認知行動療法を何から取り掛かるか(セルフ編)

認知行動療法(CBT)を自分で使っていく際、どこから取り掛かれば良いのでしょう。
ここでは自分でやる際にどうやってターゲットを絞るかについていろいろ書いてあります。

どこから取り組めば良いか

認知行動療法では、まず最初に「状況(気分/身体/思考/行動)」をチェックします。
しかし、自分独りでやる際にはこれをいきなり行うのは、なかなか難しいでしょう。
認知行動療法を施術するプロと一緒にやったとしても、いきなり「状況(気分/身体/思考/行動)」の全容を、最初からチェックする事は難しいのです。

外枠から観察する

そもそも自分の困り事はどんな事で、どんな場所で、どんな時間に、どんな頻度(回数)で起こっている事なのでしょうか?
何か一つ困りごとを見つけて、その事を観察してみましょう(セルフモニタリング)。
このとき注意してもらいたいのは、観察するのはあくまで「行動」です(参考:行動療法の行動とは)

測定するもの例

  • 生活のリズム:布団に入る時間、寝る時間、起きる時間、布団の中にいる時間、etc.
  • 一日の活動性:時間ごとに何をしようと予想しているか、実際に何をしたか、etc.
  • 食事:何を食べたか、どれぐらい食べたか、何時に食べたか、体重、etc.
  • 繰り返す行動:手洗いの回数、WCの回数、元来た道を振り返った回数、etc.
  • 身体症状:おなかの痛さ、頭の痛さ、吐き気の量

優先順位を決める

自分の抱えている問題が一つであれば良いですが、複数ある方は優先順位を決めましょう。
その際に重要なのは、長期目標と短期目標を分けることや、自分の進みたい方向と一致しているかどうかです。
それらを決める際は、ひとつづつの目標をまず付箋紙などに書き、それらを短期、中期、長期などのスパンで種類分けして、取り組みたい順番を決めると良いでしょう。

気分を測定する

気分というのは、その背後にある思考を探り出すためにとても重要なものです。認知行動療法は良く「認知を変える療法」だと誤解されがちですが、認知療法の目的はあくまで気分を変えることです。
そこで、まずは気分を測定しましょう。いやな気分がした時に、その気分の種類と強さを書き、その時の状況を簡単に書くというのが気分の測定です。
気分は一つの状況でいくつかいても構いません。難しいようなら最初のうちは「気分カード」などを作って、もやもやした時にカードを見比べてみると良いでしょう。
気分の測定が上達していると、その後の認知再構成の際にとても役に立ちます。

気分の例

  • 不安、恐怖、焦り、恥かしい、怒り、イライラ、
  • 抑うつ、悲しみ、落ち込み、がっかり、あきらめ、
  • 罪悪感、後悔、無念、劣等感、絶望、辛い、切ない、
  • 驚き、ショック、混乱、パニック、
  • 軽蔑、憎しみ、嫌悪、嫉妬、不満