06/09: 強迫性障害の認知行動療法における動機付け面接

残念ながらフォアの言ういわゆる「動機付け面接に詳しくないので(興味はあるんですが)、ごく個人的なやり方でやってます。
良く使うやつを書いてみます。
最初にやっておしまいではなく、何度も何度も治療中に繰り返されます。

1、疫学
OCDの有病率は大体1~3%らしいので、間を取って2%という事にして、その方のお住まいの都道府県におけるOCD患者の数を数字で伝えます。具体的に滋賀県では人口が1,379,000人なので、「滋賀県のOCD人口は27,500人です。北部の人なら犬上郡、南部の人なら志賀町の人口と一緒です♪」なんてコメントをつけるのも重要。数字には具体性がないとね♪

2、一般的OCDなるものの説明
まあこれは普通なんだけど、OCDとはいかなる病気かについて喋ります。この喋りが患者さん自身の困りごとと「似てるなー」と思ってもらえるかもらえないかが運命の分かれ道。確認メインの人には確認の、洗浄メインの人には洗浄の説明をして、反応を見ます。話を合わせる(ジョイニング)することが重要。
次いで逆パターンの説明もして、OCDなる症状群の理解にまで持っていければ御の字。性格が弱いとか、ダメな自分とかそーゆー自己理解から、OCDな自分という風に持って行きたいもんです。
OCDについて学ぶ事はとても良いので本とかインターネットとか見て勉強することも進めます。オススメは本なら飯倉先生の「強迫性障害の治療ガイド」、ネットなら原井先生のところを勧めています。九州つええ。

3、OCDのコストベネフィット
OCDのせいで阻害されている生活上の様々な側面(電気代・水道代がかかるとか、トイレットペーパーを箱買いしてるとか、除菌ティッシュが手放せないとか、外出するのに時間がかかって遅刻するとか、etc.)を膨らましていって、「OCDってなんて厄介な邪魔者だ!!」と外在化します。
逆にOCD治療後の展望(「もし私に魔法が使えて、OCDを綺麗さっぱり治したとしたら、明日からどうですか?」てなミラクルクエスチョンもアリ)を話してもらう。そんなこんなで煽ってOCDを治す事を今の所人生の最大目標にしてもらう。

4、外在化
子供とか、たまに大人でも、OCDの絵を描いてもらうことがある。「そーやってあなたを悩ませるOCDっていう奴の絵を想像して描いてみてください」見たいな感じで。この作戦は結構好き。いろんな人が色んなOCDの絵を描く。大抵のOCDはずるくて黒くて厄介そうな妖怪wフキダシで「手を洗え!」なんて命令してたりする絵とかもある。

外在化はOCDを攻撃しつつも、患者さんその人を攻撃しないために重要。妖怪OCDを退治しに行く物語にしてしまえば、怒りの矛先が治療に生かされていい感じ。

外在化と病識を両立させて持ってもらう事が今後の治療のキモになると思う。こういった作業は認知療法的側面と呼べなくも無い。ていうかこれが認知療法の本質であって、コラムとかはただのおまけです。

5、すでにある治療
スケーリングクエスチョンと言っても良い。「今現在はOCD始まって以来最悪の時期ですか?」と聞くと、大抵そうでもなく、何年か前に最悪の時期がある。その時期を100として、今は幾つか?その差は何か?どうやってその差を作り出したか?(コーピングクエスチョン)等と聞いていくと、本人なりにがんばってエクスポージャーしている様子が見て取れる事が多い。
"教科書治療家"はこのあたりを無視して、あたかも自分の治療が最初のエクスポージャーであるかのように、患者さんを無力化しちゃうことが多くて、最悪。
実際のところそういった「すでにある治療」の詳細をゲットできれば、その延長線上で、格段に治療成功率が上がる。なぜなら最も厄介なのがファーストエクスポージャーだからだ。それは「すでにやっててくれてた」に越したことは無い。

6、エビデンス&脱落
広義のエビデンスは保険会社のやってる例のアレ。エビデンスについて説明してハローエフェクトを狙うw
エドナ・フォアがなんぼ治してても、そんなに個々人の治療率はよろしくない。

7、治療効果の説明
最も嫌なのは脱落な訳だけど、その辺はこう説明している。
「認知行動療法はデータ的に最も優れた治療法ですが、100%の治療率では無いです。約80%が改善しますが、20%は治療そのものを拒否します。ですからあなたが諦めずに治療に継続参加してくれる以上は、治療は必ず上手くいきます!」
ま、なんというか、論理的には誤謬が無きにしも非ずだけどね。

7、その人の価値観
7に書いたけど、そもそもはこれが一番大きい。その人が治療をしようと思ったきっかけが何なのか?その人が大事にしたいと思っているものは何なのかを引き出してゆく事はとても重要。1~6までは小技で、この7に組み合わしていくといいと思う。
投稿者: 西川公平
2007-06-09 18:10
カテゴリー: 強迫性障害

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