2011/10/05: 西川 認知療法学会 参加記

去る9/30-10/2に大阪で行われた認知療法学会 認知療法研修会に参加してきました。

住友病院の東斉彰大会長をはじめ、スタッフのみなさん、お疲れ様でした。
スタッフも参加者も普段大阪の認知行動療法系勉強会などで顔を合わせる人々で関西のCBTの人々が一堂に会した感じでした。

その時の感想など

実は私自身は今回発表が無かったので、座長をしたり広報委員会に出たり、部下の面倒見たりが主だった仕事でした。

座長も委員も学会の仕事をするのは今大会が初で、ホントはあんまり仕事をしたくないんだけどなーと思いつつ、まあ仕事なので遅れてはなるまいと前泊し、スーツを着て、出かけました。そういえばスーツでの参加も初・・・。
ついでに言えば総会に出たのも初めてかもしれません。

座長業は基本的にはタイムキーパー兼司会です。フロアから何もない時は、コメントする必要があります。
しかしフロアから何もないというのは勇気を出して発表したものとしてはいささか悲しい事なので、できるだけフロアの意見を活性化したいと思いつつ、発表8分質疑3分という時間枠を守りきるというのは両立が難しいなと思います。

あと私にとって難しいのは、コメントする事よりもコメントしないことだなと思いました。
特にコメントが発表の正中線をついていないときには、微妙に付け加えたり修正したりしたい気分に襲われます。

委員会は偉い先生方ばかりで緊張しましたが、まあつつがなく終わりました。私的には規制緩和の方向で話が進んだといった感です。

そういった諸用は初日の午前中にすべて終わり、以後はまあヒマというか、のびのびと適当にコメントしたり、酒飲んでくだ巻いたりといういつもの学会でした。

フロアでも会場でも千葉大学の某小堀先生が居て、千葉トレーニングコースの生徒さんたちに指導しているのを横目で見つつ「・・・なんか面倒を見る人側に回っちゃったねー」と二人でボヤいてました。

一番印象に残ったのは滋賀医大の田中恒彦先生によるCBTのスーパーバイズに関するシンポジウムでした。
最近田中先生とは顔を突き合わすことが多く、このシンポジウムについてもあれこれ事前に訊いていたのですが、それでもなかなか充実した、新鮮な情報発信だったと思います。

内容は、田中先生、飯倉康郎先生、原田誠一先生が自らの体験も交えつつ認知行動療法のスーパーバイズについて語るというもので、なかなか面白かったです。

私も時節柄、個人SVをしたり、勉強会前にスライドを手直し(スライドSV??)することもあるので、なんというか話を聞きながら感じ入っており、コメントするのを忘れました。

そういえば原田先生のご発表時に隣にいた某小堀先生が何かの体験を思い出されているかのようにしきりと頷かれたり呟いたりしていて、あたかも再体験しているかのようでした。

原田先生の発表の中に「スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係で、いささか抑制が取れ気味になりやすい」というくだりがあり、振り返って考えてみると確かにそうだなと思います。
バイジーからの数々の、時に身体症状を伴う訴えを経て、年々私のスーパーバイズはやさしくフレンドリーなものになっています。

それはおそらく学会でのコメントもそうです。古い歌に「ナイフみたいに尖ってて、触るもの皆傷つけた♪」という一説がありますが、CBT学会参加初期はまさにそんな感じでした…。

良く考えれば、その怖い人になっちゃう件について原田先生に相談したことすらあります。ただ、原田先生の言を借りれば「原田先生のSVよりは怖くないはず」と思っていますが。

「SVの時の私は、カウンセリング場面での私の姿とは全然違ってて、クライアントさんの前では穏和でクールでフレンドリーなはずだ」・・・と思っているのですが、実は攻撃性に気が付いていないのは自分だけかもしれませんね。

まあでも、シンポジウムを経て感想としては
「スーパーバイズなんてものは当然怖いものだし、それは致し方ない。むしろ不安を感じない人が変なのか、SVではなくただの慰めになっているだけだ」
「ある種の建設的な痛みというものはある(歯科治療のように)。しかし、痛い事が建設的であることの証拠にはならない」
「結局、クライアントさんも同じ種類の怖さを、カウンセリングに際してもっているのを、わが身を持って理解しないといけない」
みたいなことをぼんやりと考えてました。

今回の認知療法学会では頑張って発表した人もいるだろうし、控えた人もいるだろうし、コメントした人もいるだろうし、したくてもできなかった人もいるだろうけど、いずれにせよ「自らが乗り越える」体験をできない人は、誰かにをそのように援助することもできないだろうなと思います。
特に曝露反応妨害法は治療者にとっても曝露な側面があって、学会発表の中には必ずと言っていいほど「強迫性障害に初めて曝露反応妨害法をやってみました」というものがあるのも、その種の乗り越えた的感動があるのかなあという事を思いました。

小さいことを言えば学会で名刺交換した人に、その後ちょっと連絡をすることがあるけど、そういうのもプチ乗り越えた感があると思う。Facebookの友達申請とか・・・。

特に私はちょっとした社交不安なので、そーゆーのにいつも躊躇しながら、コメントしたり、メールしたり、ボタンを押してしまっています。


そんなわけで、ブログへのコメントよろしくw
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投稿者: 西川公平
2011-10-05 02:01
カテゴリー: 雑談

Comments

inouehajime on 2011/10/06 2011-10-06 17:32

コメントテストです。

某小堀 on 2011/10/06 2011-10-06 17:42

今年の学会では、会場をあちこち走り回っては、研修生たちの発表をバックアップしていました。まだまだ、選手兼監督、プレイングマネジャーでいたいですけどね。そのうち、座長の仕事も回ってくると、目は回るけど首が回らなくなってくるのかもしれません。

SVのシンポジウムは画期的な内容でしたね。原田先生の発表を聞いていたときは、再体験しつつ認知再構成が生じるという、イギリスCBT風に言うと'Imagery Rescripting'を体験しました。

田中@滋賀医大 on 2011/10/06 2011-10-06 18:34

ども。私のシンポに対しての言及ありがとうございました。

私自身も企画してよかったなぁと思っております。
バイジーの実態調査ってあまり聞いたことがなかったので(文献も調べましたが少なかったです)、やってみてなかなか面白い結果だったと思っています。

別司さんもコメントしてくださっていますが、もう少し改良した形で調査を行なって
情報の収集と発信をしていければいいかなと思っています。

認知療法学会も、行動療法学会も、若手が元気なのがいいですよね。
若手が企画して、上の先生たちがそれに登壇してくれるっていうのは
学会の状態としてとてもいいものだと思います。

gestaltgeseltz on 2011/10/18 2011-10-18 13:58

>小堀何某さん
お疲れ様でした。研修の事を色々考えさせられた学会でした。

>田中さん
その形式が一番いいと思います。友達ごっこみたいなシンポジウムも多いですからね・・・。

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