06/14: 社会不安障害について 3

今までこぼれ話的なことばかり書いてきて、メインで社会不安障害の治療については全然書いていない事に気がついた。

社会不安障害といえば、和名で対人恐怖症。「とにかく人と会うと緊張する」、「相手を不愉快な気にさせそうで怖い」などというコアな場合から、「自分の気持ちを伝える事ができない」、「ネガティブな事を伝えたときの相手の反応が怖い」などの一応社会適応はできる場合まで色々ある。「異性と話すのが怖い」、「上司と話すのが怖い」などという、全般的ではないバージョンもある。

こぼれ話としては、欧米では社会恐怖症は「他者から自分への被害が怖い」のがメインであるのに対し、日本では「自分から他者への被害が怖い」のがメイン。つまり相手を不機嫌、不愉快、不快にさせてしまわないだろうかと怖くなってしまう。もちろん日本にも欧米型の人はいるし、欧米にも日本型の人はいるでしょうが。

対人関係の濃さで言えば、「ちょっと知っているし関係もある人」というのが怖い様子。
家族は怖くないし、アカの他人も怖くない。弟の義嫁とか、近所の人とか、隣の部署の人とか、近いような遠いような微妙な関係の人が最も不安をそそるって人が多い。個人差もありますけど。

治療は個人的に千差万別だけど、一般的に書くと、
・情報収集と行動・機能分析
・セルフモニタリングによる認知・行動パターンの徴集
・行動実験
がメインになってくるだろうか。
リラクゼーションとかはそれほどメインにしてない(たまに使うけど)

・「情報収集と行動・機能分析」
まずその人の現実の生活における対人関係で、誰との/どんな話が/どれぐらい怖いかをざっと聞き出す。ここで聞き出すのは「怖いと思うか?」という予測だけれども、実際彼らを不便にしているのも半分ぐらいは予測なのでそれでよし。
つぎにそれらの対人関係を持つ頻度がどれぐらいかを聞き、合わせて生活の不便さをざっと把握する。軽い目の人なら不便なところからやっていくし、重いめの人ならとりあえずできそうなところからやっていくので、その辺の当たりをつける。
ついでに不安や恐怖に対する対処法や回避についても聞き出してまとめておけば、とりあえずバッチリ。
課題は「日常生活不安・恐怖・回避行動観察表」といったところだろうか。
物分りが良さそうであれば、次回までに3つのコラムなんかで情緒的にインパクトのあった出来事を1つぐらいゲットしてきてもらう。

・「セルフモニタリングによる認知・行動パターンの徴集」
ここで何を測るかは、?および課題の内容によってバラバラ。バラバラなりに色々書いてみるかな。
☆会社で会話ができないというのであれば、「同僚などがいつ、どこで、どんな話題を」話しているのかを観察してもらう。話しかけ行動観察表を使うか、テキトウにシートを自作
☆話しかけたときに「何か良くない出来事が起こる」と予期不安が出すぎであれば、未来予想図とかを使って、話しかける前にどんな予想を立てていて、実際起こった事はどんな事だったのかをモニタリングしてもらう
☆話の後で延々とネガティブな自己評価をしちゃうようであれば、自己を拡大評価したり、過小評価したりしてもらって、メタ化してもらうのがイイかもしれない。
今考え付いたけど・・・それは面白いので、自己評価の双眼鏡とかいうシートを作ってみるかな。10の歪みに10のシートがあってもいいだろう。
☆話す前の準備が過多であれば、それをモニタリングする事もできる。
☆会話を避ける行動があるのであれば、それをモニタリングする事もできる。
☆スピーチ不安があるのであれば、時系列的にどこからどんな変化があって、最終的にどうなるのかの一部始終をモニタリングしてもらっておくと、どこに何を入れれば良いかがわかりやすい

などと色々書いてみたが、モニタリングはメタ化を促し、治療になっている。いわば認知的な実験であったり、行動的な実験であったりが同時に行われている。

・行動実験
苦手な場面に実際望んでみて、想像通りかどうかをつぶさにチェックする。これも人の数×何倍かの行動実験を作りうるので、この辺りは次回以降に事例で書いてみる事にする。
投稿者: 西川公平
2007-06-14 09:48
カテゴリー: 社会不安障害

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