2007/09/19: 機能性胃腸障害

病名とはなんだ?という話。あるいは内科と精神科の深くて暗い溝。

阿部総理ですっかりおなじみの「機能性胃腸障害」。
素人である私が聞いても、まともな診断名とは思えない。

心理士が診断名云々を口にするのは憚られるのは確かなことなんだけれど、この名前の意味は実際のところ「発熱」ぐらいの意味しかないのではないかと思う。

「あなたの病名は”発熱”ですよ。」みたいなことで診断が通るなら、医者なんかいらない。
まあこれを少しお利口そうに「機能的体温調節不全症候群」とか、まったく適当な事を言っても、意味は同じだ。そんなでたらめ診断の乱発は医療業界の信頼を損ねるだけだと思う。

実際のところ、心の病気の周りにはそういった怪しげな診断名がたくさんある。特に精神科の病気を内科風にデコレートするような病名が多いと思う。うつ病や社会不安障害という精神科的な診断に対する偏見から来ているのではないかと疑いさえする。きっちりその診断基準に当てはまらないものの、特定不能型という逃げ道もあることだし。

その筆頭にあげられるのが自律神経失調症で、そんな病名は現在の診断基準であるDSMやICDに存在しない。もちろん日本の精神医学事典にも存在しない。
周期性嘔吐症や、慢性疲労症候群や、過敏性腸症候群もいささか怪しい。

しかし、そもそも心療内科や精神科は、器質的異常が見つからない場合に患者さんが回されてくるという宿命がある。機能的疾患の坩堝。理系なドクターはその辺部分を嫌うという面もあるのでしょうか?

逆に内科や整形外科などが適当な診断名で適当な薬を乱発しながら、変に向精神薬を出したり、認知療法もどきをしたりして悪化させていく例も割と良く見る。
それどころか、精神科疾患の患者さんのほとんどは他の科で非専門的治療を受けている人ばかりだ。少し前の統計によると、プライマリケアの誤診が50%で、わかってて専門家に回さないのが38%だそうで、実に88%ぐらいが専門家にはたどり着かない。
もしその人たちがきちんと専門家にかかるとなると、今度は専門家の方がパンクしてしまう。精神科や心療内科にはそれらの方々を何とかするキャパシティーはない。

こと精神疾患に関しては、日本のドクターの診断能力はとても低い。診断の国際大会においてもほとんど常に最下位だと耳にしている。
たしかに近隣の精神科においても、診断能力や投薬治療において、感心させられるドクターもいれば、首をひねりたくなる人もいる。
それら名医・藪医の情報がいずれインターネット上に患者さんの噂として立ち上り、患者さんの選択材料が増えることになるのだろうか?あるいはすでにそうなっているのだろうか?
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投稿者: 西川公平
2007-09-19 23:23
カテゴリー: 雑談

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