2011/07/11: NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る」無事終了

NHK厚生文化事業団 主催のNHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る」(大阪)でしゃべってきました。
司会はNHKの町永俊雄さん、共演は近畿大学医学部精神神経科学教室教授の白川治先生、漫画家・エッセイストの藤臣柊子さんでした。


研修や講演で独りでしゃべるのはそこそこやったことがあるのですが、こういう数人でフォーラム形式はあまりない経験で、なかなか興味深かったです。

当日の大阪は35度以上の猛暑日にもかかわらず、700人近い人々が話を聞きに来てくれていて、うつ病や躁うつ病に対する興味・関心の高さを思わせるとともに、いやはやNHKの広報ってスゴイなと思いました。

みなさんご存知のNHKの町永さんはとっても気さくな方で、楽屋での打ち合わせから本番終了までアットホームでやわらかい雰囲気を作り出し続けてくれて、本当にすごいと思いました。
私はほとんど全員と初対面だったので、ちょっとドキドキものだったにもかかわらず、町永さんをはじめNHKのスタッフさんたちの醸し出すリラックスしたそれでいて安心できるプロの雰囲気にゆったりとつつまれてました。

アナウンサーという方々は”原稿をバシッと読む”ものかと思ったら、町永さんは自由闊達というか、会場を和ませたかと思えば出演者にキラーパスを送ってみたりと、かなりフレキシブルな司会進行でありながら、しかしタイムキープは完璧という、すごい技術を披露してくれました。
例えて言えば、譜面通りに弾くクラシック的なピアニストではなく、コード進行の中で音を紡ぎだすジャズピアニストのような雰囲気で、いやはやさすがに”人前で話をする”プロは違うなぁと感心する事ひとしきりでした。
打ち合わせも、原稿に書いた文字を追うというよりは、パネリストが言わんとしていることのニュアンスをうまく拾い、チューニングを合わせておいて、本番に活かすというような感じだったと思います。
意図が掴まれてチューニングが合っている状態で、あとは本番の掛け合いトークでアドリブを楽しむという運びの巧みさに驚きました。
あと、じっさい、町永さんと藤臣さんは数回ご一緒されているだけあってチューニングの合い方がハンパない感じでしたw

白川先生とも初カラミでしたが、とっても柔和な方で柔らかにそれでいて専門的な知識を判りやすく披露されていました。
「流行りや廃りで新しいものに飛びついて、その場限りのいい加減な事を言う」みたいなことが決して無い方で、また打ち合わせの時も発言がどのように聴衆に響くか、ネガティブな要素が無いか細やかに気を使われていて、本当に実直な先生だと思いました。
ちなみに白川先生のホームページはこちら

藤臣さんとも初カラミでしたが、本当に気さくな方で力の抜けたゆるーい感じがとっても癒されました。楽屋で休憩時間や終わってからの打ち上げでも、病気や治療の話はもちろんの事、四方山話をあーだこーだ話してて、全然疲れないというか、人に気を使わせるという事が無い気遣いがすごい方だと思いました。
ちなみに藤臣さんのホームページはこちら

あとは、事前の打ち合わせから台本作りから、アナウンスから、その他諸々、スタッフの方々がチーム一丸となってこのイベントに取り組んでいる士気の高さや和気あいあいとした感じがとても印象的でした。
訊けば、今日は大阪、昨日は徳島、おとといは高知、明日は秋田・・・と、キャラバンのようにお仕事をされているとのことで、ゆく川の流れは絶えずして・・・ではないですが、本当に大変だなあと思いました。


さて、肝心のフォーラムの話は・・・というと、一部と二部に分かれていたんですが、主に二部を担当しながらも一部にしゃしゃり出てしゃべってしまい、少し反省です。二部の認知行動療法ではいささかしゃべりすぎたかも・・・。
全てのフォーラムを通じて、心理士/カウンセラーの出演は私だけだったので、できるだけいつもカウンセリングでやり取りしているような具体的な話ができればと臨んだのですが、上手くいったか自信はありません・・。

また、ようやくフォーラムの雰囲気がつかめてライブ感が出せそうなところで、ちょうど時間となってしまったので、残念です。
次があれば次はもっと掛け合いを楽しみたいなと思いました。
全体的には、まだまだ修行が足りんなという感じです。

いずれにせよ、人前で話をするという事や、研修を企画/広報/運営していくという事に関して、とっても勉強になりました。


写真は控え室にて出演者とともに。(クリックすると拡大します)
NHK
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投稿者: 西川公平
2011-07-11 01:42

Comments

横山 on 2011/07/11 2011-07-11 06:31

お疲れ様でした。私も聞かせていただくことができました。
とっても良かったです。

NHKの町永さんは福祉関係の番組を多く担当されていて、さすがに慣れているという感じでした。うつ病とかにもお詳しいですね。
白川先生のお薬の話も興味深かったです。特に気分安定薬が双極性障害の鬱状態を上げる効果に乏しいということは知りませんでした。新しく認可されたという抗てんかん薬は期待できるのでしょうか。
藤臣さんの話は当事者として、パニック発作を起こされたときの体験や病気に向かうスタンスがとても参考になりました。

あと、西川さんがとても話が上手だと今更ながら感心しました。認知行動療法や対人関係療法についてたとえを用いながらわかりやすく説明されていたと思いました。聴衆の方々の反応もとても良かったようです。(また、マスコミ関係からお話がくるのでは?)
私は対人関係療法については、知らないのですが、昨日のお話を聞き大変興味を覚えました。

双極性障害の見分け方のところで西川さんがおっしゃった「大」のつく行動に注意、印象的できたが、これは文脈から、病前の行動(性格)での見分け方という理解でよいでしょうか?

最後の皆さんの一言もとても良かったです。
西川さんのお話で、藤臣さんがうるっとされていたように見えました。私も感動しました。
とにかく行って良かったです。ありがとうございました。
長くなりましたが、感想まで。
また勉強会に参加したいと思っております。

gestaltgeseltz on 2011/07/11 2011-07-11 14:22

>横山さん

私は人前で緊張する性質で、しかも大阪で全然知らん人ばっかりやし・・・・・と思ってたら、客席真ん中ぐらいに横山さんが座ってるのを発見して、やや安心してました(笑)

白川先生の話にあるように気分安定薬の抗躁効果は高いものの、抗うつ効果はそれほどではなく、そのあたりをCBTなり対人関係療法などで底上げしていくのがベストなのではないかと思っています。

「大」のつく行動は、うつっぽい時でも何かを払しょくしたくて、いわゆる健全なアクティングアウトの類でも観られるかと思います。

最後なに喋るかは、事前にはまったく何も考えていなかったので、ちょっとあわてましたが、「あの時あの場で求められていた事」に合致していたのだとしたら幸いです。

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