06/10: 自宅で、自分で強迫性障害を治療する

全てのエクスポージャーは、病院で治療者の目の前でやってもらうやり方や入院でやってもらうやり方ではなく、自宅で自分でやってもらう事にしている。

OCDで入院治療をするのは、ちょうど不潔恐怖の引越しがそうであるように一時的な強い回避をもたらし、その後猛烈にOCDの仕組みを強化するという、副作用を持つ危険な選択肢だ思わなくてはならない。
同様に病院やクリニック内で治療者の前でエクスポージャーをしてもらうのも、「後で家帰ったら洗うもんねー」とか思っている可能性を思わなくてはいけない。
ま、世の中にはどうしようもないことがあって、そんなどうしようもない時は入院や治療者効果は致し方ないと思うけど。
ちなみに「私の近所には強迫性障害に認知行動療法をしてくれる施術者がいない」というのも、結構良くあるどうしようもないことの一つです。

「『自宅で自分で』だとやってくれない」と施術者が思いこんでるから入院」というのは最悪のパターン。
治療者の動機付け知識や技術の低さを患者さんに責任転嫁している。

とにかく「今困っている場所で治療をする」事が基本。
そうじゃない場所で幾ら治療をしても再発する可能性が常にあるし、二度手間。
例えば入院して治療して、退院して再発とか、病院で治療して家に帰って再発とか、治療者に見守られて治療して、一人になって再発とか・・・etc.

再発を防ぐと言う事はおそらく、「自力でどれだけ『認知行動療法による治療』という建造物を構築したか」によってくると思う。
治療者がが手伝う割合が高ければ高いほど、セルフヘルプというCBTの基礎がオカシイ事になる。
ひょっとしたら薬物療法の再発率の高さもこの辺に由来しているんじゃないかと思うぐらい。

認知行動療法で今まで治療した人の中にも再発した人はいるけど、やっぱり自分で治療してきただけあって、2〜3回も思い出してもらったら、すぐに改善するしなぁ。それぐらいならコストベネフィット的にはありだろうと思う。

でも薬物療法を試みる場合、インフォームドコンセントで中断後の再発率にも言及するべきかは、ちょっとわからない。
「強迫性障害には認知行動療法が有効ですが、私は施術できませんし、近くに紹介できる施術できる所もありません。次の選択肢として、薬物療法がありますが、服薬を中断すると80%再発するので、基本的に一生涯飲み続けてもらう事が前提です」
みたいなインフォームドコンセントがなされることは、本当に良いことなんだろうか?ちょっとあからさますぎて、萎えそう。
このご時世、インターネットで調べたらすぐにバレるけどね。

とにかく言いたいことは、症状の重さによらず「最初のエクスポージャーは入院して、あるいは治療者の前でしなくてはならない」という決まりはないということ。
そして自宅で自分でやってもらうような促しやフィードバックの部分が治療者の働きかけの中で最も重要で、エクスポージャーそのもののサポートはメインじゃないのではないかというお話。

知り合いの心理士で今までずっと一度病院でエクスポージャーをしてから、家でやってもらうことにしていた人がいて、その人は某所で「それがルールです」と習ったんだそうな。

その方にここで書いたような事を話したら、それから最初から家でのエクスポージャーに切り替えた。
曰く、「今までやってみようと思わなかったけど、やってみたら普通にできる。でも、数人はやっぱり病院でした方がいい人もいる」だそうな。
そりゃそうだけど、習ってすぐ使えるのは、ほんとに熟達してる証拠だと思う。全然有名な人ではないですけどね。
投稿者: 西川公平
2007-06-10 15:52
カテゴリー: 強迫性障害

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