2014/10/11: スポーツ選手のメンタルトレーニング 拮抗から共生へ

昔、スクールカウンセラー先で、バレー部顧問の先生から、『ある生徒が、試合前にやたら緊張してしまう。どうにかできないか』と聞かれました。
当時の自分がどう答えたかすっかり忘れてしまいましたが、きっとろくでもない回答をしたと思います。今なら、ある程度答えられる気がします。以下、試しに書いてみたいと思います。

・まさに緊張しているその時、体の1番緊張している部分を見つけ、そことおしゃべりをしてもらう。今なら、こう答えます。


対象生徒さんと個人面談ができたと想定して、以下、詳しく書いてみます。
①まずは、「緊張」して「どんなことが困っていますか?」と尋ね返すことで、具体的な困りごとを特定します。例えば、『緊張して、プレイが思い通り出来ない』と言われることがあります。


②続けて、「その緊張は、特にどんな場面でそうなりますか?」、「その時、体はどこか変化しますか?どこが、どのようになりますか?」と詳しく聞き進めることで、場面や身体反応を特定していきます。
試合前なら、前日の夜布団に入っている時、試合会場に向かっているバスの中、試合会場でウォーミングアップをしている時など。足が変というなら、左右、太腿、表面か中か。突っ張るのか、地に足がピッチリ付いて全く動かないのか、震えるのは皮膚の表面か中かなど。


そして、この後、
③A:行動療法なら、筋弛緩法とか。

③B:認知療法なら、
以下のような質問を繰り出し、緊張場面下の認知を調べていきます。
「下手したら/最悪、どんなことが起きてしまう」と考えるのか。
それは…「自分にとって、それはつまりどういうことか」「自分の能力がどうだってことか」など。出て来た反応に合わせて、質問を少し変えます。
そうして、一緒に戦う部活仲間、尊敬する優しい先輩やコーチ、10年後の自分を使ったフレンドクエスチョンや、例外探しなどして、別の見方を広げていく。


C:個人的には、以下のようなやり方もします。
・緊張場面下の実際の体勢をとってもらい、B③を現在進行形で聴き取る。その際、最もビビットな身体反応を呈している部分を報告していただく。
・そこに、簡単な名前をつけるよう求める。右足さんとか、右足のガチガチ君とか。

・そして、本人の言語や非言語、体の反応に合わせて、以下のような質問を声のトーンや速度を落として、“両者”に交互に入れていく。
「右足さんは、いつもこう考えるあなたに、な〜んやと言うてるの?」、『それに対して、あなたはどう言ってあげたい?』、「そしたら、右足さんはどうしてくれ〜ぃと?どうしたらええよぉ〜と?」つまり、両者の対話を促す。対話が進んできたら余計な口は挟まずに、『そしたら?』「で?」と添えるくらい。

緊張や心配も、結局は本人が本人の中で作っていることなだけに、“本人さんたち”は本当に良い対話をされて、他のフレンドよりなじみがいい気がします。私は、この手続きを、“外在化からの内在化”と勝手に呼んでいます。あるいは、“エンプティチェアに身体さんのっけバージョン in マイ バディー”とか。。私の中では、同じ機能なんですが。とにかく、拮抗から共生へ。
うつでも不安でも。体にビビットな反応が固定していれば、年齢問わず、割と入りやすい気がします。身体表現性障害にも使えるのだろうと思います。

認知療法を知った今は、この対話をフレンドクエスチョンとして、「自動思考」と「別の考え方」の欄に書いてもらうこともあります。
行動療法用語では、この操作を何と説明すればいいんでしょう。確率操作…拮抗反応を…なんとも説明できません。勉強します。。しかし、筋弛緩法の後、体に『どうよ?』と尋ね聴くよう求めたら、きっとそこから声が返って来るんではないでしょうか。「いい感じ〜♪/ローラ風」と。

なんでも、甲南大学の福井義一井先生が、ジョン・ワトキンズ博士が開発した「自我状態療法」というのをされているそうなので、いつか研修を受けてみたいです。Amazonで探してみたら、これがヒットしました。

図解臨床ガイド トラウマと解離症状の治療
―EMDRを活用した新しい自我状態療法 大型本 – 2012/3/21
288ページ
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投稿者: 別司ちさと
2014-10-11 00:00
カテゴリー: 様々な困りごと

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