2011/12/01: 木内 行動療法学会 参加記 その2

2日目は、自分の発表はなかったので、ケーススタディ3つ、ランチョンセミナー、自主シンポジウムと、いろいろ見てきました。

1つ目のケーススタディは、岡本利子先生の「ACTによる介入が奏功した強迫性障害の事例」。
演者の岡本先生は「自分にとって、OCDに対するACTは、1つのテーマ」と言っていましたが、その様子が良く伝わってくる発表でした。今回のケースでは強迫症状というより、衝動コントロールの方が大変そうでしたが…。ACTについてはあまり詳しくないのですが、嫌悪感をもたらすような感覚に対して受容的になることで、エクスポージャーの効果をより大きくすることが出来るのかもしれないですね。

2つ目のケーススタディは、岡嶋美代先生の「複雑性PTSDに対するエクスポージャー療法」。
複雑な経過を持つクライアントに対して、丁寧に寄り添いつつ、色んな工夫を凝らしているケースでした。発表の中で、セッション中の音声を再生して聴かせてくれたのですが、2人の良い関係性や雰囲気が伝わってきました。とは言え、関係が良くなればなるほど、区切りをつけにくくなるのは真実かなと感じさせられたりもして。問題はいくらでも出てくるだろうし、カウンセラー側も放っておけないと思うだろうし。質疑応答の中でもありましたが、終結を目指すのなら、外部にいかにリソースを見つけていくかが鍵なのかなと感じました。

ランチョンセミナーは、韓国からいらしたYoung Hee Choi先生の「What is the main goal of treating anxiety disorders?」
ユニークな先生で楽しめました。いきなり大声を出して、聴衆をビクッとさせたところを「今のが身体反応です」とすかさずコメントされたりして。こういう掴みがあるだけで、グッと惹き付けられます。
講演の最後に「不安障害のゴールは、不安をなくすことではなく、不安に自分で対処できるようになること。不安と共に生き、ダンス出来るようになること」という内容のことを仰っていて、思わず頷いてしまいました。

3つ目のケーススタディは、西川先生の「引きこもり状態解消後、心因性視覚障害を併発した男子高校生に対する認知行動療法〜訪問相談から登校援助まで」。
このケース、滋賀の勉強会でも聞いたことがあり、拝聴するのは2度目でした。最初に聞いたときも思いましたが、介入のポイントがくっきりしていて、だからクライアントものってきやすかったのなと。
また、その時々のカウンセラーの心の迷いや戸惑いが伝わってきて、ライブ感がある発表でした。特に、外部機関とのやり取りのくだりはなんかは面白かったです。そういうセッション外で起こっていることって、結構無視できないところなんですよね。

自主企画シンポジウムは、「集団認知行動療法における実践者の留意点と着眼点」。
自身が集団認知行動療法を施行した経験はありませんが、ちょこちょこ研修などで再構成法を取り入れたりすることがあるので、参考になるかなと思って参加しました。それぞれ、経験年数も領域も違う立場からコメントされていて、面白かったです。
特に印象に残っているのは、岡島先生の発表の中で「集団と個人では、個人の方がやりやすいと思うことが多い」「集団での実施は正直大変なので、カウンセラー側が憂鬱になることもある」と話されていたことで、確かに足並み揃わない集団をまとめていくのは、しんどいよな…と感じさせられました。
ただ、今後患者数が増えていく中で、集団認知行動療法というニーズは着実に増えていくでしょうし、複数をうまくリードするスキルも求められるようになっていくんでしょうね。


そんなこんなで、2日目が過ぎていきました。
次の日に自分の発表が控えているので、なんだか落ち着かない気持ちで最終日を待つことになりました。どちらかというと、サッサと終わらせて楽になりたいものですが、こればっかりはどうしようもないことですね。
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投稿者: 木内彩乃
2011-12-01 19:37

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