2009/04/26: 精神科疾患と再発

こころの病気と再発について

良くいわれている事に、うつ病は再発するというのがある。
1度ウツになると、2回目なりやすく、2回目ウツになると3回目はよりなりやすく・・・と言われている。

まあそんな感じで2〜3回のうつ病エピソードを繰り返してから、カウンセラーのもとを訪れる人というのが結構いる。
むしろそういう人の方が多いかもしれない。

それが例えば、「病気だと薬を飲むから、薬を飲まなくなったら病気じゃない」というような論理的混乱をきたしている人であれば、そのあたりを整理(つまり認知再構成)して、きちんと薬物療法による治療をコンプリートするサポートを行えばよい。いわゆる服薬アドヒアランスの向上というやつだ。

あるいは、単に不安中心の症状なんだけどそれが扱われてないゆえに[過剰⇒燃え尽き⇒休職⇒回復⇒不安⇒過剰・・・]というのをエンドレスに繰り返しているんだったら、不安を扱っていけばいい。
こういう人はあまりにも多すぎる。しかし、ひとたび不安さえ扱ってそこが回復すれば、逆に再発することもほとんどない。

いずれにせよ認知行動療法はうつ病を直接治しているのではなく、うつ的状態になった自分の扱い方を新たに習得しているので、修得したモノはなかなか消えない。それゆえに再発という事はあんまりお目にかからない。
多分、よっぽどディスクリート(治療者先導)でやった場合など、治療者の下で治療をする事が弁別刺激になってしまって、結果として「治療をしている時だけ良くなる」という悲しい結果が出ることもあるだろう。
蛇足で言えばだいたい古い(もしくは下手な)行動療法ではこうなりがちだ。習慣の形成をしているつもりで、その実”治療者の言う事を聞く”習慣の形成しかできていない。

しかし、たまに色々な都合で完全に認知行動療法が入って無い状況で治療を終結しなければならない時も確かにあって、そんなときは再発という現象が起こることもある。まあそんなにはないんだけど。
50人に一人ぐらいは、前と似たような、違うような症状が出てくる。洗浄強迫を片づけて、治療終了して、しばらく経ってから前はなかった数字の強迫が出てくる、みたいな。まあ、それも本当にめったにない。

あと、「精神病後抑うつ」とでもいうのか、強迫性障害なんかの大きな症状が大体片付いたところで、うつ状態になる人もごくまれに居る。
そのうつ状態は、んー、なんていうのか、”別におかしい所がない感じ”なので、むにゃむにゃとおしゃべりしながら放っておくうちに、なんとなく解決する。

こんな事を書いていると精神病理的な世界に近づいているような気がする。まあ、それもそれでCBTには欠けている事なので補えていいかもしれない。
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投稿者: 西川公平
2009-04-26 00:46
カテゴリー: 様々な困りごと

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