2007/06/14: 【不安・抑うつ】認知行動療法 3【自己治療】について その1

2ちゃんねるの認知行動療法関連スレについてあれこれつぶやく。現在1〜117まで .

Q1、認知療法を行っても結局のところ世間的価値観を相対化して自分を欺いているだけじゃんってこと。現実が変わるわけじゃない。
A1、そうかも知れないし、そうじゃないかも知れないですね。認知療法では少なくとも「認知の影響を受けない確たる現実など無い」としています。ある自分への欺きから別の自分への欺きへと変更するだけの事かもしれません。まあ、それで楽になるならそれで良いじゃないかという事です。

Q2、否定的思考というか自動思考というのか、後から後から湧いて来ない?いったん押さえられてもまた湧てくるような。
こうゆうのって直らないんじゃないかと思うよ。「スキーマ」っていうのかな?もともとの信念の硬い人は。認知療法はどこまで出来る?
A2、もし押さえているのだとすれば、一時的に押さえられても、むしろ押さえた為に後からより一層酷くなるという事がありえます。なぜならウツの症状とは「否定的な思考が沸いてくること」および「それを必死に押さえる事」の両方であって、その”両方の行ったり来たり”を何とかする事がメインの治療になるからです。
否定的な思考をある程度内包した合理的思考を書けるようになれば多少マシになるとは思いますが、そのあたりが何とかなるころにようやく治療も終盤戦というところでしょうか。

Q3、病気の鬱だと薬飲むしかない。認知療法は軽い鬱や回復後の再発防止にやるものです。うつ病には薬物療法が第一チョイスです。薬を否定したくてしょうがない臨床心理士なんかは認知療法を過大に宣伝してるけど、そんなに効果があるものでも大したもんでもないっす。
A3、うつ病には薬物療法が第一チョイスですが、それはコストパフォーマンスの点からです。病院において薬の効く方にコストの高い心理療法は勧められません。効果は約60〜70%の薬物療法と似たり寄ったりですが、薬物が効かない方に主に用いられる事になります。おっしゃるとおり心理療法士はCBTの効果を訴え、MRは薬物療法の効果を訴えますが、前者と後者で圧倒的な宣伝力の差があります。お薬屋さんのパーティーに呼ばれたりなんかすると、そりゃもう豪勢なお弁当やらお土産屋らつきます。
しかし、確実に言えることは、この世の中には薬が全く効かない人もいるということです。薬が全く効かない時に精神科や心療内科が全く無力になるというのでは、専門科とは呼べません。セカンドチョイスが整備され、それを施行できる保険が整備されることを祈ります。

Q4、認知療法の最大の欠点は、鶴見も書いているが、「本当は大したことじゃない」というのを前提としているところだね。「本当に不幸」な人は幾らやっても効かない。
A4、鶴見さんという方をどこの学会でもお見かけしたことがありません。実在の治療者ですか?本当の不幸を本当の幸福に変換するような装置は何も無いです。認知療法においても「本当に不幸」が「やや不幸」になる程度のものです。しかし「不幸」というタームは認知行動療法では全く使わないんですが、外在化の趣があり面白い概念ですね。

Q5、私が心配なのは、ある日たまりにたまった不幸が一気におしよせてくることだ。
例えば、気づかず生活してある日突然クラス全員にシカトされるのと、自分はきらわれてると自覚してて思った通りクラス全員にシカトされるのとでは、後者の方がショックはましではないか。現状を楽観視していて突然つきおとされることを思うと、自分に肯定的に解釈するのが怖くならないだろうか。
A5、全員だろうが、1人だろうがシカトされたらショックだと思います。覚悟があろうが無かろうが、それによって幾分マシという事は考えられませんし、覚悟があった場合となかった場合を一回ずつ試すわけには行きません。
「不幸の準備をする事でいずれ来る不幸のショックがマシになる」可能性は0では無いですが、「不幸の準備をする事で、いずれ来る不幸のショックがさらに酷くなる」可能性と同じぐらいのものです。そして「不幸の準備をするのに忙しくて、幸せになれない」可能性はかなり高くなるんじゃないでしょうか?
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投稿者: 西川公平
2007-06-14 15:54
カテゴリー: 2ちゃんねる

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