2011/01/11: 第三回大阪・神戸CBT研修会を終えて

先日大阪に遊佐先生と北野先生をお招きして、第三回の研修会を行いました。
その時の感想など。

これで第3回を迎えた大阪・神戸CBT研修会だが、今回のテーマは「重症・入院・チーム医療」。
開業カウンセリングルームであるCBTセンターが普段取り扱えない話がテーマでした。

実際のところ大阪や神戸の勉強会において医療関係者などに「重症例におけるCBTの扱いについて」質問されることがあっても、なかなか実地に即してというのが難しかったので、まさにそのあたりをご講義頂けた。

二人共の話に共通して感じていたのが、「重症な方と相対するときほど、援助者としてのこころの在り方と技術が高いレベルで求められる」ということでした。
とかくActingOutしがちな場合であるからこそ、その相手のことを承認し、受け止め、援助していかなければならないということを繰り返しおっしゃっておられて、そのことが印象的でした。

またCBTはかつての歴史から「冷たい・クールな・理知的な」というイメージがあるところ、二人の先生はむしろかなりハートウォーミングな印象で、そのこともまたよかったのではないかと思います。

ただ、お二人の講師がのほほんおっしゃっていた、「対象者を承認する、心を開く」って、なんだかそれって当たり前のことじゃないかと思われるかもしれませんが、感情調節が著しく困難で精神科入院に至っている方や、処遇困難・触法の方などと相対してもなおそうすることは、なかなかに難しいところがあります。
たまたま私は司法関係の仕事をいただくことがありますし、CBTセンターにも暴力の加害者がカウンセリングを受けにくることがありますが、やはり何かしらの緊張を感じます。

例えば統合失調症に対するCBTでは、従来の妄想を無視するアプローチではなく、ある程度妄想の内容などにも踏み込んで付き合っていこうというアプローチになります。
しかし相手の方が妄想から数人殺傷しているヒストリーを持っている場合、がぜん「妄想に踏み込んで付き合っていく」というアプローチをとることが難しくなります。(念のために、統合失調症の方の犯罪率は、統合失調症でない方よりも低いです)

あえて例えれば草原を散歩するのに日本とカンボジアぐらいの違いがあります。

その違いをフラットにして、「対象者を承認する、心を開く」ということができるということがあり、その上にCBTの知識や技術が乗っかっているというのが、今回の印象でした。
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投稿者: 西川公平
2011-01-11 12:56

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