私はついこないだまで認知療法学会と行動療法学会にしか参加していませんでしたが、まあちょっと、最近なんかアレ何で、幅を広げてみようと色々学会に参加しようと思ってます。
その一環として、子供のこころの医学会では最大の児童青年精神医学会に参加してきました。
実は、この学会に参加するのは昨年に続いて二回目です。
昨年度は認知行動療法で発表したけれど、そもそもこの学会は精神分析の巣窟なので、認知行動療法に関して発表があったのは何百かの発表の中で私ともう2人ぐらいでした。
いやはや、空っ風が吹いてるなーと去年は思っていましたが、今年はさすが千葉大学の人々が認知行動療法について果敢に発表していたり、下山先生が研修していたり、井上雅彦先生などがペアトレの話していたりと、ちょっと小マシな感じになっていました。
でも私はソリューションフォーカスドアプローチの発表でした・・・。
去年の座長は座長として失格レベルだったけど、今年の座長はとてもいい感じで、それぞれの発表に対して最後に暖かなコメントを加えて終えるという、人間性の豊かな感じの人でした。
去年も感じた事ですが、この学会は技術研鑽には役立たないというのが正直なところです。
一方で、認知行動療法以外の人々がいるので、そういう人たちがいったい何を考えてどうしているのかを目の当たりにする機会でもあります。
例えば、ちょっとでも現実検討の緩い認知があったら全部「妄想性障害」と診断つけちゃう先生とか、斬新すぎます。
治療者は患者の失われた父性の代わりに凛として接し続けることが治療なのだと言われても、どちらが妄想なのか不明瞭だと思った。
しかし、精神分析は精神分析なりに誠実というか、盗人にも三分の理というか、そんなにいやな感じはしなかった。
まあ、患者さんは可哀想だなと思ったけど、それは別にどこでもそうだし。
良いなあと思ったのはEric Taylor 先生(Department of Child & Adolescent Psychiatry, University of London)のChild psychiatry in Englandの話。
「子どもには不安障害、気分障害が多く、心理療法もよく効く。発達障害なんてそんなにいなくて、心理療法も大して効かない」というごく当たり前の話を分かりやすく説明されていた。
講演を終えて廊下に出ると、「何にでも発達障害ってつける発達障害バカみたいな医者・・・」って話をしている先生たちがいた。いるよね―そういう先生と小耳にはさんで思った。
発達障害診断の未だに難しい所は、発達障害とつけるお医者さんは精神科障害をあんまり知らないし、精神科障害を主に見ているお医者さんは発達障害をあんまり知らないという事だと思う。
千葉の認知行動療法ユニットは滋賀の認知行動療法ユニットと友達でもありライバルでもある関係にある、という事にしておく。そんなわけで3人ぐらい発表していた全員に滋賀県民で食いついてみた。
まあしかし、去年認知療法学会で千葉人の発表を観た時より、千葉の認知行動療法は洗練されているのではなかろうかと思う。そう書くと偉そうだけど、まあそんな感じがした。
中里先生から「ちょっと一緒になんかしましょう」とお誘い頂いたので、Skype使ったWEBカンファレンスでもやってみたい。まあSkype使ってみたいだけだけど。
ちなみにここの座長も素晴らしい方だった。たまに間違って座長業などが回ってくることもあるので、座長たる者なにが必要なのかを観察する良い機会だった。
あと、全然関係ないけど、精神科志望の獣医さんと話す機会があって、「獣医とは町で動物観てる人たちばかりではなく、基本的に公衆衛生を司っている職種なのです」と聞かされ、なるほどと思った。ネズミが黒死病運んだ以来のご職業なんですね。
私には「動物のお医者さん」レベルの知識しかなかったので、色々な話に感心するばかりだった。
そんな感じの学会でした。