2016/02/15: 第4回 福井県作業療法学会 参加記

第4回 福井県作業療法学会「作業療法と臨床行動分析」に参加してきました。感想を書いてみます。

午前中は雑務でばたばたし、午後から参加してきました。

⚫︎学会プログラム
まずは、嶺南こころの病院OT・南出さん(本学会事務局長)による、行動療法入門レクチャー。濃い内容を分かりやく提示してくださいました。
介入を始める前の留意点として、悪者探しをしない、その行動が本当に不適応か否か、誰にとっての不適応かを多角的に検討することが必要とお話されていて。私にはこのような細やかな説明が不足しているなぁと反省しました。
途中紹介された事例は、病棟で収集癖のある認知症の方への対応でした。



次は、シンポジウム。身体障害/高齢者領域(有馬温泉病院)、精神科領域(嶺南こころの病院)において行動療法を適用した事例の報告でした。

3事例目は、行動療法初学者の先生(以下、バイジー)と大会長とが対話しながら行動分析を基に整理し、介入案を探っていくというものでした。



⚫︎集団学習と個人学習
上記のように、まず概論についてレクチャー受けて、先輩方の事例を聞いて、最後にボトムアップ的な事例検討をする。準備運動を先に入れておくことで、バイジーの学習が展開しやすくなる。フロアーの聴衆も、事例の捉え方や介入の焦点が移り変わる様子を、バイジーを通して体験でき、会場全体がエンパワされる気がしました。

バイザーや著名な先生方からのお話は、効率良い学習だと思います。経験に裏打ちされた言葉は、私たちの理解をスムーズに運んでくれます。
しかし、初学者の中には、ベテラン勢のスッキリまとまった、時に専門用語がみっちり詰まった話を聞いて、“わーさすが○○先生、すごーい。…私には無理”、“なんか難しくて分かんない…”となり、学習のモチベーションが下がる可能性があります。せっかく学びの場へ足を運んだのに、自分の無知に触れて意欲低下というのもったいない。
なので、今回のこういった対話式事例検討は、研修を企画する際、是非参考にしたいなと思いました。


と、ここまで述べたものの…
学習のモチベーションが下がったなら、なにくそ!という悔しさや、あれどゆこと⁈という好奇心などをドライブに、自ら学び進めることが1番大切な気がします。
そういえば、心の不調や病も、[自らサポート資源を探す、自ら打ち明ける]といった自発的な相談希求行動の有る無しで予後が変わるとか。

正の強化で動くか、負の強化で動くかは人によるし、とにかくいろんな教育を受けていけばいいんでしょうね。
それは、特定の療法に留まらず、1つの療法を軸にして、少しアプローチの角度が異なるものを3つくらい並走させると良い気がしています。自分の理解を壊し、再構成して、こりゃ違うなとなれば他に乗り換える。そんな柔軟性もあると良いでしょうか。


一方、主催/運営者側は、初学者が“足を運んでみたくなる”ような企画・タイトル付け・広報戦略をしていく必要がある。とはいえ、こういった役回りは上の先生方が兼務され、激務の中、手弁当で進めるわけなので、本当に大変なことだと思います。



⚫︎脱線しました。学会に話を戻します。
シンポジウムを後にしてからは、ポスター発表を見てきました。福井県の小浜病院OTさんのポスター、暴言が多い患者さんに対する介入がとても勉強になりました。
ラストは、岡本学会長から、〆のお言葉。



他、学会で印象深かったのは…
・参加受付でもらった名札の職種チェック欄に、医師を始めコメディカルの項目がたくさんあったこと。心理士もありました。つまり、一緒に学ぶことを前提にしている。臨床心理士の学会ではこうはなっていない、と思う。
・お昼休み、受付近くでパンが販売されていて、地域にある就労支援施設のものでした。柔らかくて美味しそうでした。買い逃しました。
・福井県南部のゆるキャラ、へしこちゃんが来ていました。ゆるキャラめいた谷本OTさんを捕まえて、2人(1匹と1人か)の写真を撮らせてもらいました。あったかい気持ちになりました。
・そして、大会長、事務局長を筆頭に、スタッフが1人何役もこなしていました。


福井県作業療法学会が福井県の南部で開催するのは初、しかも単科の精神科病院がリードとるのも初、だそうです。おまけに、行動分析を大会テーマにしたのも初。

チャレンジングかつ、アットホームな、本学会長の色が反映された会だったように思います。半日参加でしたが、楽しく勉強させてもらいました。来年は福井県北部開催なので、また心理士でも参加可能なら行ってみたいです。ありがとうございました。
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投稿者: 別司ちさと
2016-02-15 02:54

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