古い日本のこころの病を表わす言葉について
私自身は最近まで知らなかったのだが、癇性病み(かんしょうやみ)という言葉がある。
同じ言葉は徳島ではうっしょう・うっしょうやみというらしい。牛症?鬱症?どの漢字だろう・・・
大辞泉によると
癇性かん‐しょう〔‐シヤウ〕【癇性/癇症/疳性】[名・形動]
1 ちょっとした刺激にもすぐ怒る性質。激しやすい気質。また、そのさま。「―な(の)子供」
2 異常に潔癖な性質。また、そのさま。神経質。「―に部屋の隅まで掃除する」
となっている。
癇性という言葉は夏目漱石の「こころ」などにも出てきており、当時一般的な言葉だったのだと思う。今でも関西の方では癇性病みという言葉を使うらしい。
しかし調べていくうちに、この「癇性」という言葉は漢方や鍼灸、柔術整体などでも使う言葉らしくて、私はよく知らないがひょっとしたら精神病理や精神分析の古い論文や、森田療法や内観療法など和式の治療法なんかにも書いてあるかもしれない。
ところが、もう死語なのかと思いきや「癇性病み」で検索するとGoogleで1300件ぐらいヒットする。けっこう使ってる人いるんだな・・・。
癇性病みは、程度にもよるだろうが現在の精神科診断基準によると強迫性障害となるところだろうが、実は二つの言葉を結びつけるホームページが無いことに愕然とした。
つまり「癇性病+強迫性障害」で検索をかけると、Googleで1件、Yahooで0件なのだ!
ちなみにこれは強迫神経症でも同じ結果だった。
そ、それはまずいだろと思って「癇性 +強迫(-てんかん)」で調べてみた結果、Googleで48件、Yahooで25件ヒットした。
うーん、少ない。まさに治療者と一般人の使う言葉のギャップだ。
というわけで、このような文章をしたためたわけです。
ちなみに心配になって「潔癖症 +強迫性障害」とかで調べてみると、Googleで10,000件、Yahooで3,600件ヒットする。まあ、これはそれなりに行き来のある言葉なようです。
しかし、色々調べてみると、昔の日本の言葉ってのも、なかなか面白い。五行思想が入ってたり、物の怪がいたり、虫切りしたり・・・。なかなか愉快そうなのでちょっとまた何か書いてみます。