ASD/PTSD

トラウマ治療のその前に

トラウマ治療はおよそ「望まない時に蘇ったり、蘇らんとして各種症状が出現し生活が不便な記憶の処理」が中核となる治療です。
このような記憶の処理はどのような状況において為されると良いのでしょう?

それは少なくとも、クライアントさんがそれなりに安全で元気な状態であることが重要です。

記憶の処理を部屋の片付けに例えると、トラウマ記憶は押入れに詰め込まれたモノみたいなものです。
そんな押し入れを片付けるための前提条件として、まず部屋がある程度片付いている必要があります。
ぐちゃぐちゃの部屋に、さらに押し入れから山ほど物を出してきて整理するとなれば、これはもう大変面倒な感じです。

そんなわけで、トラウマ記憶を処理する前に、ある程度日常生活が成り立っていることなどが大事であり、とくにPTSDは40%がうつ病を併発すると言われていますから、うつ病を治療しておくことが重要になってきます。

とは言っても、PTSDとうつ病を抱えた状態の方に対して、まず最初どの程度生活を整えるのにコストを割き、しかるのちにどの程度ぐらい回復したら記憶の処理へと移行するのか、取り立てて明白なラインが有るわけではありません。
その辺りはセラピストとクライアントが、日常生活上の必要性などを考えた上で、そろそろやりますかと合意して行っていく必要性があります。

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