2010/10/06: 認知療法学会の感想 〜ワークショップ編

第10回認知療法学会に参加しての感想などを書いてみます

ひさしぶりに行動療法学会と別に認知療法学会が開催されました。
私としてはサイコオンコロジー学会と合同開催という印象より、行動療法学会と別という印象の方が強く、「そういや認知療法学会って、良い意味でそこそここじんまりした会だったなあ」という感想でした。

合併云々であれこれ話を言われたり、意見を求められたりしましたが、いやはやノンポリなもので・・・。

ワークショップは
・平井先生、本岡先生のうつの問題解決療法にて学びました。
特に興味を引いたのは癌患者に対する集団問題解決療法と、うつ病患者に対するそれの相違点です。
前者はメンタルヘルスの問題としては病態水準が軽いので、行動的な変容をより先にもってくるることで、認知再構成が容易になるというのが印象的でした。
そのような工夫をされていたのは、教科書どおりではなかったのだと講師の平井先生、本岡先生はおっしゃっていたけれど、まさしくツールに振り回されない臨床的に妥当な判断だと思いました。
ついでにお二人は関西の方なので、大阪・神戸CBTを学ぶ会にスカウトできて良かったです。

・堀越先生の痛みに対する認知行動療法にて学びました。
堀越先生のCBTはアメリカ仕込みのせいか、なんというかこれまで学んだCBTと少し違う所があって、興味をそそられました。
私がCBT研修会と称して色々な先生の色々なCBTを学んできた経緯から言っても、これは一つ滋賀に呼んでしゃべってもらいたいなという感じです。
ちょうど痛みに関してCBTセンターにも患者さんがきますし、CBTを学ぶ会でも症例報告が思った以上にあります。痛みとCBTというのはトピックとして必要な技術や知識だったので、タイムリーでした。
痛みの種類と性質に対する詳細なアセスメントと対応法を分けて行くという考え方はまさしくCBTの「定義することで共通理解のもと治療進めていく」という主義そのままで、興味深かったです。

・市井先生のEMDRについて学びました
EMDRという技法は前から興味があったので、今回学ぶことができて良かったです。市井先生のぼやきなどもちょっと笑えました。あとちょうど慶応の藤澤先生がいたので、慶応で開発中の「これをやってりゃCBT」テストにEMDRは受かりますかねって話をして、受からんよなあということになりましたwまあEMDRのほうがそんなこと気にしないだろうけど。
EMDRは、おそらく「記憶の編み上げに対する介入」を試みているのであって、学習理論にも認知理論にも慨しないだろうなというのが印象です。
しかし、認知行動療法において、EMDRにみられるような記憶の編み上げに対する変容が起こらないのかと言われると、結構起こっている気がします。なんか一回京都の認知行動療法を学ぶ会で「記憶のゲシュタルトとアクセサビリティー」についてしゃべったことがあったけど、まあ結局そういうことなんだろうと思いました。EMDRは例えて言えば図と地を入れ替えてまぜるような作業だと思う。
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投稿者: 西川公平
2010-10-06 11:47

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