06/27: 管理職に対するメンタルヘルス研修

先日、消防士の管理職さんに対するメンタルヘルス研修を2時間担当してきました。
反応が良かったので、その研修内容について少し書いてみます。

どんな内容が適しているか迷い、過去の消防士研究やこの領域を専門にされている先生方にアクセスしました。

消防士研究から明らかになっているのは、消防士は人命救助などリスクを伴う活動をするものの、若い職員を除けばPTSD罹患率はさほど高くなく、なったとしてもその多くは回復するということ。
そして最近では、人命救助活動などの大きな出来事(ライフイベント)が与えるストレスよりもむしろ、日常生活の中で繰り返し起こる些細なイライラ事(デイリーハッスル)のほうが、より大きなストレスを与える可能性があると示唆されるようになってきました。そして、消防士さんの職場におけるデイリーハッスルの1つにパワーハラスメントがあるということで、今回はこれに重点を置いて話すことにしました。


[前半]
消防士研究のレビューと、一般的なストレス概論やうつ病の疫学について話しました。


次に、パワハラの話題に移りました。
まず、同僚間のやり取りを例示して、パワハラに該当する可能性が高い内容に印を入れるよう求めました。その後で、3-4人組みを作って、解答や判断の根拠について意見を交換してもらいました。
和気あいあいと、活発な議論が展開していました。これから管理職になる同志ですからね、愚痴も含めいろんなおしゃべりをしていただけたらいいなと思い、時間を長めに取りました。私からあれこれ述べるよりも良かったと思います。

議論が十分進んだところで解答を教えていただき、私からの解説はほんの少しに留めました。最後に、例示したパワハラに該当する関わりを実際受けたことがあるか問い、これまでの体験を労いました。



[後半]
消防士間にパワーを使ったコントロールが発生しやすい仕組みを、主に消防士の業務特性の観点から説明しました。

まず、消防士は災害や人命救助現場で迅速かつ任務を最適に遂行するために、日頃から上から下へ指示の徹底や統一が欠かせません。
当直となれば朝夕を共にして、新人には料理を教えるなど手取り足取り接するため、特に若い部下に対して心理的な距離を保つことが難しくなると思います。

また、これまでの職務経験からパワーによる関わりは他人を統制する手段として有効であると学び、“先輩がしていた/先輩からされたから自分もしてOK”というパワハラ行為を許可するような認知が存在している可能性があります。

更に、近年は、団塊の世代の大量退職から管理職の若返りが進み、昔よりも少ない経験で部下に即戦力をつけなければいけない状況あるそうです。

このように説明して現場の状況と似ているか問い、その苦労を労いました。



そして、指導の一環と称しても、法のラインを越えた行為をすれば、した者やその管理職が罰せられること。業務上必要のない摩擦を続ければチームワークが乱れ、人命救助活動に支障をきたす可能性があることを伝えました。


これらを踏まえて、パワハラの定義と関連する法律、パワハラがもたらす損失について述べ、最後にパワハラにあたらない指導について示しました。これらは、厚労省の資料を参考にしました。
http://no-pawahara.mhlw.go.jp/



皆さんのご意見を伺いたかったので、質疑応答に時間を取りました。
質疑応答や個別相談も活発に進み、日頃を振り返る機会になった、とのことだったので良かったです。

私自身も、消防士さんの苦労やパワハラについて考える良い機会になりました。
ありがとうございました。
投稿者: 別司ちさと
2015-06-27 22:28

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