03/22: 行動療法コロキウム’13 に参加して 栗原

行動療法学会に入会して6年以上経つのですが,今年初めて「行動療法コロキウム」に参加してきました。行動療法コロキウムは,2泊3日の宿泊形式の事例検討会で,毎年全国各地で開催されています。
今年は,3月14日(金)~16日(日)に京都で開催され,私は,15日(土),16日(日)の事例検討会に参加しました。簡単に,参加記をまとめてみようと思います。



まず,発表を聴いていて感じたことは,“共通言語”で伝えることの重要性と難しさです。
“自分としてはこう見立ててこう介入した”と提示することは簡単ですし,そもそもそれがなければ発表として成り立たないわけですが,自分の提示したものが参加者全員の納得するような共通言語(行動理論・認知行動理論など)で説明されているのかどうか。この点は,CBTセンターで勤務するようになり,所長に叩き込まれたことで,私自身,今現在も事例発表する際に格闘しているポイントです。
企画シンポジウムは“事例研究”がテーマのものでしたが,“事例報告”を“事例研究”にしていくためには,この点が不可欠のように思いました。研究として提示するのであれば,それが再現できたり,類似の事例に適用できる可能性を含んでいる必要があると思うからです。


そして,2日間を通して感じたことです。質問やコメントをする人があまりに少ないことに驚きました。発表の途中で“もし自分がこのケースを担当するなら,どんなところが気になるか,どんな情報が欲しいか”というテーマで,隣の人と話し合ったり,そのテーマで質問をする時間があったのですが,そこも質問するのは同じ人ばかり。私は,気になるので,質問していましたが,さすがに質問しすぎと思い,全体の様子を伺っても,質問する人がいないため,再び質問,総合討論でもコメント・・・そんな感じでした。1日目は,所長と別司カウンセラーばかりが質問していたとのこと・・・。
総合討論においても,“大学の先生”のコメントが多く,100名近く参加者がいるにもかかわらず,“自分が担当するとしたらどうするか”という“考えを述べる”参加者が数えるほどしかいなかったのではないでしょうか。

日頃の臨床や研究の拠点を離れて,様々な方が参加される場だからこそ,発表者にとっては,自分のやってきたことを多面的に捉えられるよい機会になるはずです。上述した,“共通言語”で伝えられているのかどうかは,こういった場で発表しないことにはわからないのです。

けれど,一部が盛り上がり,後は傍観者,「勉強になりました」の感想で終わってしまう雰囲気を感じ,とても残念に思いました。
事例検討会で質問をする,意見を述べることは,自らが臨床で関わるクライエントさん,患者さんに直結するということを,発言をされない方にお伝えしたいと感じました。“誰のための”発言なのか。


また,今回のコロキウムでは,精神科診断についての話題が何度かディスカッションに上がりました。
心理士は“診断”をクライエントさん,患者さんに伝えることはできないですが,だからと言って,診断がわかっていなくてもいい,ということにはならないのです。“医療”“治療”の文脈で仕事をするのであれば,しっかりと精神科診断について理解した上で臨床に臨まなければならない,そういったことを再認識させられた研修会となりました。

“診断”があって,治療法の選択があるわけで,それは心理士だろうが,どんな職種も同じということ。“機能分析に基づくアセスメント”が心理士にとっては“診断”と同じ機能を持つということです。
そこで,また話が戻るのですが,“診断”にマニュアルという“共通言語”があるように,心理士が行う“機能分析に基づくアセスメント”も“共通言語”で記されなければならないな,と。


3日間のうち,2日間しか参加できなかったのは残念でしたが,2日間の参加だけでも,頭の中は終始忙しくさせていただきました。
事務局の立命館大学 谷先生を始めとする皆様方には,貴重な研鑽の機会をありがとうございました。
投稿者: 栗原愛
2014-03-22 12:34

Comments

arizono on 04/06 2014-04-06 09:39

コロキウムでは、お世話になりました。
参加していて、滋賀、福井の先生方の事例検討への厚みを感じました。
今まで、学ぶ会や合宿で培ってきたであろうことが、それぞれの先生方を通して垣間見えるような・・・印象でした。

kurihara on 06/10 2014-06-10 16:50

有園先生,お返事が大変遅くなり,失礼いたしました。コメントをいただき,ありがとうございます。

コロキウムではご発表,ありがとうございました。
“症状が重たいために家から出られない”強迫性障害の方にとって,先生が実践しておられるスカイプでのCBTは外の世界に一歩踏み出すための足がかりになるのではと感じました。
対面だからこそできること,スカイプだからこそできること,カウンセリングの形態について,考えさせられる貴重な機会となりました。

私は滋賀に来て2年目になりますが,事例検討会,泊まりがけ研修などで交わされるディスカッションの質の高さを日々感じています。そのような中で揉まれながら,今後も研鑽に励んでいければと思います。

先日行われたCBT Case Campも盛会のうちに終えることができました。ぜひ次回は有園先生もご参加くださいませ。

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