2011/10/04: 別司 認知療法学会 参加記 1日目

9/30、10/1、2、大阪で行われた第11回日本行動療法学会に行ってきました。
口演3と、自主シンポに参加して感じたことを、忘れないうちに書いてみます。

「うつ病に対してマインドフルネストレーニングを適用した症例」
有村達之先生(九大大学院研究院心身医学)
有村先生は、9月の心理臨床学会でお世話になりました。有村先生は、とてもクリアに、しゃっきとお話されます。発表が8分とは思わせない、スライドの構成も話し方も余裕がありました。あぁやるんですね。
マインドフルネスとは、自分の認知、感覚、感情を、もう1人の自分が斜め後ろから眺める。一定の距離をとり、否定も肯定もせずに。そんな感じ?
(もしこれで一部あっているなら)イメージとしては分かる気がする。“あるがまま、受け入れる”は私も好むものだし、上司から習った認知療法にはそもそもこのような方向性があった。
しかし、ABAを分からずにマインドフルネスを学ぼうとすると、混乱が起きそうで、学ぶ抵抗がありました。心理学・心理療法=自分のアイデンティティーととして陶酔する者にありがちな、構成概念と構成概念の掛け合わせで、分かった気になるが何も言えていないトートロジーに陥りそう。しかし、有村先生のセッションの中で行われていた事は、カジュアルに、構成概念を多用せずシンプル。学んでみようと、興味が湧きました。でもやっぱり、ABAが先ですかね。


「認知行動療法におけるスーパービジョン〜SV不安への認知再構成〜」
企画・話題提供:滋賀医大の田中恒彦先生
話題提供:原田先生、飯倉先生
指定討論:最上先生
なんとも豪華なメンバーでした。最上先生の日本語が、英語なまりであることに驚きましたvvそんなことってあるんだ。

さて、田中先生のアンケート(バイジーがバイズの中でどんな感情や自動思考になるか)結果の上位にあった認知。
・CLに迷惑かけてしまっている
・Clに役に立っていない
・自分は臨床家に向いていないのでは
私の認知とかなりかぶっていて、ウケた。これに続けて、「そんな私はつまり…」という質問項目を設け、自由記述をさせたらまた面白いかも。結局、それらを自分のこととしてどう捉えているか、クリアになるから。

原田先生の体験話も、興味深く聞かせて頂きました。


<臨床心理士の教育システム>
教員や医師の現場と違い、私たち心理士の職場は、他人の目に曝される文化、教育システムがない。
名の売れた都内の某大学院でさえ、大学側で実習先を確保できず、『院生自分で探して来い』というありさま。少子化のこの時代、生き残りをかける大学の客寄せパンダばかりしているから、こんなことになる。臨床心理士資格認定試験時にも、『SV受けてますか?』と厳しく突っ込むわりに、卒後研修体制がまるで整っていない。
こころの専門家などと市場拡大をする前に、資格認定協会はたっぷり余っているお金で教育システムを整えないと。クライアントを始め、現場で協働させてもらう他職種の方々にも、失礼だ。と、日頃から思っています。
<SV外傷>
院生時代の学内事例検討で、SV外傷(九大、有村先生、2011年度心理臨床学会)と呼べる状態になった心理士が、私の知人にもいる。
事例検討の場で、根拠のない個人的な考えを優先し、学生を罵倒するバイザーは、所詮そこまでの人。的確な指摘は一切なく、『あなたはCLに寄り添ったわ〜、CLの成長を支えたわ〜』と、施術者の態度だけを曖昧に褒めるバイザーも、気持ち悪いが。合わないバイザーだと思えば、離れるのが賢明だろうな。
<SVの機能と必要性>
自分の施術を先輩に見てもらうこと(SV)は、自分の技術不足に直面化できる、有益な機会だと思う。クライアントのニーズに応えるため、倫理的側面からも大切だと思っています。
“臨床家を辞めるか続けるか”と、冷静かつ本気で自分の技術に問いかけられる機会は、とても素敵じゃないですか。でも、その作業工程は複雑なので、凡人は、通常一人じゃできない。自分の臨床をミクロ・マクロな視点から、的確な指摘を頂けたら、痛みはともなえど、実りあるSVになる。
“SVの不安や恐怖は、戦うのではなく、身をひたす、ゆっくり味わう”
この工程を、個人のペースで進められるよう配慮されたSVは、ありがたいもんです。
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投稿者: 別司ちさと
2011-10-04 01:34

Comments

田中@滋賀医大 on 2011/10/06 2011-10-06 18:40

ども。田中です。

ご提案ありがとうございます。続けて調査を行おうと思っていますので、
次回の調査の際にはぜひ参考にさせていただきます。
SVの自動思考の調査は行なってみて非常に興味深い結果でした。
もう少しアンケートの作り方をクリアなものにしないといけないなぁと反省しました。
心理臨床学会行ってないので、有村先生のお話聞けてないんです。
ぜひ今度教えてください!!!

別司 on 2011/10/10 2011-10-10 22:12

>田中先生
アンケート、そうやってブラッシュアップされていくんでしょうね。
有村先生、ぜひ今度!!
楽しい企画のお陰で、勉強会のこと、自分のこと振り返ることができました。
つい、面倒で、思考の回避をしてました。

gestaltgeseltz on 2011/10/12 2011-10-12 20:13

有村先生とは仲良くなったけど、エコの話しかしなかったな〜

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