2011/11/30: 行動療法学会参加記 〜3日目 西川

行動療法学会参加記 

三日目は学会投稿のシンポ、職員のケーススタディー、そして自ら企画の自主シンポでした。

かつて学会投稿しパブリッシュされる事が唯一世間に情報を知らしめる手段だった時代のまま話がされているのが印象的でした。
それはそうと、私もいつかこういったブログに散文を載せるだけではなく、なにがしかまとまったものを書かないといけないので、参考になった・・・ような、ならないような。

その後はCBTセンターの職員である木内先生の発表でした。
南出先生と同じ感想ですが若手ながら臨床センスと創意工夫に溢れ、患者さんの困りごとJust Fitなセラピーをされていて、大変すばらしく思いました。どちらの先生も認知行動療法を学校では習わなかったという経歴の持ち主なので、学校で習わないという事が臨床におけるアイデアを狭めないための一つの工夫なのかもしれません。あらゆる薬に副作用があるように、あらゆる教育にも功罪がありつつその自覚が大切だなと思いました。
木内先生はどんな質疑なのか・・・と心配されてましたが、事前に私の重箱の隅をつつき過ぎるSVほどではないと説明していました。しかし、ほとんど全く質問が無いとは思いませんでした。身内ながら良い発表だったと思うんですが、フロアに若い先生が多かったからですかね・・・?

よくよく考えればケーススタディー3/7(43%)が滋賀と福井からの発表で、これは恐るべきことで、そろそろ私はケーススタディーを出すのを諦めないといけないのかも知れませんね。


さて、今回のメインのもう一つである自主シンポジウムでは新進気鋭の開業セラピストである、上村先生、太田先生、小山先生にお話しいただきました。
この開業シンポは2008年に続いて今回で二回目です。
このお三方はかなりイケイケでなので、私の中では伊藤絵美先生と合わせてBeauty &Beastをひそかな副題としていました。会場でそう言っちゃいましたが。

トップバッターの上村先生はMaximumハイパーなお方で、まさしくフロアの度肝を抜いていました。まあ、本も書かれているのでアレですが、背水の陣からのロケットスタートで、座して死ぬより走り抜けるといった、疾走感のある素晴らしいプレゼンテーションでした。

続いて太田先生は、カウンセリングルームの名称にあるようにソファーのようなゆったりフカフカしたお話しぶりで、ご自身も徐々にゆるキャラめいてきたなと思います。
開業して2年弱という立場から具体的なお話がなされ、これから開業を考えられている方々にも親近感がわいたのではないかと思います。

最後の小山先生は、正確には開業ではないのかもしれませんが、ぜひ話してほしかった地域や組織に巻かれつつも巻き込んでいくその政治力をお話しいただきました。社会福祉士としてのポジションなんかがやはり社会との接点を巧みにさせているのか、関西という古の都の商売上手さなのか、そんなことを考えながら聞いていました。

三者三様の、大変力量のある、面白いプレゼンテーションを聴けて、企画者としては感無量でしたし、私個人としても触発されました。
司会者としては狙っていたDJ風質疑応答ができたので、完全に自己満足しました。
行動療法学会はフロアからの質問が年々薄くなっているので、多くの質問が集められて良かったです。

カード制にしたことで、最も多く質問が出たシンポジウムだったと思います。シンポ後も多くの人が質問に訪れてきて開業への熱意を感じました。

私見ながら皆さんの“開業に至った”話を総合すると、
「うすぼんやりと開業もアリかと思っているところに、ある日突然人生のストレスイベントが災害よろしく降ってくる。その時に、意図通りでないにせよ開業が開始され、後は頑張る」
といった所でした。人知を超えた何か、とまでは言わないですが、チャンスに後ろ髪はないと思いました。

今回のシンポジウムの裏テーマはBrotherhoodです。我々は個人事業主としてその経営についてお互い話をすることが難しい立場にあります。
もちろんスタッフや仲間はいます。パートナーシップを築ける他機関もあります。友達もいます。しかし、経営者としてはいささか孤独なのです。(私は普段は飲食の個人事業主としゃべって経営者としての孤独を慰めています。)
そんなわけで開業の姉的存在である伊藤絵美先生に指定討論頂けて、とても嬉しかったです。さすがに明白に開業の陰の部分をぴたりと討論テーマに持ってきていただけました。それでもなお「頑張ります」だけ言い張る弟たちに、半ばあきれ気味だったかもしれませんが。
ですから大げさに言えば、このシンポは私にとって自営業者の自殺対策でもあったと言えなくもないです。
再考に余計なお世話かもしれませんが、やがて来る凪の日に今日の事を思い出してもらえれば幸いです。

シンポジウムを終えてフロアを歩いていると、行動療法学会最強の中二力を持った奥田先生と出くわしました。ちょうど奥田先生は仁藤先生と組んで我々の裏番組でやっておられたのです。奥田先生と私はいつでも盗んだバイクで走りだせる(by尾崎)ような中二病仲間なので、このような番組編成もユダヤの陰謀であるという事で一致を得てニコニコしました。
しかし、こっちのシンポも立ち見で奥田先生のシンポも立ち見だったという事は、きっと裏番組はガラガラだったに違いないですね。
このエントリーをはてなブックマークに追加
投稿者: 西川公平
2011-11-30 10:53

Comments

コメントはまだありません。

Add Comment

TrackBack

トラックバック

トラックバッックはありません。