2007/06/13: 不安障害と気分障害

社会不安障害(Social Anxiaty Disorder)と気分障害(うつ病)の絡みについて

開業してメインで来る人々はうつ病の人。
疫学的にはうつ病の人が最も多いので、それはうなづけるところだが、しかしまてよ?と思う。

およそ精神科の周辺で仕事をするものとしては、うつ状態と不安状態が気にかかるのだが、それにしても不安状態が高い人が多い。
ヒヤリングしてみると、うつ状態に陥ったのは2年前だが、不安状態はもっと前から続いていたりする。
これはメインが社会不安障害で、ある時期からうつ病を併発しているという事だろう。こんな場合うつ状態が回復しても、高不安状態が続いていれば、容易に再発する。

実際はうつ状態になると不安も連動して上がるのでうつ病発症前の不安状態がどうだったかはわからないし、またうつ病の回復期に不安や焦りが出てくるのは当然なので、そのようなプロセスの問題なのか、SADなのかが区別も注意しないとわからない。
それにしてもメインをウツととるか、不安ととるかによってCBTでは治療の方法が異なる。
いずれにせよウツから始めるのだが、それはメインの部分に到達するまでの前哨戦みたいなもんで、うつ状態ではないピュアなSADになってからが本番だ。
その辺りのところもインフォームドコンセントしなければいけない。
すなわち「あなたをたった今苦しめているのはやる気がおきないというウツの問題だけど、そうなりがちな不安の問題があるので、先にうつの問題から取り組んで、その後希望があれば不安の問題にも取り組んだ方が良いと思う」と言う事を伝えないと、「ウツじゃなくなったから治療終了だ」という風になってしまう。

ちなみに薬物療法ではどっちにせよSRIを入れるので、弁別する事に大して興味が無いかもしれないですけどね。
このエントリーをはてなブックマークに追加
投稿者: 西川公平
2007-06-13 13:36
カテゴリー: 社会不安障害

Comments

コメントはまだありません。

Add Comment

TrackBack

トラックバック

トラックバッックはありません。