2012/01/07: 認知行動療法研修、入門講座を終えて

新年あけまして、おめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

福井県健康福祉部障害福祉課から委託を受け実施した、認知行動療法研修の第2弾、入門講座について書きます。

入門講座「うつ病の理解&認知行動療法入門」
開催期間:12月11日〜18日
開催地区:坂井、福井、丹南、若狭
内容:うつ病や薬物療法の講義、認知行動療法の基礎理論と実施
参加対者:主に専門家、一般市民、学生

<事業の目的>
うつ病に有効とされる認知行動療法について、うつ病にかかわる医療機関者に対する研修を実施し、この療法の普及とうつ病患者への治療の質の向上を図る。

<うつ病や薬物療法の講義>
多田先生(福井地区、12/13火、夜)
うつ病の偏見や誤解、うつ病とうつ状態の相違について詳しく教えて頂きました。
・うつ状態には、正常は反応〜治療の対象となるものまで含まれる。そのため、「うつ状態は、こころのかぜ」、「うつ病は、こころの肺炎」と分けて考える必要がある。
・実際は、この区別は簡単ではなく、正しい診断をするためには、医師が患者さん本人とまわりの人とコミュニケーションをよくとり、問診(本人・家族)・視診を注意深く行うことが重要。
・薬物療法を選択すべきか否か、患者背景や症状を吟味し、使うべき時にはしっかり薬物療法を行い、そうでないときには可能な範囲の心理教育や生活指導を心掛けている(多田先生御自身)。

岡本先生(若狭地区、12/18日、午後)
脳内のメカニズム、うつ病に使われる薬の仕組みについて詳しく教えて頂きました。
・“うつ症状は、前頭前皮質(おでこの辺り)や視床下部、線状体、扁桃体(脳の内側)における情報処理の不具合と関係している”と考えられている。
・内服治療のみで治る方が多いのは事実。
・抑うつ状態が軽度〜重度を繰り返したり、同じ状態が続いたり、再発を繰り返す場合には、同じ治療を続けるだけでなく、個人に合わせ他の治療法を併用すべき。治療段階に従って活動を増やしていく事も、治療には必要。


県の依頼(県民が広く平等に参加できるよう)も踏まえ工夫した点は、
①講座は、福井県内の4会場、日時・曜日も色々用意し、参加者に選んでもらえるようした。
②会場を、地域の者が行き慣れた建物にした。
③講師を、地域の精神科医にもお願いした。


<参加者数、内訳>
参加者は計80名、うち一般市民21でした。
坂井地区:12名(一般市民4名)
福井地区:28名(一般市民1名)
丹南地区:25名(一般市民6名)
若狭地区:17名(一般市民10名)
詳細なデータ整理はまだしていないのですが、精神科や内科の看護師・保健師さん、心理士、精神保健福祉士・福祉職員さんの順に多く、過半数を占めました。。また、参加者全体の約8割が、初参加の方でした。


<参加者感想の一部>
多田先生ご講義
・“かぜ=うつ状態、肺炎=うつ病”の例えが、非常に分かりやすかった。明日から、患者さんへの説明に利用してみたい。
・なんでも“うつ”という大きなくくりで見てしまうことが多かったが、その種類や深さ、対応の違いなどを学ぶことが出来た。
・診断基準をしっかり分かっておくのも大事だと思った。
岡本先生ご講義
・薬物療法に重点をおいてまとめたお話で、分かりやすかった。
・うつ病になるとなで身体症状が起こるのか、認知療法がどこに聞くのか、聞けてためになった。
西川、木内の講義(うつ病の疾病教育、データ)
・うつ病者の認知的特徴が分かりやすく説明されていた。自殺者が交通事故死者の5倍もいることに驚いた。
・うつ病の症状に、頭痛や腰痛などが含まれていることが印象に残った。
・うつのチェックが自分でできるシートは良い。またやってみたい。
別司の講義(認知行動療法の講義&ワーク)
・CBTは決まったやり方でやると思っていたが、柔軟性があり勉強したいと思った。
・同じ状況でも、その人によってもその日によっても考えや気分が変わる。それを紙に書くことで距離が出来る。コーピングを探すことで辛い状況から少しマシになることが分かった。
・まずは冷静に状況を把握した上で、変えられることは変えて行くことの大切さが分かった。


<主催者側の感想と反省>
CBTを初めて学ぶという参加者さんが、60名(全体の8割)を超えました。職種も多職種で、各地域ともまずまずの集まり具合でした。岡本先生、多田先生の講義も、参加者さんの反応良かったです。心理士にはなかなか言葉にできない、痒いところに手が届く有益な内容でした。年末のお忙しい中、両先生とも本当に有難うございました。
結果、これらの点から、事業の目的に沿った企画ができたのではないかと思っています。しかし、広報がいずれも遅かったのは大いに反省するところです。

企画上、一番考えたのは、初参加の方でも学習が進み易くなるような講座全体の構成です。まいったのは、全9回分の会場押さえと、慣れない公文書と本格的なチラシの作成でした。何事も、経験ですが。
税金を預かるからには有効に使わねばと力んだ結果、ちょっと盛り過ぎましたvv自分が担当させてもらった講義の資料は、推敲が後手後手になり申し訳なかったです。若狭地区の資料が一番良かったのは、事実です。。


<お知らせ>
第3弾は、1月末、2月末に、専門講座を実施します。http://studygroup.cbtcenter.jp/fukui/をご参照ください。こちらは専門家のみ参加可能です。ご了承ください。
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投稿者: 別司ちさと
2012-01-07 12:24

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