滋賀CBT研修会の感想など
原田誠一先生を招いて、第三回滋賀CBT研修会を開催させてもらいました。
皆さんのご協力もあって、つつがなく終わり感謝しています。
かなり遠方から参加された方もあって、大変だったと思います。原田先生も遠距離来ていただきありがとうございました。
しかし残念なことに滋賀からの参加者はそれほどではなく、参加者の10%程度でした。滋賀のCBT事情はまだまだだと思います。
原田先生の研修は素晴らしいもので、各種疾患を総なめでした。特に各種疾患の中でも薬剤難治性の問題をしっかり認知行動療法で扱われていたのが印象的でした。
精神科疾患の患者さんで「お薬が効かない」という声をしばしば耳にします。中にはドクターまたは薬剤師のインフォームドコンセントミスで、副作用情報やSRIの反応遅延が説明されていなかったり、という本来は効くんだけどアドヒヤランスが高まらず、飲んでもらえないので効かない、というスタッフの失敗もあります。
しかし中にはしっかりお薬を飲んでも本当に効果がない人もいる。この「お薬が効かない人」の存在について示し、かつ精神療法の一つである認知行動療法を代替えし、効果を上げているというのは本当に素晴らしいことだと思います。
何年も服薬しているんだが良くならないという状態を何とかしてこそ精神療法であり、認知行動療法だという一面が現実としてあります。本当はお薬がある程度効く方にも治療や再発防止に役立ててほしいのですが、なかなかそういう方の利用頻度は少ないのが現状です。
内容は患者さん自身が病気について知り、共に治療を進めていこうという共同経験主義に基づいて認知行動療法を行うための最初のステップである「心理教育」について、各疾患ごとに丁寧にわかりやすく教えていただきました。
特に統合失調症への認知行動療法や、境界性人格障害に対する認知行動療法(弁証法的行動療法にあらず)、心的外傷性精神疾患に対する認知行動療法などは、興味深く、それら疾患に対して我々心理カウンセラーはいささかナイーブになっているところがあるということを改めて教えてもらうと共に、認知行動療法というアプローチの幅広さも実感しました。
私もこの最初のセッションの心理教育という部分が最も重要だと思います。
まあ結局カウンセリング中を通じて色々と心理教育が繰り返されるわけですし、あるいは仮説検証するわけですが、この部分をどれだけ個々の患者さんの個別性に即して行えるかがキモなんだなあと思いました。
とても充実した研修で大満足です。