2011/12/19: 山花塾 in 福井2011 参加&企画記

福井県臨床心理士会との共催で、早良病院の山上敏子先生と、花クリニックの矢花先生を講師にお迎えし、両先生の豊富な臨床経験に基づいて、ご講演いただきました。
その時の、雑感を書きます。

今年度、福井県障害福祉課から委託を受け、多職種向けに、CBTの連続研修(4地域、全9回)を企画しています。今回は、その第1回目となりました。
福井県臨床心理士会の企画に、途中から乗っからせて頂く形になりました。私の中に、大きな企画開催のノウハウが蓄積していないため、先生方のお手を煩わせてしまいました。ですが、企画開始時〜終了まで、笑いあり涙あり?の、思い出深い時間でした。


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12月3日午後:行動療法総論〜問題把握の仕方〜(オープン・県委託事業・第17回福井嶺北CBTを学ぶ会)
12月4日午前:行動療法の実際〜ケースの進め方〜(オープン・福井県臨床心理士会事業)、午後:事例検討(クローズド・福井県臨床心理士会事業)


ちょうど1週間前、吉田先生らによる山上先生の研修(第13回京都行動療法研修会、『認知行動療法を学ぶ会』第174回定例会)がありました。これを予習にさせてもらい、2日間を迎えました。

なるほどと思った点&有り難かった点は、
・『行動療法に対するイメージが変わった』という意見が多く、行動療法の温かさが、参加者に伝わっていたよう。
・援助者側の姿勢、場の雰囲気や臨床の大まかな流れが、参加者に伝わっていた。
・本人の苦痛が軽くなるため、「本人さんの言葉を丁寧に聞き、行動、障害感、背景にある出来事や経過をとにかく細かく聞くことが大切」
・「人格論を持つ他の精神療法とは異なり、行動療法はシステム、援助を具体的に進めていくための“方法”に過ぎない」
・「治療者側の人格で治すものでも、型にはめて治すものでもない」、「多くの事を考えながら、方法を本人に合わせていくことが大切」
・2日目午後の事例検討では、5ケースも出た。
・フロアーからの質問が、初歩的なものから鋭いものまで、たくさん出た。


疑問な点は、
・行動、障害感、背景にある出来事や経過を、おしゃべりの中から結局どう細かく聞き出すのか。何を目的に、結果をどう予測して介入したのか。どこの“刺激と反応”を具体的にとるのが望ましいか。を、説明されなかった。
このベースとなる行動療法の理論について、講師とフロアーが共有していないので、質疑応答はカラカラと流れ、「とにかく詳しく聞く!」と終了することが多かった。何度か突っ込んで質問させて頂きましたが、「長年の勘、瞬間技、必要だからやった」と表現され。。あれれ。フロアーは、行動療法の理論を理解し&臨床に長けている専門軍団ではないので。。


全9回の第1回目、“行動療法を用いた場の雰囲気を、フロアーに感じてもらう機会”としては、有益な研修だったと思います。また、質問が多く出て、ディスカッションの場が盛り上がったことは大きな成果だと、心から思っています。絶妙な掛け合いと共に、両先生が支えてくれたのだとも。


『方法としての行動療法』を、きちんと読んでみます。行動療法―具体的に“とる”ための技術:『山上敏子の行動療法講義with東大・下山研究室』も、読んでみたいと思います。

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日常用語で臨床メインで語る回、理論や技法をメインにする回。それぞれの功罪を、改めて考えました。何を研修の目的にするかによって、異なるでしょうが。技法を語れば、臨床の場の雰囲気、運用の流れが見えにくいし、難しいもんですね。なので、福井北部の勉強会は、基礎技術研修と事例検討の両輪で進めてきましたが。


さて、連続研修、残るは1月末(認知療法研修・滋賀医大の田中先生)、2月末(行動療法研修・なごやメンタルクリニックの岡嶋先生)に、専門者向け研修を開催します。「臨床を進めるため必要となる技術の習得」は、理論の理解と合わせ、ここにに持ち込みたいと思います。


健康に関わる私たちは、精神疾患や各心理療法に対し、正しい知識と経験を持ち&偏見を少なくしていく努力が必要だと思っています。福井北部の勉強会も、まだ17回。来月175回を迎える井上先生のとこの、10分の1ですvv 何かと迷いはありますが、楽しみながら地道に回を重ねて行こうと思います。
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投稿者: 別司ちさと
2011-12-19 20:44

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