04/30: 不登校は減っている?増えている?

「不登校はスクールカウンセラーのおかげで減っている」というたわごとを耳にしたので、少し書いてみます。

不登校の定義とは、30日以上欠席した児童生徒のうち、①病気じゃないかなーと想像されたわけでも、②経済的理由でも、④複合的理由でもないものを指します。①でも②でも④でもないものが③不登校です。

①に関しては、病院に行って医者にかかって診断書を取る必要はありません。病院に行く必要すらありません。
周りの大人が「そうじゃないかと思う」事が唯一必要です。
例えば「お腹が痛いから学校に行かない」という生徒は、腹痛なので、①病気なので、“不登校ではない”と見なせる事になります。
②については、昨今そんなにいません。
④については、何かしら複合的な理由があればよいのです。例えばけがをした後、学校に来なくなったとすれば、④複合的理由ですから不登校になりません。風邪を引いた後でも、なんでもOKです。

この、最高にしょうもない定義によって、不登校はどのように推移しているでしょうか?
滋賀県の中学校の統計を平成13年と平成23年で比べて見てみましょう。

滋賀県の平成13年の長期欠席生徒総数は、1,559人です。そのうち①病気と見なされた149人、②経済的理由7人、④複合90人なので、③不登校は1,313人で全長欠中84.2%です。

滋賀県の平成23年の長期欠席生徒総数は、1,648人です。そのうち①病気と見なされた173人、②経済的理由1人、④複合283人なので、③不登校は1,191人で全長欠中72.3%です。

さて、激烈に進行中の少子化の側面からも考えてみましょう。
滋賀県の中学生徒総数は平成13年47,284人から平成23年43,011人と、9%減りました。
ちなみに滋賀県は子供の数がそんなに減っていない、全国でもすごくめずらしい県です。

それでは、最後に定義と少子化の二つの要素をかけあわせて文章にしてみましょう。

滋賀県では平成13年から23年の10年間にかけて、生徒数は9%減りましたが、長期欠席生徒数は6%増えました。
これは長期欠席率が3.3%から3.9%にアップしたことを意味しています。
しかし、大丈夫です。定義上の付け替えによって、滋賀県の不登校率そのものは平成13年も2.8%で、平成23年も2.8%で、変わっていません。
ですから、滋賀県の不登校は増えていませんし、それはきっとスクールカウンセラーのおかげです。

この10年間にスクールカウンセラーに支払われた税金は・・・
おっと、そろそろ時間だ。

皆さんもご自身の県で調べてみてください。
私の調べた所、最も正直な県は青森県でした。すばらしい青森!


参考「学校基本調査:年次統計」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528


注)この文章は華山先生や奥田先生のご発表を参考にしています。
投稿者: 西川公平
2012-04-30 22:57
カテゴリー: 疫学・統計

Comments

Pomta on 05/02 2013-05-02 14:51

奥田先生といい、行動療法家の先生はなぜSCを目の仇にするんでしょう??

gestaltgeseltz on 05/02 2013-05-02 16:06

>Pomtaさん
誰だって自分の支払った税金が無駄に使われてたら嫌じゃないですかね。

Pomta on 05/02 2013-05-02 17:43

>gestaltgeseltz 様

端的なお答えですねw そりゃまあ、そうです。

でも実際、不登校の解決は難しいと思うんです。奥田先生はトークンエコノミーの事例を発表されて学会賞取られましたが、今どき「ルールを守れる子」自体がレアな存在であって、「学校には行きたくない。ご褒美は欲しい」とグダグダになるのが目に見えている気が私はするのですが…。

ルールが守れるかではなく、守らせるのが、プロパーな行動療法家と心理士の技量の差でしょうか?

gestaltgeseltz on 05/03 2013-05-03 01:31

>Pomtaさん
・・・私自身はSCしていた時も、その後の開業でも不登校に難しさを感じたことは一度もありませんし、不登校を難しいと評する人間にはSCとかはして欲しくないですね・・・

子供って、親は若いし、先生もいるし、社会資源も豊富にあるし、祖父母までいるし、子供自体も可塑性に富んで認知でも行動でもすぐに変化するし。どのへんに難しさがあるのか検討もつきません。
36歳引きこもり歴20年とかだと、親も年老いているし、資源もないし、なかなか難しいとは思いますが。

ちなみにトークンエコノミーと、ルールを守れることは何ら関係がありません。

Pomta on 05/03 2013-05-03 17:44

>gestaltgeseltz 様

>ちなみにトークンエコノミーと、ルールを守れることは何ら関係がありません。
どういう意味でしょうか?

チンパンジーにトークンエコノミーを適用すれば、単なる強化法でしょうが、原因と結果の関係が予測できる人間を対象にした場合、トークンエコノミーは「学校に行けば、トークンがもらえる」というルールの提示と同義ではないですか?

行動療法の先生は「ルールを守れる」という言い方はなさらないのかもしれません。「守れられるルール」と「守られないルール」がある、というだけで。言葉遊びみたいですが。

gestaltgeseltz on 05/03 2013-05-03 18:49

>Pomta さん
トークンエコノミーは本人にとって強化子たり得るものを持ってその代替にトークンを用いる方法であり、チンパンジーと人間で強化子の種類は違うでしょうが、原理は全く同じです。
ちなみに行動療法においてルールとは「Aという状況でBをすればCが起こる」という随伴性が描けることを指します。
Cを設定してもBが生じないのは、単にCが強化子ではないからか、飽和したからです。

「ルールを守れる」云々というのは、弁別刺激の提示であって、強化子を操作しているわけではないので、大方無意味なのです。
ついでに言えば、強化子の設定とは、結構露骨でえげつないものの方が効きます

Pomta on 05/03 2013-05-03 22:53

>gestaltgeseltz 様

明確でわかりやすいご説明ありがとうございます!勉強になりました。
露骨でえげつない…?3DS買ってあげるよとかですか?

Pomta on 02/23 2015-02-23 19:40

>不登校を難しいと評する人間にはSCとかはして欲しくない
正直、外野の評論家的コメントかと思っていたら(すみません…)先生ご自身、SCをなさっていたんですね。

質問なんですが、トークンエコノミーの前提として確立操作する際、子どもが逆切れして家庭内暴力になりませんか?

gestaltgeseltz on 02/23 2015-02-23 20:03

>Pomtaさん
バーストについての質問ですね。

1、家庭内暴力になるとして、小学生のそれと若い親の関係よりも、成人している引きこもりと年老いた親の関係の方が、はるかに厄介なので、そうなる前に改善終了しないとですね。

2、私は今のところ、実際にそうなったことないんで、良く判りません。

3、結局のところ「暴れれば要求通る」のか、「暴れても要求通らない」のか、線引きがクリアであれば、暴れ損という事にはならない気がしてます。

Pomta on 02/23 2015-02-23 23:30

>gestaltgeseltz 様
早速のコメントありがとうございました。

>家庭内暴力になるとして、小学生のそれと若い親の関係よりも、成人している引きこもりと年老いた親の関係の方が、はるかに厄介なので、そうなる前に改善終了しないと
確かに…おっしゃる通りですね。

変化を求める以上、一定のリスクは排除できませんね。

gestaltgeseltz on 02/25 2015-02-25 03:01

>Pomtaさん

なんかすごいたまたま、昔のクライアントさんがメールで感想送ってきてたのがあるので、許可を得て掲載してみます。

**以下抜粋**
西川先生

昨日はありがとうございました。

カウンセリングを受けてみて、息子の「数年中に自殺する」の発言にとらわれて、原因探しに目が行ってしまっていたことが、先生にマネートレイの例を 出されるまで、全く自覚できていなかった自分にビックリでした。

あと、消去バーストや確立操作なども本では読んでいましたが、じゃあ実際に我が家だとどれに当たるのかということが、自分の身に起きた事で説 明を受けると非常にハッキリ繋がった感があり、濃い勉強の機会にもなりました。

さっそく帰宅後、子供たちを集めて「**家のルール」として、全員に平日の9時から17時まではネットやゲームは×と申し伝えました。

息子については、「毎日新しい何かを一つして、この紙に書いて報告すること」という、頂いた宿題を課しましたが、「え〜。」と言いつつニコニ コで、『アレ?私が息子の疑問について、時間をかけて話を聞くようにしていたことは、やっぱり西川先生の機能分析のとおり、強化子になってい た・・?』との印象でした。

随伴性を見る本の例では、やたら注目注目って出てくるので、ほんとにそんなのばっかり?と、あまりこれまで実は信用していませんでしたが、実 際多いんだろうなと認識を改めました。

「そんなんしたら、ネットカフェに行ってネットするわ」と息子の一人が、西川先生の予測通りに反応したものだから笑ってしまいました。

なんだか、うまく行きそうです。クライエントとして私の気分も随分軽くなりました。

カウンセリングを受けさせて頂いて良かったです。本当にありがとうございました。

まずはお礼まで。

Pomta on 02/26 2015-02-26 17:49

>gestaltgeseltz 様
ありがとうございます。大変勉強になります。クライエント様にも感謝いたします。

>随伴性を見る本の例では、やたら注目注目って出てくるので、ほんとにそんなのばっかり?と、あまりこれまで実は信用していませんでしたが、……
私も同じ認識です。中学生以上では、回避が優位なケースが多いように感じます。

>そんなんしたら、ネットカフェに行ってネットするわ
(いい意味で)ゆるい感じでいいですね。

以前、行動療法の先生のお話を伺った際、あれも禁止、これも禁止で、「登校という子どもの義務を果たしていないんだから、当然です」とスパルタな話があり、「これ、我慢できる子(我慢させられる親も)いるの?」と思いましたが、先生の場合は現実的な落とし所といいますか、程よく追いつめておられるという印象です。

ちなみにルールに入っていなければ、ネットカフェに行こうが、自由ですよね?(笑)

Pomta on 07/21 2015-07-21 21:16

>gestaltgeseltz 様
何度もすみません。やはりバーストについての質問なのですが、日中の生活に制限を加えると(特に中高生の場合)ふてくされる程度では済まない子も出てくるでしょう。

暴力にはその後対応ができますが、突発的な自殺/他殺となると、手は打てません。
1.そういったリスクの有無は、予測できるのでしょうか?
2.予測できるとすれば、これまで先生が受理しなかった不登校ケースもあるのでしょうか?
3.あるいは、リスクを低減させる手立てを介入の中に組み入れておられるのでしょうか?

先生のやり方に難癖を付ける意図はなく、効果的なアプローチがあるなら、知りたいだけなんです。ご教授頂ければありがたいです。

gestaltgeseltz on 07/25 2015-07-25 18:30

>Pomta さん
いつもコメントありがとうございます。過疎っているのでうれしいです。
ルールのうちでズルをするのはソーシャルスキルと言えるでしょう。
 
1.突発的な自殺/他殺リスクの有無は、予測できるのでしょうか?
自殺は予測できません。そのような介入をしていようが、していまいが、突発的な行為に走る事はあるでしょう。
もちろん不用意にベンゾやSRIを入れる事がそのようなリスクを招く可能性があるので、まずい投薬の場合は気をつけます。
CBTも同様にリスクを招く可能性が無いとは言えない介入ですが、「ゲームができなくなったことをはかなんで自殺」というようなことは、あまり自殺のきっかけとして聞かないですね。

2.予測できるとすれば、これまで先生が受理しなかった不登校ケースもあるのでしょうか?
今の所不登校で不受理はありません。統合失調症でもありません。あるとしたら、神経性やせ症で再栄養が第一優先だった方ぐらいです。

3.あるいは、リスクを低減させる手立てを介入の中に組み入れておられるのでしょうか?
たまにそういう事はします。非随伴性強化などがそれに当たりますね。

Pomta on 07/27 2015-07-27 20:31

>gestaltgeseltz 様
とても丁寧なご説明ありがとうございました。

私も低年齢の子の場合には、あまり家の居心地を良くしないことと親にアドバイスするのですが、思春期ぐらいになると、時折ある「親に小言を言われてカッとなった」云々といった報道が頭をかすめ、「様子を見ましょう」的な生産性のないことを言ってしまいます。カウンセラーとして情けない話で、当面のリスクを回避しても、先延ばしにしているだけと自覚はできているのですが。

非随伴性強化は良いヒントを頂きました。不登校に使うという発想は考えてもみませんでした。工夫してみようと思います。

gestaltgeseltz on 07/27 2015-07-27 21:34

>Pomtaさん
私の考えでは、親も子供も専門家の所にお世話になんかもちろんなりたくなくって、嫌で嫌でたまらないんだと思うんですね。
だから、様子見て、様子見て、様子見て、・・・様子見てもどうしようもないから、仕方なく我々の前に来ているのだと思っています。
ゆえに我々にできることは、いち早くお世話にならなくても済むように持って行くことに尽きると思うのです。

小言というのは、ターゲットビヘイビアを定めない弁別刺激や後続刺激の乱発だと思うので、むしろターゲットを定めることで分化強化するよう伝える気がします。

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