2018/10/15: 日本ブリーフセラピー協会 学術会議 第10回大会in横須賀 参加記

先だって滋賀で開かれたブリーフセラピーのイベントに、東北から若島さんが来てくれたこともあり、横須賀で開かれた学会に表敬訪問してきました。
いちおう予定されている第二回の滋賀のブリーフイベントに、活きのいい若者をスカウトしに行ったというのもあります。
というわけで参加記を書いてみます。

まずは、前夜入りしたんだけれど、横須賀は遠かった。
私の横須賀知識と言えば、ダウンタウンブギウギバンドしかないんだけれど、そこではヨコハマとヨコスカは隣りあわせみたいな設定になっている。それを信じて旅立ってみたら、電車で丸一時間ぐらい離れていて、ヨーコさん勘弁してくださいよ。。。と思った。
しかも、JR横須賀駅はぽつんと離れたところにあり、控えめに言っても寂れた感じで、他の私鉄との連絡もつかない。仕方なく最寄りの私鉄の駅まで歩くこととなる。
ただ、駅までの道のりは海沿いの公園を通ることになるので、つかのま港町の気分が味わえたのは良かった。


さて学会当日朝、向かう途中で、リアルセーラーがリアルセーラー服を着ていた。これは舞妓さんバリに写真を撮りたいが、流石にアカンやろなと思って、自粛した。
でも水兵さんが歩いているだけでも、ちょっとした異国情緒があってよかった。

会場の横浜福祉総合大学は近代的な建物で、小ぎれいだった。受付を済ませて、始まるまでになお1時間ぐらい時間がある。
初めての学会は“誰一人知る人ぞ無き“という感じで、とってもイイなあ・・・と思っていたが、新谷さんとか、掛井さんとか、若島さんとか、割と最近目の友達には出会った。
あとは、ブリーフ協会京都支部の人々とかも、一回会ったことがあるので知り合いっちゃ知り合い。でもまあ、そんなもんで済むんだから、やはり知らない学会は良い。

最初のプログラムは、B1グランプリという、M1ばりにロールプレイの出来不出来を競うイベント。これは滋賀のブリーフのイベントにも少し似ているので、果たしてどんなものか気になって楽しみにしていた。
しかもこのB1には予選があって、予選を勝ち抜いた支部代表チームだけが出られるという念の入れようらしく、これはちょっといい感じにCBTの人たちが持つ「ブリーフの人たちって面接巧いんじゃないか?」という幻想を刺激してくれる。しかも面接は2人1組のチームで行うらしい。


さてそんなわけで始まったB1グランプリ。モニターには小部屋が写されている。どうやら壇上ではなく、離れた小部屋でやっているのを中継で写しているらしい。あとで聞くと、30mのケーブルを伸ばしているらしい。すごい。

模擬クライアントさんは1人で、5チームに対して同じクライアントを演じなければならない。これはちょっと大変そうだ。実際最後の方ちょっと疲れてはった。
相談の内容は、まあオーソドックスなというか、引きこもりの息子を持つお母さんが一人で相談に来ているというもの。典型的と言えば典型的なシチュエーションだ。

まず一組目のロールプレイがスタートした。と、同時に絶望したというか、一言目から失敗している。そして、最後20分が経過するまで、ただの一言も当たってないというか、面接が展開するような発言が無かった。これは見てて厳しい。
次に二組目。これもさっきのチームみたいだったらどうしよう・・・と思ったけど、一応マシではあった。しかし、面接を構築することは全くできずに単に20分が終わる。ブリーフ協会では言葉と文脈は違うとか、習わんのか?
三組目は、二組目とほぼ一緒で、無意味な手探りを続けて時間が終わる。もはや眠い。どの組も本に書いてあるようなジョイニング?気取りの糞みたいな定形フレーズをまき散らしている。役に立たないフレーズなのに、繰り返すな・・・。
それにしても、模擬クライアントさんはキッチリと、淡々と、違うグループであっても、同じ発言には、同じ反応を返している。逆にこのクールさ凄い。
というか、実際の所、3組目以降については、面接がほとんど展開しないという意味において、あまりに同じなので区別がつかなくなった。どこか一つだけ、一歩だけ面接を進められたところがあったので、おお、一歩進んだ!と思ったけれど、100点満点で15点ぐらいの出来栄えだと思う。
そんなわけで、『残念』という感じしかなかったB1グランプリだけれど、長谷川さんと若島さんの好評がこれに輪をかけて酷かった。
二人して「いやー、皆素晴らしい。今年はレベル高かった!」みたいに言ってたんですよ。
思わず「去年まで、これ以下やったんか!」って心の中で突っ込んだ。

でも、それでいてなお、このような企画は「下手であることを知る」意味において、素晴らしいものだと思う。ちゃんと知れたかは、ちょっと怪しいんだけど・・・?

結局のところ千葉支部の方が優勝という事で、どうやら大会2連覇らしい。じゃあ、この方をとりあえずスカウトすることにしようってことで、簡単に決まった。

その後、良く分からないマスクマンが登場して、プロレス技を仕掛けるなどして、何だこりゃと思ったら、諸富祥彦先生という方らしい。私は知らんけど、有名な人らしい。

で、上手く理解できない間合いや休憩が挟まれたりしながら、諸富先生が先程と同じクライアントさんに模擬面接をされる。
・・・なんというか、ブレーンバスターとか、卍固めとか、好き放題大技かけてるけど、それってプロレスと言うか、相手がわざとかかる気でないと成立しない技なんだけどな・・・って思ったというか何というか。
まあ、いわゆるショー催眠みたいなもんですね。

さて、結構余裕のある時間を過ごした後に、事例検討が7つ横並びにタイトという、謎のプログラム構成。
事例報告のコーナーは「事例発表」と「ショートケースレポートに」分かれている。分かれているが、ショートが20分でショートじゃないのが30分と、このわずか10分の差がブリーフってことなのか?

まあ、気を取り直して、これが私の唯一の出番でもあるので、頑張っていこうと思う。

私の前は鈴木先生という方が「ブレインスポッティングで慢性うつ病が治った」みたいな発表をしていた。
んー、、、、、、、、、まずもってブレインスポッティングの写真が一枚あっただけで、何をしているのかさっぱり中身がわからない。
でも作用機序もどきのことを熱心に喋られている。
そして、クライアントさんが慢性うつ病なのかどうかが、全然わからない。
そして、「ブレインスポッティングで治った」という事を鈴木先生はおっしゃっているけれど、そういった事を感じさせるデータが1つもない。
休職中のケースだけど、なんなら復職すらしてない。
まあ、イイやってことで、コメントでそのようにディスってみる。
ちょっとムッとされていた雰囲気で、申し訳ないことをした。

でもまあ、自分の身内というか信者に対して「これは素晴らしいのです」「先生素晴らしいです」っていうんじゃなくて、別の学会に出そうとするんだから、もうちょっと聴衆のことを考えて出されたら良かったのに。

そんなわけで、私の発表。不倫とかPTSDとかのケース。の前に、結構ぞろぞろと教室に人が入ってきた。タイトルをキャッチーにしておいたことが功を奏した用で裏番組が6つもある中で、無名な私の発表を聞きに結構人が集まってくれている。30人ぐらい?仲良しの新谷さんも来てくれた。

前もって予演とかしていたこともあって、時間もジャストでそつなく発表したのだけれど、思いの外反応が薄い。薄いっていうか、シーンとしてる??これって、関西的にはスベってるんやけど、、、。
一応用意してきた、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの名台詞「あんた、あの娘のなんなのさ?」をすっかり言い忘れてて、しまった!と思ったんだけど、それを言った所で寒さが増すだけだった感は否めないので、忘れてて結果オーライなのかもしれない。

座長は狐塚先生という方で、気を使ってあれこれ質問したりしてくれる。その甲斐あってか、フロアもチラホラと質問を投げてくれたり答えたり、異文化間交流がおずおずとなされる感じ。ETばりのおずおずとした架け橋がかかったと言える。

いやー、終わったわー。もうこれで、思い残すことはないと言うか、あとは飲み会だけだ。
でも、全く知らない学会なので、あわや新谷さんとサシ飲みかとなりかけた所で、所属している京都支部の人たちに拾ってもらえる。テキトウに飲んで騒いで解散。
ちょっと発表訊いててくれた人から「良かったよ-」などと好評もいただけたので、良しとしよう。
なんか道端で「あんまりウケなかった」とか言ってたら、道行く見知らぬ人が「いや違う。少なくとも僕はめっちゃウケてた!内心ではすごいテンション上がってた」みたいに言ってくれたのでビックリした。
むしろそれは、フロアからテンションマックスでスタンディングオベーションとか、してもらわないと分かんないかも。

翌朝、会場につくと最近仲良い坂本真佐哉さんが居てて、「昨夜から港を走ってきた」などと健康なことを言ってた。坂本さんもこの学会は初めてらしい。

サンドマンとかいうヨーロッパから来たソリューションフォーカストアプローチの外タレが話をする。
大体のところ”学会で呼ぶ外タレって、通り一遍の話しかしないから退屈”と相場が決まっているが、ご多分に漏れない。特に目新しいこともなく、眠気が襲うので、流石サンドマンだと感心した。
学会に外タレを呼ぶのは、金銭的にも調整的にもコストが高いと思うんだけれど、それで主催者サイドは名誉なことだと感じたり、海外へのコネ持ってる俺すげーってなったりするんだろうな。
でも、学会員にとって真に必要なのは、託児を付けるとか、多くの発表に多くのコメントが付くようなプログラム構成とか、そういうものではないかと思う。まあ、学会とか運営しないから、いいんだけど。

実際サンドマンのダラダラした話は2日目のプログラムのほぼ全部を占めていて、逆に持ち込んだパソコンで事務仕事が結構進んだので、結果的には良かったのかもしれない。
グループワークのときに「コーチングとSFAのプロです」という方と一緒にグループになって、解決の強要ここに極まれりという感じの、恐ろしく下手くそなSFAを展開されたときには、ちょっとびっくりした。

そうして2日目が過ぎて、今度はオフィシャルな懇親会ということで、ぼっちになる危険性はない。
ここに至るまで、懇親会場が謎のベールに包まれていたこともあり、一体どこで?と思っていたら、どうやら大学の学食で行うらしい。なるほど。

そういえば、昼飯のときに「合コン」というイベントがあって、全然知らない人同士を相席させて、あれこれ喋らせるというのがあった。アウェイ参加している私のようなものにはありがたいサービスだ。実際全然知らない人とでも喋ってみると、業界が狭いせいか、共通の知人の1人や2人は見つかるもんだ。

そんな昼食時に知り合った中島さんという方が、懇親会で話してみると、なんと彼は「坂本真佐哉先生の大・大・大・大・大ファンなんです!」ということらしい。めっちゃウケたけれど、そんなに言うなら。。ということで、紹介することにする。
そしたら、ちょっと待ってください!と坂本大先生の本をカバンの中から取り出す。バイブルらしい。これにサインを!あ、でもペンがインクあるかな?!などと挙動不審になるぐらい舞い上がっているので見ていて、こっちまで楽しくなる。
そんなわけで、無事に紹介し、サインなど書いてもらい、「今日は最高の1日だ!」みたいなことを言っている。
この世にそんなに会いたい人がいるということは、なかなかに幸せなことのように思う。

懇親会では横須賀バーガーが出てきて、これが結構美味しかった。せっかく横須賀に来たという甲斐があった。

口下手だから懇親会でもそんなに話題がないんだけれど、昨日の発表を聞いてた人が何人かいて、感想などを述べてくれることによって、それなりに間が持ってよかった。
どうやら、関西人のように”思ったことをすぐ何も考えず言う”、”まとまってすら無いのにとりあえず手を上げてまとまりなくしゃべる”という衝動制御困難がなく、じっくり温めて、自分なりに考えて、必要とあらば述べるぐらいの慎重さが関東の人にはあるらしい。
まあだから、みんなに言われたのは「ウケてなかったわけではないです。心の中でめっちゃウケてました。」というセリフで、『心の中でかよ!』みたいな風には思ったけれど、ここをツッコむと「関西の人は怖い」と思われて終いなので、なるほど~、ありがとうございます。とか言っておく。

まあでも今回の発表で、私はちょっと思い切ってCompassion Focusedについて1つの考えを述べたんだけれど、頑張ってみたわりにも一つ誰にもピンとこない感じだったのが残念だった。
まさやん大先生に言ってみたら、「慈悲・・・・・、まあカタルシスとかよりはマシかも知んない」って感想だった。

それはさておき、夜もふけて、二次会場に移動。ニンニクで凄い店らしく、すべての料理がニンニクまみれで出てくる。私もニンニクは嫌いではないけれど、これだけ波状攻撃を食らうと、ちょっと流石に、と思う。

テキトウに飲んだり喋ったりしてると、若島孔文さんが乱入してきて「西川さんB1グランプリどう思った?正直言って」みたいなことを訊いてくるので、「お母さんが何度も必死で伝えてくるメッセージを全グループが潰しにかかってて、可哀想でした」と伝えたら、「まさに私も同じこと思ったよー」と握手された。
いやでも、若島さんは壇上でコメンテーターしてて「素晴らしいですねー」しか言わんかったやん。。。と思ったけれど、そこは大人の配慮なのかもしれないなと思った。
そして、そうした大人の配慮がこの学会を過ごしやすくさせ、学会員をどんどん増やしていき、みんなで阿呆になっていってるんだろうなとも思った。
「来年仙台で、また一緒になにかやりましょう!2人でデモンストレーションするとか!」などと誘われて、んー、まあそんなのもいいかもな。牛タンもあるし。アゴアシ付いてたら最高なのにな。とか思ったり思わなかったり。

そうしてブリーフの夜はふけ、知らない学会でめっちゃ名刺もはけ、この学会はこういう感じなのかということが知れ、まあ楽しかった。
色々な学会を巡ってみるというのも、なかなか楽しいものだと思う。
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投稿者: 西川公平
2018-10-15 19:41

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