2013/06/19: 認知行動療法事例検討プレ合宿を終えて

6/15,16に滋賀県は彦根市、CBTセンターのお膝元で事例検討合宿を行いました。その感想などを書いています。
思っていたより多くの人に集まっていただいて、大変感謝しています。

「プレってなんなの?」と色々な人に聞かれましたが、要するに定まっておらず準備段階ということです。

合宿の余韻が残っているうちに、アレコレうだうだ書いてみます。

ディスカッション

宴会

namahamu



認知行動療法を身につけようと考えた時に、色々な方法がある。
最も個人的で簡単なのは、インターネットで調べることで、本を読んだり、論文を読んだりすることは少しずつハードルが高いものの、お手軽に認知行動療法に触れることができる。

もちろん認知療法や行動療法の学会に参加するのも1つの方法だし、研修会なども開催されている。
研修会はワークショップ形式のように参加型で開くこともできるし、ビデオフィードバックもできるし、工夫すれば色々な情報を伝えられる。

滋賀県でも2006~2009年にかけて、様々な先生をお呼びして11回滋賀CBT研修会を開いたことがあり、それなりに多くの参加者に来てもらった。
最近は、京都認知行動療法カウンセリングルームの吉田先生や、滋賀医科大学地域精神医療学講座の田中先生が、近辺で認知行動療法関連の研修会を主催してくれているので、滋賀で研修会を開催するという方向はない。
大阪や福井などでは、まだ開かれるかもしれない。
渡しとしてはむしろ、研修と称して各地を行脚しようという企画で、徳島や長野や島根など、ぶらりと訪れて研修している。
いつでもどこでも呼んで下さい。

一方で、滋賀CBTを学ぶ会という事例検討会を2006年から毎月一回開催していて、次で85回目になる。
よくよく考えると、福井の岡本夫妻や、名物男ジョニー久保田などは事例検討会のほぼ初期から来ていて、未だに今回の合宿にも参加している。なんとも長いお付き合いだ。

会のメンバーはそれなりに変わっているが、他府県からくる人も多く、手前味噌ながら質の高いディスカッションが繰り広げられていて、参加していて楽しい。
CBTを学ぶ会はその後、福井や三重や大阪や神戸に展開していって、福井と大阪だけが今残っている。
他府県でやるには地元で世話してもらえないとどうにもならない。

今回の合宿は、基本的には、この滋賀CBTを学ぶ会のエトスから成っている。
学ぶ会と合宿の両方に参加されたことのある人なら、その雰囲気が似ていることに気づいてもらえるだろう。
合宿ではスタッフとしても手助けして貰えて、感謝しています。


しかしそもそもで言えば、CBTセンターで働くことだって認知行動療法を身につけるための手段だと言えなくはない。
これも手前味噌ながら三田村というスタッフはCBTセンターに一年勤めていたが、今回の発表を聞いて確かに腕を上げたと思った。
三田村さんとの関わりで言えば、陪席をしたりされたりが多かったという印象があり、陪席というのも一つの学ぶ方法なのだろうと思う。
私はかつて身近な認知行動療法かが居なかったこともあり、残念なことに陪席という方法で学ぶ機会があまりなかったが、三田村さんの陪席に入れてもらって、ACTとはどのような営みなのかを勉強することが出来た。
最近では滋賀医大の田中さんの陪席に入ったりもして、色々勉強になっているので、ちょっと陪席についてまじめに取り組もうと思っている。
少なくとも今回の事例報告でMVPを取った名古屋メンタルの岡嶋先生のところには、なんだかんだ理由をつけて押しかけ陪席しないといけない。

似たような事例検討合宿では行動療法学会が開催する「行動療法コロキウム」というものがあり、コロキウムについては良い所も悪い所も含め、今回色々参考にさせてもらった。グループディスカッションとかはある種のパクリでもある。

さて、結局のところ「認知行動療法を身につける」という話に戻ると、戻った勢いで行きすぎて、「そもそも認知行動療法ってなんなのさ?」というところにまで戻る。
島根の研修で認知療法と行動療法の話をした時に、フロアから、「認知療法と行動療法って、結構違うものだとわかりましたが、一緒にする必要があるんですか?」と地元の医師にあまりにド直球を投げられて噴いたのも記憶に新しい。

認知行動療法とは何か?それは難しい問題だ。
閉会の時に「認知行動療法に関する言説が束ねられたもので、認知行動療法は形作られている」というなんだか禅問答のような話をしたが、それは本当にそう思っている。
そこを分厚くしてかないといけないなあと思っている。

今回の合宿は認知行動療法に関する言説を豊かにするための構造であり、そのために色々な機能が設けられた。事例、グループ、一面接の話法、美味しい食べ物、飲み物、服装、敬称etc.
まだまだ色々改良点はあるが、それなりに工夫出来たと思う。

学会やコロキウムの言説は最近貧しく感じられ、ACTの言説は食えたものではない、などと個別に攻撃しなくとも、認知行動療法における対話そのものが、まだまだやせ細って貧弱な状態だと思う。
「正しい認知行動療法」は「歪んだ認知」ぐらいにいけ好かないし、それを言い始めると、おかしくなってくる。まだまだ百家争鳴でいいんだろう。
要するに、「認知行動療法の面接がうまくなる。面接が楽しくなる。クライアントさんが良くなる」以外の要素が入り込みすぎている構造における言説は、毒まんじゅうみたいなもんだ。
ゆえに、今回の合宿は「臨床LOVE」みたいな人にとって過ごしやすかったのではないかと思う。

もちろん世界はそれだけではやっていけない。しかし合宿に来れば皆でその落ち葉焚きにあたることができる。

最後に司会やアドバイザーやグループリーダーを担ってくれた人々のみならず、参加者全員が、私のざっくりしたコンセプトを超空気読んで理解してくれて振舞ってくれて、その振る舞いから私自身が今回のコンセプトを言語化可能になったという事で、大変感謝しています。
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投稿者: 西川公平
2013-06-19 02:14

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