06/12: エビデンスと蓋然性

エビデンスと蓋然性についてつれづれに書いてます

エビデンスという概念があって、これは「ある治療法が実際に効いているか現象として調査してみましょう」というもので、現象としてみるだけが目的。
実はこの事は結構「各種治療法」にとってはイタイ話で、その理論が正しいとか間違ってるとかを問われかねない。

まあ論文によって差があるからそこまでクリアーでないにせよ、単純に言えば、例えばCBTはある病気には何%ぐらい治して再発率は何%だし、別の病気は・・・と出ている。
現象として言えば、治らなかった人は、「この治療法では治らない」という何%かのグループの人だ。

しかし、理論としては十全たるために、認知行動療法の本とかPRでは、あたかも100%治ってしまうように書いてある。つまりパニック障害とはCBT的にはこんな病気で、それを治すにはこんな感じで、そうすれば必ず治ります、それは証拠があります・・・みたいな。理屈というのはそんな感じで展開される。
私が言うのもなんですが、けっこう認知行動療法の施術というのは山あり谷あり、難しいもんですよ。上記の理屈を知っている=治せるみたいに思うのって、どうなんだろう。

もし治療がうまくいっていないとすれば、それは「患者が不真面目(患者責任)」か「やり方が悪い(施術者責任)」かで、それさえなければ治ったはずだという帰結になる。何というか限界設定がない。

そういう意味では前者の限界設定は後者の理論と掛け合わせて考えられるべきじゃないかなあと思う。
つまり「その疾患の治療率」×「理論」=「理論の蓋然性」みたいな感じ。

例えば認知療法がうつ病を35%ぐらい治すなら、うつ病に対する認知療法の理論の蓋然性は35%だ。そううつ病になると蓋然性は下がる。
セロトニン仮説の当てはまりも、やっぱりそれぞれの有効性に比例してぐらいしか蓋然性がないんじゃないかな。

しかしまあ、やっぱり施術者の技術とか、患者さんのcomorbidityとかはあるわけで、治療そのもので言えば
「理論の蓋然性」×「施術者の熟達」×「患者さんのcomorbidity」=「治療」みたいなもんだろう。

なんにせよエビデンスは現段階では非常に曖昧で不確かな情報なので、それを元に展開しても無理がある。しかし50年後もそうだとは限らない。
もうすこしゲノムや対象者さん個別のATI(aptitude-treatment interaction)や施術者個別のATIが判明して、オンデマンドな治療を展開できる可能性は・・・・・無きにしも非ず。
結局今のところオンデマンドにやるのは施術者の経験だけが頼りになっている。

まあ100年もすれば、治療者個人単位の治療成績が参照できる形で出てるだろうから、うつ病で悩んでいるなら地域と個人的な治療率で検索して、上から順番にかかるといいだろう。
投稿者: 西川公平
2007-06-12 15:35
カテゴリー: エビデンス

Comments

死神さんとあひるさん on 06/20 2011-06-20 16:16

そうですよね。

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