2007/06/14: CBTセンターの目的

なぜCBTセンターを作ったかのなぞに迫る

認知行動療法というややマシな治療方法の集合体があるのだが、これらはあまり用いられる事も参照されることもない。
もっと言えば行動療法というわりとマシな治療方法の集合体があるが、これらはどちらかというと世間から嫌われている(好きな人はとても好きだが)。
それらがもう少し社会と接点を増やすと良いなと思って、CBTセンターを開設した。

☆どう良いか
・古来から「現代社会はストレス社会だ」と言われて久しく、色々な方法が試されてきたが、認知行動療法の持つ科学風のアプローチは今の世代にフィットするので、相手にとってわかりやすく、したがって他と比べて治りやすい。
・私がそれほど好きではない「宗教」という種類のアプローチに、本来の顧客を奪われる率を減らせる。もちろんCBTもやりようによっては宗教ですが、つまりシェア争い。
・認知行動療法の名の下、嫌われているが有効な行動療法の技法を使用できる。

☆どうやって社会と接点を増やすか(普及)
・インターネットなどで患者さんへのニーズを高め、ドクターへのニーズの高まりを狙う。その煽りで各病院でドクターが子飼いのコメディカルに「CBTをやりなさい」と指示してもらうという2クッションを期待。
・自助グループなど患者さんたちと接点を持ち、研修会を開く事によって直接の認知行動療法的心理教育を行う。また上記同様間接的な効果も狙える。
・どこでも山盛り研修会とか講演会とかを引き受け、一般人口へ普及を促す。
・直接認知行動療法を施術する。あるいは医療機関をはじめとする関連機関とオファーやリファーを通じてコネクションを持つ。
・県内に勉強会を作り、CBTについて学んだり、話したり、相談したりできる時間と空間を提供する。
・県内で講師を招いて講習会を行い、同時に地域における臨床家を招く事でCBTに対する閾値を低めていく。また勉強会とリンクする事で相互に活性化させる。本質的には「明らかに社会に役立つ心理士がいて、それがたまたまCBTをしている」という事が望ましいが、なかなか難しいものです。

私は認知行動療法を施術していくつもりなんだけど、そもそもまずCBTが社会に普及すれば、結果として将来喰いっぱぐれる事はないだろうという、いささか迂遠な経済上の理由ももちろんある。
迂遠も迂遠だが、まずカウンセリングの利用とか、心の専門科の利用とかその辺から普及していない。とくに滋賀県ではあまりパッとしない。

残念な事に学会が力を入れている普及方法(本を翻訳し、エビデンスを取得し、学会で学生に研修し、保険点数化・国家資格化の働きかけをする)とは方向性が異なる。
学術的普及はさておき、私の想像する臨床的普及は学会が旗を振っている方向に見出せない。認知療法学会と行動療法学会が合併しようがしまいが、臨床的普及とは何の関係も無い。
しかし今回10月に東京で2週間間隔で認知療法学会と行動療法学会が開催されることについては、1ユーザーからみて詐欺的だと思う。似たような人たちが似たような内容について喋る事に対し、二重にコストを払わされている。

以前は「そのコストをどうして地域における普及に割かないのか」と憤っていたが、憤るだけムダなので、自力で臨床的普及を試みたというのが、案外CBTセンター開設の根源かもしれない。
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投稿者: 西川公平
2007-06-14 09:58
カテゴリー: 開業カウンセラー

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