2007/10/31: 復職支援プログラム

うう病からの復職プログラムについて

企業から復職支援のプログラムについて問い合わせをもらうことが多い。
しかしこれは結構難しい部分がある。

ありていに言って休職している状態から復職するのは、非常に大きなギャップがあり、そのギャップをどのように段階的に埋めていくかがそのような復職プログラムの役割だ。
そこで何が難しいと言って、復職しようとしている人がいまどんな状態か知る必要があるし、かつ復職する職場がどんなところかを知る必要がある。そうでないとプログラムの立てようがない。

長期に休職されている人の場合、できれば復職の2〜3か月前から、休職中に日常生活でできるようなリハビリ(たとえば外出したり、人と会ったり、軽い作業をしたり)を進めていって、ある程度体力的にも精神的にも回復しているという見込みがあれば、次に職場内リハビリと言うことにもなろうと思う。
職場内リハビリは休職中の診断書で、医師に「休職だが、週に数日は職場に行っても良い」みたいな診断書をもらってから行うことが望ましい。
そこでその職場、その部署が提供可能なリハビリのプログラムを試しにやってみて、上手くいくこともあれば、上手くいかないこともあるだろうが、そこを部署・個人的に調整しつつ、復職の段取りをつけて行く。これはすり合わせに近い作業だと思う。

こういった作業は、本来は産業医かPSWがメインに担当するべき部分であり、CPが担当するのは職域を犯している。しかし実際のところ産業医はほぼ内科医だし、PSWは統合失調症の社会的入院解除にほとんど持っていかれるし、こういった一般的な問題に携わってくれる人が少ない。
カウンセラーとしてかかわりながら、一方でソーシャルワークをするのは、実のところ矛盾も生じるし、引き裂かれちゃったりして疲れることです。認知行動療法でうつ病の治療をしている方がよっぽど楽です。
逆に主治医がしっかりと患者さんとの関係を構築している上で、医療機関と職場との橋渡し(ソーシャルワーク)だけを私が担当するのであれば、個人的にはソーシャルワークは嫌いじゃないしずいぶん楽ですが、じゃあ何のためのカウンセラーだとかも思う。

企業と医療機関との交渉を一手に引き受ける開業PSWとかってもっといたらいいのになあと思う今日この頃。
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投稿者: 西川公平
2007-10-31 12:10
カテゴリー: 雑談

Comments

菅原 哲哉 on 2007/11/04 2007-11-04 17:52

今読みました。
なるほどと思います。私も企業との調整役や嘱託医を依頼されることがありますが、医師会を介したもの以外は断っています。患者さんの利になることが多いのはもちろんですが、間に挟まれそうなこと、クリニックの治療で役立てば良いと思うからです。しかし遷延例が必ず出てきます。開業PSWも良いですが、企業専属の心理士やSWが居ればなーと思います。
今のところ内科医でもきちんと判断してくれる企業、保健師や看護師が優秀で産業医の補完をしてくれる企業が増えてきて以前よりはやりやすくなっています。
CBTだけではなく復職プログラムも担ってくれるなら懐が深くなるので、先生は大変でしょうが、私は安心しました。CBTだけだと対象として不適な患者さんが結構出てきますが、PSWのような役割にCBTを有効に使うことがあるなら対象を気にする必要がありません。
おそらく今後も精神科医は診察に精一杯でしょう。よろしくお願い致します。
それで保健師や看護師が育てば、少なくともやさしい日本語で語ることを理解してくれるようになれば難しい患者さんも支えられるでしょう。

gestaltgeseltz on 2007/11/06 2007-11-06 23:53

菅原先生コメントありがとうございます。
CBTは形而下の事柄を扱う事が多い分、PSW的に行うことも不可能ではないと思っています。
今後ともよろしくお願いします。

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