03/20: ひきこもり支援

福井県の南、二州健康福祉センターで、「ひきこもりの実態とその支援について」と題した講演会が開催されました。はるばる徳島県から境 泉洋先生(徳島大学大学院)が来てくださり、とても有益なお話でした。
以下に、少しまとめてみたいと思います。

●まず、ひきこもりの現状を、疫学調査やこれまでの研究結果から示されました。
・「ひきこもり」がいる世帯数は、低めに見積っても約23.2万世帯(Koyama et al.,2010)
・趣味の用事のときだけ外出する「準ひきこもり」を含めた講義のひきこもりの推計は69.6万人(内閣府, 2010)
・ひきこもり本人の平均年齢は、33.1歳(境ら, 2013)
・統合失調症、うつ病などの気分障害、社交不安障害や強迫性障害などの不安障害、発達障害、パーソナリティ障害といった、心の病が背景にある場合が多い

・ひきこもりの3分類と支援
1)統合失調症、気分障害、不安障害を主診断とする場合:お薬による治療と、生活・就労支援の併用
2)発達障害を主診断とする場合:発達特性に応じた生活・就労支援を中心とした、主に環境調整
3)パーソナリティ障害やその傾向・身体表現性障害・同一性の問題などを主診断とする場合:生活・就労支援を中心に、お薬による治療を付加的に行う



●ひきこもりの心理と支援
認知行動療法、行動療法の視点から、ひきこもりの初期、中期、慢性期の3パターンを解説。また、ひきこもり慢性期の家族関係についても、どのように定着していったか、そしてどのように解除/回復していけるかも丁寧に解説されました。
そして、厚生労働省が作成したひきこもりの評価・支援に関するガイドラインでも紹介されている、認知行動療法を応用したCRAFT(コミュニティ強化と家族訓練)プログラムについても。

まずは、家族と本人の間にある警戒心や緊張をゆるめ、良好な関係を形成する。朝の挨拶といった些細な声掛けや例えば家事の手伝いや週末のすごし方といった小さな提案を積極的にして、上手にほめて望ましい行動を増やす。先回りを止め、本人や本人の現状にしっかりと向き合って望ましくない行動を減らす。そして、今後の取り組みについて話し合う。
「褒める・免除する(与える)・しかる・取り上げる」を、それぞれ本人のどんな行動が見られた時に行うか、ターゲットやタイミングが要でしょうが。これは、実際の関わりの中で紹介していただけたら。次年度、倍の研修時間でまたお願いしたいです。



質疑応答では、支援の効果が低いケースはあるか、発達障害をもつ本人の場合はどうかといった質問が。境先生は、「親自身が高齢や認知症等で元気がなく、本人に関わる余力がないようなケース」と回答されました。また、「発達障害をもつ方は刺激に素直に反応する面があるため、特段それに左右されない。定型発達の人で警戒心が強く解くのに時間かかるケースより関わりやすさがある」と。


そういえば、
先日、福井県社会福祉協議会の自立促進支援センター(平成27年度からは各市町社会福祉協議会に業務移行する予定)の方とおしゃべりさせてもらった際、同じようなことを伺いました。「8050問題」というのがあると。ひきこもりが慢性化して本人が50代、親は80代になり。親御さん側に対応していく余力が少ないといったケース。これは、社協やその管轄である民生委員・保健所の保健師さん・ケアマネやヘルパーさんらの訪問が効果的でしょうから、ひきこもり慢性期part2という感じでしょうか。


境先生、物腰の柔らかい、謙虚な先生。学会やコロキウムの時より、楽しそうでポップな感じでした。
良質な本です↓
CRAFT ひきこもりの家族支援ワークブック―若者がやる気になるために家族ができること
境 泉洋
金剛出版 2013年 約3000円
投稿者: 別司ちさと
2015-03-20 19:46
カテゴリー: 様々な困りごと

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