境を調節した方がいいと思う。
あと「しゃべったー!わー、やったー、すごい!」とかも、そのなんと言うか、やり過ぎ感がある。ウインクするようなスマートなポジティブフィードバックが欲しいもんだ。
大事なのは「しゃべる/しゃべらない」というラインにこだわらず、本人ときちんとコミュニケーションをとることとか、今ある本人の表現を伸ばしていく感じとかだと思う。専門的に言えばシェイピングと段階的暴露の妙が重要な気がする。
あとは、「再びしゃべれるようになりたい」という動機付けをがっつり作ってないと、なかなか難しいかなあ。
いったんしゃべれるようになれば、しゃべれるという事が大抵はものすごい嬉しいことなので、ますます平衡がしゃべる方向に傾いていく。

なんにせよ共同経験的に「自分で今CBTをして良くなっていってる」と思ってもらえれば、それで治療は終わったようなもんだ。
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投稿者: 西川公平
2007-06-14 16:37
カテゴリー: 様々な困りごと

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