慢性疲労症候群に対する認知行動療法について
本日は慢性疲労症候群への認知行動療法についての症例検討会に参加した。
慢性疲労症候群とは、6か月以上にわたって、易疲労、微熱が続く、体が痛いなどの症状がある病気。
うつ病との違いは、それらの風邪にも似た免疫症状が出ることと、うつ気分や企死念慮や楽しみ喜び興味の消失があまりないということらしい。
まあ、鑑別については心理士の仕事ではないので、疑問はあるけど放置したい。
それはさておき、肝心の治療法などを聞くと、これは気分障害圏というよりはむしろ不安障害圏に対する治療に似ている。
認知的な治療のターゲットは、「疲労」という身体症状に対する認知に対して行われる。つまり「疲労」を何だと考えているか、何が疲労のきっかけになると予期されているか、疲労を感じた時にそれをどう評価するか、疲労を感じる自分をどう評価するかなどを取り扱うわけです。
これはまあ他の不安障害や身体表現性障害と同じで、たとえばパニック障害でも「パニックアタック」という症状に対する認知や行動に対して介入を入れるのと同じだ。
行動的な治療のターゲットは、「過活動と過剰な回避」の両方に対してバランスを正常にするような心理教育及び段階的課題割り付けのトレーニングなどが行われる。
完全に不安障害と同じなら当然暴露反応妨害法が用いられハビチュエイションが期待されるところだろうが、それはあんまりやっていなかった。むしろ認知療法の方のアクションプランに近いような、「新たに身につけた自分の考え方を試してみよう」的なものが行われる。
そういう意味では、普通のCBTができれば、特にどうってことないと思う。
慢性疲労症候群という病名を知らなかったとしても、普通に認知行動療法をやれば普通に日常生活の不便として「易疲労感」とそれにまつわる認知や行動が抽出されるだろうし、それを普通に扱えばよい。特段オリジナリティーがあるわけでもなかった。